2023年2月1日から、au(KDDI/沖縄セルラー)のスマートフォン向け新料金プラン「スマホミニプラン」が提供開始されます。毎月の通信量に応じて4段階で変動する料金が特徴の新プランは、どんな使い方に向いているのでしょうか。旧プランとの違いも含めて解説します。
「スマホミニプラン」の概要
スマホミニプランはあらかじめ自身の使い方を考えて月間データ容量を選ぶタイプではなく、実際に使った量に応じて後から各月の料金が決まる段階制のプランです。
1カ月の通信量が1GB未満の第1段階なら、各種割引適用前の基本料金は3,465円。そこから、2GBまでは4,565円、3GBまでは5,665円、4GBまでは6,215円と1GB刻みで上がっていきます。
「使えば使った分だけ料金が上がる」と聞くとガラケー時代のいわゆる“パケ死”、青天井の料金プランを思い出して不安になる方もいるかもしれませんが、こちらは4段階に刻まれているとはいってもあくまで定額制のプランです。4GBを超えた後は自動的に料金が上がり続けるわけではなく、月末まで最大300kbpsの通信制限がかかります。
利用状況によっては最大で毎月1,287円の割引を受けられ、通常3,465円~6,215円のところ、最安パターンなら2,178円~4,928円まで下がります。割引の内訳としては、auユーザーの家族がいれば「家族割プラス」で550円引き(3人以上の場合。2人なら220円引き)、固定回線もau系なら「auスマートバリュー」で550円引き、毎月の料金をauのクレジットカードで支払っていれば「au PAY カードお支払い割」で187円引きとなります。
通話料金の定額サービスは基本料金には含まれておらず、電話を多用する方なら通話オプションを別途付ける必要があります。提供開始前の1月10日時点ではスマホミニプランに対応する通話オプションは案内されていませんが、参考までに、前身の「ピタットプラン 5G」の場合は5分/回のかけ放題で+880円、時間制限なしのかけ放題なら+1,980円でした。
前身の「ピタットプラン」との違いは?
auユーザーならスマホミニプランの内容を見てお気付きの方も多いかもしれませんが、スマホミニプランは2017年から少しずつ内容を変えながら提供されてきた段階制プラン「ピタットプラン」の後継となるプランです。
約5年半の間にauピタットプラン→新auピタットプラン→ピタットプラン 5G(2020年9月30日以前の料金)→ピタットプラン 5Gと細かな変更が重ねられてきたので個別には触れませんが、現行のピタットプラン 5Gからスマホミニプランにかけての変更点を見てみましょう。
最大の違いは、月間データ容量・料金のボーダーラインです。ピタットプラン 5Gは1GB未満(3,465円)、1GB~4GB(5,115円)、4GB~7GB(6,765円)の3段階でしたから、新プランでは料金変動が小刻みになり、高速通信の上限となるデータ容量が7GBから4GBへと大幅に減少したことがわかります。また、据え置き設定の1GB未満を除けば全体的に値上げとなります。
「通常料金は3,465円~、割引をフルに受ければ2,178円~」という最安ラインこそ変わりませんが、実は割引の内訳は変わっています。旧プランでは最大1,100円引きと大きな割合を占めていた家族割プラスのウェイトが軽くなり、代わりに最大まで割引を受けるには1GB未満でもauスマートバリュー(固定回線とのセット割)が前提となります。
~1GB利用時の割引例 | ||
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名称 | ピタットプラン 5G | スマホミニプラン |
基本料金 | 3,465円 | 3,465円 |
家族割プラス(3人以上) | ▲1,100円 | ▲550円 |
auスマートバリュー | ‐ | ▲550円 |
au PAY カードお支払い割 | ▲187円 | ▲187円 |
合計 | 2,178円 | 2,178円 |
家族でauを使うか、固定回線もauにまとめるか、どちらのハードルが低いかは各々のライフスタイルや利用状況にもよるでしょうから、旧プランの契約も間に合う1月中に比較検討すると良いでしょう。
このほか、上限データ容量超過時の速度制限が128kbpsから300kbpsに緩和されるという違いもあります。
「スマホミニプラン」に向いている人・向かない人
スマホミニプランは従来のピタットプランと同様に、使わなければ安く済む従量制プランと、どんなに使っても思いがけない高額請求になる可能性の低い定額制プランのいいとこ取りができるプランです。スマートフォンをはじめて持つ方など、まだ使用量を把握できていない場合には様子を見ながら使っていけるため安心感があるでしょう。
ただし、4段階定額の各ステップの料金を旧プランと照らし合わせていくと、1GB利用時は引き分け、2GBで550円ダウン、3GBで550円アップ、4GBで1,100円アップと損をするケースも多く、旧プランから積極的にプラン変更をするメリットはあまり無いといえます。
データ通信量に応じた変化 | ||
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ピタットプラン 5G | スマホミニプラン | |
~1GB | 3,465円 | 3,465円 |
~2GB | 5,115円 | 4,565円 |
~3GB | 5,115円 | 5,665円 |
~4GB | 5,115円 | 6,215円 |
~5GB | 6,765円 | 6,215円(速度制限) |
~6GB | 6,765円 | 6,215円(速度制限) |
~7GB | 6,765円 | 6,215円(速度制限) |
平均的なスマートフォンユーザーの月間通信量に近い4GB~7GBのユーザーの受け皿が2月以降のauの料金プランには無くなってしまうのも気になる点です。毎月2GBをコンスタントに超えつつ「使い放題MAX 5G」(7,238円)までは不要という場合は、サブブランドのUQ mobileも含めて検討する必要がありそうです。
一方で、月によって1GBを超えるかどうか、というぐらいのライトユーザーの利用には従来以上に適しています。1GB未満の最低料金は従来と変わらず、少し超えてしまったとしても2GBまでなら料金の上昇が小幅で済むため、無理に1GBに抑えようとしなくても少し余裕を持って使えるのではないでしょうか。