スマートフォン中心からスマートライフ全般へとビジネスを拡大しているファーウェイ。2022年7月26日には日本で新製品発表会を行い新型スマートウォッチ「HUAWEI WATCH GT 3 Pro」などを発表しました。また7月27日には海外で新OS「HarmonyOS 3」も発表。スマートフォンでは劣勢ながらも折りたたみモデルを積極的に出すなど、少数精鋭モデルで頑張っています。
日本では家電量販店を中心にファーウェイコーナーを展開していますが、海外では主要都市にファーウェイストアを構えています。今回はパリにあるファーウェイストアを訪問してみました。パリのストアは観光にも便利な場所に位置しています。
パリ「オペラ座」の名前はご存知の方も多いでしょう。パリの代表的な観光地でもあり、交通も便利な要所でもあります。ファーウェイストアはこのオペラ座の目と鼻の先に店を構えています。ファーウェイというと赤いロゴが目印ですが、パリの店舗は街の景観に合わせてか「HUAWEI」の看板も控えめです。
この建物は19世紀に建てられた歴史あるもので、ヨーゼフ・ホフマンという建築家が手掛けたもの。産業革命時代に次々と合理性を求めるデザインが広がっていった中、直線的なデザインを建築に取り込みながら美しさを追求したといいます。そんな建物の中に入ると最新のIT製品が並んでいるというギャップも面白いもの。でもファーウェイは機能美を備えた製品を数多くだしています。
たとえばフランスのオーディオブランドであるDevialetとコラボしたスピーカーをファーウェイは数種類販売しています。Devialetのデザインにファーウェイの音響技術を組み合わせた製品はまさに機能とデザインを両立させた製品と言えるでしょう。
さてファーウェイと言えばスマートフォンのカメラ性能には定評があり、今でも数年前の機種を使い続けている人も多いとか。ファーウェイストアでは数は少ないもののPシリーズ、novaシリーズの最新機種を中心に展示しています。去年発売されたモデルながらカメラ性能は今でもあらゆるスマートフォンの中でトップ3に入る性能を誇る「P50 Pro」など、注目すべき製品が展示されています。
「P50 Pocket」は縦折り式のスマートフォンで、サムスンとモトローラから類似のモデルは出ていますが、高級感あるボディーデザインは美しく、2台目に持ちたいと思えるくらいの出来栄えです。但し価格は1,500ユーロ、約22万円と高価。P50 Proが究極のカメラフォンなら、P50 Pocketは究極の高級ファッションスマホという存在なのでしょう。実際に質感は非常に高く、価格相応と感じさせます。
現在ファーウェイのスマートフォンはグーグルサービスが使えないため、やや使いにくい状況ですが、通話やSMSを中心としたシンプルな使い方をしたい、という人はヨーロッパにもまだ多くいます。ファーウェイのスマートフォンはそこを逆手に取れば十分使い道もあります。なおTwitterやFacebook、YouTubeなどはブラウザで利用することも可能です。
一方、ファーウェイの今の主力製品はスマートウォッチやノートPCです。ノートPCは指紋認証センサーの搭載やポップアップ式のフロントカメラを搭載したモデルもあるなど、スマートフォンメーカーらしい製品が揃っています。また日本でも売っている3:2の縦横比が斬新な外付けモニター「MateView」はパリの店舗でも人気でした。このMateViewはファーウェイのスマートフォンならタッチするだけでスマートフォンの画面表示を大画面に投影できるなど便利な機能も搭載しています。
実はファーウェイが発表したHarmonyOS 3では、複数の機器の接続が簡単に行えます。「スーパーデバイス」という機能を使うと、自分のスマートフォンやタブレットの周りにある接続可能な製品がボタンとして表示されます。たとえばモニターがあればそれを画面中心にある自分のスマホにドラッグ、するとスマートフォンの画面がそのモニターに投影されます。スマートウォッチやプリンターの接続も同様にボタンをドラッグするだけと簡単なのです。
そして家電製品などもスマートフォンと接続できるため、リビングルームのソファーに座りながら家電の操作もできるようになるのです。HarmonyOS 3は今年9月から順次提供予定。なお現在はHarmonyOS 2が提供されていますが、日本を含む海外では同OS搭載モデルはまだ数が多くありません。GoogleやAppleに対抗すべく生まれたOSなので、普及が進むにはまだ数年はかかりそうです。
このようにファーウェイはスマートフォンメーカーからスマートデバイス全体を展開するメーカーへと変革を遂げようとしています。各メーカーがこの分野で競争を始めていますが、ファーウェイの店舗ではファーウェイの動きに限定せず「今、スマートフォンで何ができるんだろう」という最新技術を体験することもできるわけです。パリで時間があったらちょっと立ち寄るのもいいかもしれませんね。
なおストアにはほかにもファーウェイの独自グッズも売られています。数が少なく目立ったものと言えばPCも収納できるバックパック程度ですが、このあたりはファーウェイの知名度を下げないためにも様々なグッズを出してほしいところ。
日本では以前よりファーウェイの名前を聞く機会が減っているかもしれません。しかし海外ではスマートフォンを含め数や量より質を目指した製品を今でも出し続けているのです。シャオミのようにIoT関連やライフスタイル製品の数を増やし、ファーウェイの製品がまた日本市場をにぎわす存在になってほしいと思います。