アズマは7月20日、オーディオブランド「GRAV(グラブ)」からLEDイルミネーション搭載のBluetoothスピーカー4機種をお披露目しました。ドン・キホーテで7月下旬に発売予定。価格は3,980円~8,480円です。
新発売スピーカーのターゲット層は「マイルドパリピ」
アズマはドン・キホーテをはじめとした量販店向けのプライベートブランド(PB)製品開発を中心に手掛ける家電メーカー。今回発表された4製品も、全国のドン・キホーテで専売します。ターゲットとして想定する「マイルドパリピ」が“アガる”製品として開発したといいます。
マイルドパリピとはアズマが定義した造語で、物事に対して強い動機付けはないけれど、「やってはみたい」という少しだけ積極的な意識から、ちょっとした贅沢や自分のこだわり、仲間内での盛り上がりをバランスよく追い求める層を指します。
このようなマイルドパリピ層は、製品を物としてだけではなく、使用時の“ノリ”や体験も含めて、価値と捉える傾向があるとのこと。音楽についても、実際にクラブに行き盛り上がったり、最新・高級な機材で楽しんだりするのではなく、製品の機能にひと工夫あれば、自分たちのアイディアで実体験の足りないところを埋め、「自分なりに」楽しめるといいます。
ターゲット層への訴求ポイントは?
今回新しく発売するBluetoothスピーカーのラインナップは、コンパクトなポータブルスピーカー「リングLEDスピーカー」、ワイドタイプでスピーカーを2基備えた「ダブルリングLEDスピーカー」、TWS(True Wireless Stereo)対応でステレオ再生できる「リングLEDペアスピーカー」、30W出力のパワフルなスピーカーを備えた「リングLEDキャリングスピーカー」の4モデル。
マイルドパリピ層への訴求ポイントとして、価格がリーズナブルであることや、ユーザーが求めるひと工夫を組み込んだことなどが特徴です。
価格がリーズナブル
4機種ともリーズナブルな製品を購入する層をターゲットとし、狙いに沿った価格設定での投入。すべて1万円以下と初めてBluetoothスピーカーを手に取る人でも購入しやすい価格になっています。
価格は「リングLEDスピーカー」が3,980円、「ダブルリングLEDスピーカー」が5,980円、「リングLEDペアスピーカー」が5,480円、「リングLEDキャリングスピーカー」が8,480円です。
ユーザーが求めるひと工夫
特徴のもう1つは、4機種とも製品前面にLEDのリングイルミネーションを搭載し、音楽を流しながら/流さなくても光るという点。音と光が同時に楽しめて、空間を楽しく演出するとしています。LEDは音を出していない場合でも光らせられるため、部屋を彩るインテリアのような使い方が可能です。
また、光の色・光り方は本体のボタンで複数パターンを選べ、音楽のリズムに合わせて光り方が変化するモードを搭載します。個人的には、友人の家に遊びに行ったときにあったら、光らせながら音楽を流して盛り上がりたいと感じました。
このほか、笑い声や拍手、カラスの鳴き声といった効果音を収録していたり、別売のマイクと組み合わせてボイスチェンジャーとして使えたりするなど、皆で遊ぶときに重宝しそうな機能を揃えています。4機種ともスピーカーからの音声を聞きましたが、比較的コンパクトな本体から、パワフルな低音が印象的な迫力あるサウンドを体験できました。
今回発売するスピーカー4機種を紹介
それではここで、「リングLEDスピーカー」「ダブルリングLEDスピーカー」「リングLEDペアスピーカー」「リングLEDキャリングスピーカー」各モデルの特徴や仕様についてまとめます。
リングLEDスピーカー
7W出力のスピーカーを1基搭載するポータブルスピーカー。約8×11cmとコンパクトサイズなため、手軽に持ち運べます。防水性能はIPX6とアウトドア利用などにも適しています。Bluetooth 5.0準拠で、対応コーデックはSBCのみ。Bluetooth機器のほか、microSDカードからの音源再生にも対応しています(最大容量32GB)。
本体サイズはW82×D47×H107mm、重さは220g。バッテリー容量1,500mAhのリチウムイオン電池を内蔵し、LEDライトを光らせて音量を80%で使用した場合、連続で8時間使用可能。充電時間は3時間。イルミネーションの点灯パターンは9パターン。充電用のUSB Type-Cケーブル(約95cm)、3.5mmステレオミニプラグケーブル(約45cm)などが付属します。
ダブルリングLEDスピーカー
7Wスピーカーを2基搭載したワイドタイプのポータブルスピーカー。縦置きと横置き両方に対応しています。防水性能はIPX7と4機種で最も高く、水場の近くやアウトドアでの使用が可能です。Bluetooth 5.0準拠で、対応コーデックはSBCのみ。microSDカード(最大容量32GB)からの音源再生と、AUX端子からの入力にも対応します。
本体サイズはW200×D83×H85mm、重さは600g。バッテリー容量4,000mAhのリチウムイオン電池を内蔵し、LEDライトを光らせて音量を80%で使用した場合、連続で8時間使用可能。充電時間は5時間。イルミネーションの点灯パターンは9パターン。充電用のUSB Type-Cケーブル(約95cm)、3.5mmステレオミニプラグケーブル(約45cm)などが付属します。
リングLEDペアスピーカー
Bluetoothで2台のスピーカーを接続できるTWSモードに対応したスピーカー。2.5Wスピーカーを各1基搭載しています。Bluetooth 5.0準拠で、対応コーデックはSBCのみ。AUX端子による接続にも対応しています。通信距離は最大10m。
本体サイズはそれぞれW89×D102×H165mm、重さは各505g。バッテリー容量1,800mAhのリチウムイオン電池を内蔵し、LEDライトを光らせて音量を80%で使用した場合、連続で4時間30分使用可能。充電時間は5時間30分。イルミネーションの点灯パターンは5パターン。充電用のUSB Type-Cケーブル(約95cm)、3.5mmステレオミニプラグケーブル(約45cm)×2などが付属します。
リングLEDキャリングスピーカー
15W出力のスピーカーを2基搭載しパワフルな低音を再生できるスピーカー。アウトドアなどの用途も想定し、音質(イコライザー)は「室内モード」と「屋外モード」の2パターンで切り替えられます。防水性能はIPX5。Bluetooth 5.0準拠で、対応コーデックはSBCのみ。microSDカード(最大容量32GB)・AUX端子・USBからの音源再生に対応します。
本体サイズはW320×D110×H180mm、重さは2kg。バッテリー容量4,400mAhのリチウムイオン電池を内蔵し、LEDライトを光らせて音量を80%で使用した場合、連続で5時間30分使用可能。充電時間は5時間。イルミネーションの点灯パターンは5パターン。充電用のUSB Type-Cケーブル(約95cm)、3.5mmステレオミニプラグケーブル(約45cm)などが付属します。
レッドオーシャンの中のブルーオーシャンを狙う戦略
発表会では2022年から代表取締役に就任した小川大介氏が登壇し、新製品の紹介や今後の会社戦略について説明しました。個人的に興味深かったのは、商品の戦略についてです。
スピーカー市場のターゲットは、機能と価格に対する意識の観点から見ると、機能はそこまで重視せずに手ごろな価格の製品を選ぶ層と、価格は高くても固有の機能を備えたハイスペックな製品を選ぶ層が両端にあり、それぞれレッドオーシャン状態だといいます。レッドオーシャンとは同業他社が多く競争の激しい市場、ブルーオーシャンは同業他社が比較的少なく、付加価値や利益が高い商品が生まれやすい市場を指します。
記事の序盤でも述べましたが、今回の商品は、機能のひと工夫を活かして楽しめるマイルドパリピ層をターゲットとしたもの。この層は機能と価格のバランスを求めた准ハイエンド層とも言い換えられるといいます。准ハイエンド層をターゲットとした場合、多くの企業が進出しているレッドオーシャン状態のスピーカー市場内で、アイディアを武器にしてブルーオーシャン状態にすることが可能とのこと。
音楽を流さなくてもLEDリングイルミネーションが光ったり、最も高いリングLEDキャリングスピーカーで8,480円と価格を抑えたりといった工夫がターゲット層に届いていくのか、今後に注目です。