インタラクティブシステムにおける未来を切り拓くような新しいアイデア・技術を議論するワークショップという「WISS2022」にて、明治大学の研究者チームが「光学迷彩ゼリー」を発表し、注目を集めている。
同研究チームが発表したのは、「Edible camouflage : レンチキュラ構造を利用した可食光学迷彩の提案(pdfが開きます)」だ。薄いシートの上にかまぼこ状の凸レンズ(シリンドリカルレンズ)が並んだレンチキュラ構造をゼリー表面にほどこし、光学迷彩のような特性を付与しているそう。YouTube上に実物の動画が公開されているので是非見てほしい。ゼリーの中には縦長に切られた桃が入っているが、ほとんど見えないのが確認できる。
詳しい仕組みとしては、シリンドリカルレンズは、曲面を持つ断面と持たない断面が存在し、曲面を持つ断面では光が屈折し、レンズを通して見える像は圧縮されるという。この特性を使い、光学迷彩ゼリーでは特定方向に長い物体が消えているように見えるのだとか。ちなみにゼリーは、発酵によって得られる天然の多糖類であり、寒天やゼラチンなどと比べて強度や透過率などが高いジェランガムと、ヨーグリーナを混ぜて作られている。
本研究によって、透過性を保ちつつ、本来は見えるはずの中身が見えないゼリー等のデザートを作ることができ、新たな食体験を生み出せるという。また、食環境へのプロジェクションマッピングによる、新たな表現可能性を広げることが期待できるとした。
同研究チームは、今後、レンチキュラレンズのピッチによる光学迷彩効果の差の検証や、ゼリーのサイズの小型化などの研究を進めていくとしている。
ネット上では「おもしろい!実際に見てみたい」「見えないので実質カロリーゼロ」「何の役に立つのか分からないけどなんかスゴイ」などの声が寄せられた。