不要になった中古スマホを無人の機械が査定して買い取る「スマホ買い取り機」が渋谷にお目見えしました。銀行のATMのように画面にしたがって端末を操作するだけで、持ち込んだスマホの状態をAIが自動でチェックし、査定金額を弾き出してくれます。所要時間はわずか10分ほど。人を介することなく完全非対面でスピーディーに作業が進められるので、買い取り店に行くのはちょっと…とためらっていた人に注目を集めそうです。
人と一切接触せずに1人で査定の手続きが進められる
「商品を売ることを目的にしない体験型の小売店」として知られる東京・渋谷の「b8ta」(ベータ)に登場したのが、韓国生まれのスマホ買い取り機「MINTIT」(ミンティット)。日本でケータイの販売代理店を手がけるティーガイアが、実証実験として導入したものです。コンビニATM機のようなスリムなボディで、これ1台でスマホの買い取りや査定、支払いが完結するとは思えないほどです。
MINTITは、中古スマホの買い取りや販売を手がける韓国のSKネットワークスが開発。すでに韓国のショッピングモールなどに約6,000台が導入され、2021年には約100万台のスマホを買い取った実績があるなど、現地ではかなり浸透しています。
買い取りの手続きはとても簡単。持ち込んだスマホに専用の査定用アプリを導入し、外観をチェックするカメラが備わる内部の査定用スペースにスマホを置いてケーブルを接続するだけ。するとスマホの状態を細かくチェックし、数分で査定金額が弾き出されます。金額を了承すれば、指定した銀行口座に代金が振り込まれるという仕組み。手続きの開始から終了までの時間は、わずか10分ちょっとで済みます。
日本の“埋蔵スマホ”は宝の山
驚くほどスピーディーに不要なスマホが現金化できるMINTITが日本進出を決めたのは、日本の“埋蔵スマホ”の価値の高さに目を付けたから。日本では、比較的新しい世代のスマホが使われずに家庭に保管されるケースが多く、しかもその多くが世界的に人気の高いiPhoneで占められています。「まだまだ現役で使える“お宝”のiPhoneが使われずに眠っているのはもったいない」と考え、不要になったiPhoneを手軽かつ迅速に買い取りできる環境を日本で提供したい、というわけです。
また、日本で埋蔵スマホが増えるのは「買い取り店の利用に抵抗感を持つ人が多いから」と分析し、それらの課題を解決して安心して使ってもらえるようにしたのも特徴です。
日本では、使わなくなったスマホを手放さない理由として「買い取り店が近くにない」「手続きに時間がかかる」「買い取り店や担当者によって査定額がバラバラ」「買い取り店の雰囲気が苦手」「個人情報の漏洩が怖い」といった理由が上位に挙がります。
そこでMINTITは、渋谷のど真ん中にあるb8taに設置。さらに、スマホに導入した査定用のアプリが取得した情報と、さまざまな方向からスマホの外観を撮影したカメラの情報をAIが総合的にチェックする仕組みを備え、スマホの状態を正確に把握できるように工夫。査定する人による主観や偏りを排除し、買い取り金額をバラつきなく弾き出すようにしました。買い取り店でもっとも時間を費やすスマホの状態チェックを人間ではなくアプリとAIに任せることで、査定にかかる時間を10分ほどに抑え、ちょっとした空き時間に利用できるようにしています。
さらに、日本特有の古物取引の法律をクリアするため、韓国版にはない機能も追加しています。その1つが端末固有のIMEI番号チェック機能で、端末が盗難品ではないかや、残債があり赤ロム化の可能性がないかをチェックします。さらに、運転免許証などの身分証明書のスキャンや顔写真の撮影など、古物営業法で必要な身元確認も実施。買い取りが成立したスマホ内のデータは、復元不可能な独自の技術で完全に削除されます。
MINTITは渋谷のb8taのほか、Smart Labo ららぽーと湘南平塚(神奈川県平塚市)に設置され、今後は大型ショッピングモールや大手の量販店などにも設置される予定になっています。現在の実証実験中は、iPhoneとGalaxy、フィーチャーフォン(ガラケー)の査定のみに対応します(フィーチャーフォンは一律100円での買い取り)。査定後にキャンセルするのも自由なので、使わなくなった手持ちのiPhoneがどれだけの価格で売れるのかを試してみるのもよいかもしれません。