様々なスマートフォンが海外では販売されていますが、特殊なジャンルの製品としてアウトドア向けにボディーを強固な構造にしたタフネス仕上げのスマートフォンがいくつか販売されています。その中でもBlackViewの「BV6600 Pro」は普通のスマートフォンにはない大きな特徴を持っています。それはサーマルカメラの搭載。なんとスマートフォンなのに温度を測定するサーマルカメラを搭載しているのです。

  • BlackViewのBV6600 Pro

    BlackViewのBV6600 Pro

BV6600 Proは4G LTEに対応したミドルレンジのスマートフォンです。チップセットはこのクラスの製品では一般的なメディアテック製のHelio P35を搭載。メモリは6GBにストレージは64GBという構成、SIMカードは2枚装着でき、マイクロSDカードは128GBまでに対応します。ディスプレイは5.7インチ1,440x720ピクセル。価格は定価400ドル(約5万1,000円)ですが、BlackViewはキャンペーン販売をよく実施しており、2022年4月末時点では280ドル(約3万6,000円)で販売されていました。スペックを見ると価格は割高に思えるかもしれませんが、一般的なスマートフォンとはデザインが全く異なる分厚いボディーに秘密が隠されています。

  • かなり分厚いボディーのミドルレンジスマートフォンだ

BV6600 Proの本体サイズは159x79.4x18mmとかなり分厚く、重さは325gもあります。しかしこの大きいサイズには理由があるのです。まずバッテリーは8,580mAhと一般的なスマートフォンの2倍のサイズ。ミドルレンジモデルということもあり、1日どころか2−3日は十分使えるでしょう。公式なスタンドバイ時間はオフラインで792時間(33日)、4G/Wi-FiをONにしていても430時間(18日)もあるのです。OTGケーブルを使えば他のスマートフォンを充電することも可能です。またボディーはIP68の防水防塵、IP69Kの耐高圧水、さらにMIL-STD-810Gに対応。メタルフレームに四隅を硬質ゴムで覆い、1.5メートルの高さから落下させても破損しないとのこと。

  • タフなボディーはアウトドアでも安心して使える

この手の製品は無骨なデザインのものが多いのですが、BV6600 Proはブラックのボディーに効果的にグリーンのパーツを組み合わせることで、タフでありながらもカジュアルなイメージの外観としています。背面にはNFCロゴもありモバイルペイメントにも対応。そしてカメラはメイン1,600万画素と500万画素の2眼に加え、FLIR社のサーマルカメラを搭載。このサーマルカメラだけでも数万円しますから、BV6600 Proはそれだけでもかなりお得なスマートフォンと言えそうです。

  • NFCも搭載、カメラは2眼+サーマルカメラ

OSはAndroid 11ベースのDoke OS 2.0。プリインストールアプリにも特徴があり、アウトドアで便利なアプリのセットを「ツールボックス」として用意しています。ツールボックスには「方位磁針」「騒音試験」「ぶら下げ絵画」「レベル」「高さ測定」「虫眼鏡」「分度器」「鉛ボブ」「歩数計」「トーチ」がセットになっています。いくつか使ってみましたが日常的に街中でも便利に使うことができそうです。

  • アウトドア向けの便利なアプリのセット「ツールボックス」

  • 東京の繁華街の交差点で騒音をリアルタイムにチェック

  • 自宅ベランダの壁修理時に、レベル(水準器)で積み上げたブロックの水平チェック

  • 階段の角度が気になったので分度器で測定

そして普通のスマートフォンではできない「温度を計測」できるのがBV6600 Proの大きな特徴です。測定温度は最大450度とのこと。なお対象物との距離が2から5メートルの間では実温との差が2から3度、5メートルから25メートルの間では5度から10度の差が生じます。これは搭載するFLIRのサーマルカメラの性能によるものです。

  • サーマルカメラを起動する

サーマルカメラは様々な撮影を可能にします。サーマルカメラを起動すると画面左にアイコンが並びますが、標準と高温モードの切り替え、画面内に温度バーの表示、特定のポイントの温度を画面にリアルタイム表示、などの機能が使えるのです。サーマルカメラの用途は様々ですが、たとえば自宅のキッチンがどうも室温が高い、なんてときにサーマルカメラで撮影してみると、冷蔵庫の裏側を中心にかなり温度が上がっていることが判明しました。壁から冷蔵庫をもう少し離せば室温問題は解決できそうです。

  • 写真(上)ではわからない温度の状況が、サーマルカメラ(下)ではわかる

サーマルカメラは写真を撮影しなくとも、カメラを通してプレビューするだけで温度を見ることができます。プレビュー画面内で特定の場所にポイントを設定すると、その場所の温度がわかります。こちらの例は電車に乗った時のもの。気温が急に上がった日に車内に入ったものの、冷房の効きがよくありません。サーマルカメラで見ると天井のクーラー付近は冷えているのですが、乗客が多いこともあってか車内全体はそこまで冷えていないようです。ならば他の車両に移動したほうがいいかもしれませんね。サーマルカメラがあればこんなことも手軽に行えます。

  • 冷房の効きが悪いと思って車内でサーマルカメラを通して温度を見てみた

ところでサーマルカメラで撮影した画像は、サーマルカメラアプリのプレビュー画面から、上からドラッグして普通の写真を見ることもできます。サーマルカメラ撮影時は同時に普通の写真も撮影されているのです。たとえば機械をサーマルカメラで撮影し、異常に温度が上がっている部分があれば、画像をドラッグしながらどのあたりが熱を持っているか写真で判断する、ということもできるわけです。

  • 上からドラッグすると写真表示にも切り替えできる。これは出来立てのピザを撮影してみた

さてカメラは超広角を搭載しておらず、カメラを起動すると倍率は1倍か2倍のみ。またマクロも搭載していないため最短撮影距離も10cm以上とあまり近寄れません。このあたりはサーマルカメラを搭載しながらコストを抑えた結果でしょう。

  • 超広角はないものの、風景などの撮影も工夫しながら十分撮影できる

  • マクロはなくあまり近寄れないものの、撮影次第ではここまで撮れる

サーマルカメラは特殊なカメラであり、一般人が手軽に使うものではありません。しかしBlackView 6600 Proなら普段使うスマートフォンでサーマルカメラもいつでも使うことができるのです。さらにアウトドアで使えそうな便利なツールも大きな魅力でしょう。ハイキングや登山などアウトドアレジャーに最適なスマートフォンとして、BlackViewの製品は注目したいものです。