年齢を重ねてテレビやPC、スマートフォンなどから出る音が聞こえにくくなったとき。イヤホンやヘッドホンも便利ですが、例えばテレビとつないだ肩掛け型スピーカーを使ったり、有線/ワイヤレススピーカーを近くに置いたり、という手も解決に一役買いそうです。

サウンドファンの「ミライスピーカー・ホーム」もそんな“聞こえの問題”の解決を図るスピーカーの1つ。特許技術「曲面サウンド」を搭載し、音が聞こえにくい高齢者向けに「聞こえやすい音」を出すスピーカーです。簡単な操作で使え、机に置けるため肩や耳への負担が少ないことも特徴となります。

発売は2020年5月と約2年前の製品ですが、2022年4月21日、新たにPRキャラクターに起用された高田純次さんによる新CM発表会を開催。ミライスピーカー・ホームの視聴体験会も行われました。

  • ミライスピーカー・ホーム。ちょっと変わった形のスピーカーです

  • 高田純次さんが新CMのキャラクターに就任しました

高田純次さんが出演する新CMは、サウンドファンの公式YouTubeで4月21日から先行放映。テレビ上では4月23日から放映予定です

ミライスピーカー・ホームってどんなもの?

ミライスピーカー・ホームは、湾曲させた平板を振動版に採用した有線スピーカーです。曲げた振動版の形を基に、円を4分の1に切ったような、とてもユニークな形をしています。

2015年に1号機ミライスピーカー・ボクシィを、2017年に2号機ミライスピーカー・Boxy2、3号機ミライスピーカー・ Curvyを発売。2020年5月に登場した4号機ミライスピーカー・ホームはシリーズ初の家庭向けモデルで、従来から小型化し、29,700円という3万円を切った価格が“売り”の製品です。

  • 実はシリーズ4号機のミライスピーカー・ホーム。周波数特性は250Hz~20kHz、アンプ出力は最大18W。サイズはW86×D212×H143mm、重さは約690g

  • 円を4分の1に切ったような扇形をしています。メッシュの中に見える白い部分が、カーブを描いた振動版(スピーカーユニット)で、その下にアンプ基板が内蔵されています

  • 上部にはボリュームつまみを搭載

一般的なスピーカーの振動版は円すい型(コーン型)であるのに対し、ミライスピーカー・ホームは曲げて弧を描かせた平板を振動版に採用。この湾曲させた振動版から出た音は、コーン型スピーカーと比べ広い指向性を持ち、距離による減衰も少ないことが特徴です。

サウンドファンはこの仕組みをスピーカーに採り入れ、高齢者の“聞こえの問題”の改善を図りました。

  • ミライスピーカー・ホームの特徴。アンプ基板、スピーカーユニット(曲面の振動版)、本体カバーを組み合わせています

大学と共同で行った実験では、湾曲させた板をスピーカーの振動版に使うことで、高齢者が聞こえにくい4,000~5,000Hzの高音域も含め、音を広範囲に、明瞭に届けられる実験結果が出たとします(東京都立大学システムデザイン研究科電子情報システム工学域 大久保寛研究室のデータより)。

湾曲させた板と組み合わせると、音が通常より広範囲に届けられることは一般的に知られている現象だといいますが、「なぜそうなるのか」は実は解明されておらず、研究途中とのこと。

ただ、この現象をスピーカーに応用し、組み込んだ曲面の振動版から出る音を同社は「曲面サウンド」と命名。この技術で国内特許を取得したほか、PCT出願(国際特許出願)および台湾出願も行っています。

  • ミライスピーカーと、一般的なコーン型スピーカーの音波の違い。いずれも、ミライスピーカーでは広い指向性が確認されたといいます(画像上下)

確かにテレビの音が聞こえやすい

実際にミライスピーカー・ホームをテレビにつないで、音を聞いてみたところ、ミライスピーカー・ホームがオフの状態では、意味が取りにくいほど小さなテレビの音が、ミライスピーカー・ホームをオンにすると、テレビ側の音量は同じままでも、音が一段階大きく聞こえました。

なお、使う準備は本体にAC電源をつなぐこと、テレビから音声をライン入力すること(3.5mmステレオミニ対応オーディオケーブル使用)の2つのみ。有線であることが逆に設定の手間を省き、電子機器を使い慣れない人でもわかりやすい仕組みになっています。

  • 背面には電源スイッチと、LINE入力端子、AC電源入力端子があります

  • こちらはテレビ側のLINE出力端子

また、一般的なスピーカーと異なり、「音量を上げなくても聴き取りやすくなる」こともポイント。

テレビとつないだ場合、家族が普通の音量でテレビの音を聞きたいときは本体をオフに、高齢の方が音量を上げたいときは本体をオンにするだけで、再生される音の聞こえやすさが変わるため、テレビ側の音量を調節する手間を省けます。また、テレビを点けたら想定外の大音量で驚いた! という事故も減らせそうです。

高田純次さん「一人一台持ってていい」

新CMキャラクターを務めるタレントの高田純次さんは、最初にミライスピーカー・ホームの音を聞いたとき、音が良質だと驚いたそうです。

音自体も聞こえやすくなり、高田純次さんのご家族はテレビの音量を20程度、高田純次さんは30程度で聴いているそうですが、ミライスピーカー・ホームを導入した後は、高田純次さんも家族と同じ20程度の音量で聞こえるようになったとのこと。

「耳が遠くなってきているんですかね。自分ではそう思わないけど」と、話した高田純次さん。「高齢の人に限らず、若い人でも誰にでも使ってらえる。一人一台持っててもいい。(家にあるミライスピーカー・ホームは)『マイスピーカー』として、かわいがっていきたい」と便利さをアピールしました。

  • サウンドファンの山地浩代表取締役社長(左)と高田純次さん(右)

「聞こえの問題」に国境はない。夏には米国販売も

ミライスピーカーの今後の事業展開は、コンシューマ向けの販売を延ばすこと、企業に向けたビジネス向け市場に展開すること、海外への出荷を開始することの3つ。

家庭向けのミライスピーカー・ホームは、2020年5月の発売から10カ月目で1万台を達成して以降、18カ月目で3万台、23カ月目(2022年3月)で6万台と、順調に累計販売台数を伸ばしています。

  • サウンドファンの山地浩代表取締役社長

サウンドファンの山地浩代表取締役社長は、このタイミングで新CMを投入して知名度を押し上げ、2025年には国内コンシューマ向け市場で累計100万台の販売を狙うといいます。

国内外のビジネス市場や海外のコンシューマ向け展開にも注力。国内外のビジネス市場では、テレビやスマートスピーカーなどの家電だけでなく、電車やバスなど、他カテゴリー製品へのビルトインも提案していきたいとしました。

また、「聞こえの問題に国境はない」と、海外のコンシューマ市場への参入にも意気込みました。当初計画より前倒しした2022年夏に、まずは米国でAmazonで販売を予定しています。

  • ミライスピーカー・ホームの類家販売台数

  • 今後、力を入れていく事業領域