NTTドコモ モバイル社会研究所は4月25日、災害時における家族との連絡方法についての調査レポートを発表した。あらかじめ連絡方法を決めてある人はおよそ3人に1人に留まることがわかった。
直近の災害としては2022年3月16日に発生した福島県沖地震によって、新幹線などの交通機関の遮断、ブラックアウト対策による震源地から離れた関東エリアでの停電などがあった。あらためて災害のリスクを意識するとともに、防災バッグやポータブル電源などの備えを検討した人も多いだろう。しかし、連絡手段まで意識して考えている人は少ないかもしれない。
今回発表されたレポートは、2021年10月に実施された調査に基づいている。災害時の連絡手段を家族で決めている人は33.5%。多少のばらつきはあるが突出した年代はなく、2017年の過去調査と比較しても0.4ポイントダウンと、あまり大きな意識変化は起きていない領域といえる。
連絡手段を決めているという人にその方法を聞くと、トップ3は「スマホ・ケータイの通話」(76.5%)、「スマホ・ケータイのメール」(57.9%)、「災害用伝言ダイヤル」(28.7%)だった。通話とメールに関しては2017年と比べてそれぞれ10%前後増えており、平常時のコミュニケーションツールとしての衰退とは真逆の動きをしている点が興味深い。
年代別に見ると、どの年代も通話とメールを災害時の有力な連絡手段としている点は変わらない。3位以下は世代によって選択が分かれ、10代・20代はソーシャルメディアの音声通話、30代~60代は災害用伝言ダイヤル、70代は固定電話での通話を選んだ。
多くの人が一斉に連絡を取ろうとする災害時において、音声通話はつながりにくい場合が多いほか、安否確認目的の音声通話が殺到することで電話回線が輻輳(ふくそう)し、緊急通報などの妨げになるリスクもある。災害用伝言板や災害用伝言ダイヤルなど、適切でつながりやすい手段もあらためて検討したいところだ。
調査概要
- 調査名:2021年防災・減災調査
- 調査方法:Web調査
- 調査対象:全国15~79歳男女
- 有効回答数:9,072
- サンプリング方法:QUOTA SAMPLING。性別・年齢(5歳刻み)・都道府県のセグメントで日本の人口分布に比例して割付
- 調査時期:2021年10月