TeslaとSpaceXのCEO(最高経営責任者)である起業家イーロン・マスク氏が、Twitterに全株式を取得する形での買収を提案した。13日付で米証券取引委員会(SEC)に提出された報告書で明らかになり、14日にTwitterが買収提案を受けたことを認める声明を出した。

マスク氏は1月後半からTwitter株を買い進め、4月4日までに9.2%を取得して筆頭株主になった。Twitterは言論の自由に対して大きな社会的役割を果たしているとしており、同氏の関心をTwitterのCEOパラグ・アグラワル氏や前CEOのジャック・ドーシー氏も歓迎。5日にTwitterの取締役就任が発表されたが、その後マスク氏が辞退して実現しなかった。辞退の理由は明らかになっておらず、Twitterの今後について意見を述べ始めたマスク氏とアグラワル氏の考えの不一致を指摘する報道もあった。

SECに提出した報告書の中でマスク氏は、言論の自由は民主主義を機能させるものであり、Twitterが自由な言論のプラットフォームになる可能性を信じて投資したが、現在の形態では同社が繁栄することも、社会的な要請に応えることもできないと指摘。必要な変化を実現するために、Twitterは株式を非公開化すべきであるとしている。

マスク氏は、Twitter株1株に54.20ドルを提示している。Twitter株の13日終値は45.85ドルだった。提示額は同氏がTwitterに投資し始める前日(2022年1月28日)の終値に対して54%の上乗せになる。Twitterを430億ドルと評価した提案になるが、マスク氏が初の世界一に立ったForbesの2022年世界長者番付(4月5日公開)によると、同氏は2,190億ドルの資産を保有する。

報告書の中でマスク氏は、Twitterには並外れた可能性があり「それを解き放つ」と主張している。一方で、買収提案は最善かつ最後の申し出であり、受け入れられない場合は株主としての立場を再考する考えを示した。

Twitter取締役会は声明を通じてマスク氏の提案を「慎重に検討する」としている。4月14日午前に取締役会が開催されることをCNBCなどが報じており、The Informationによると取締役会はマスク氏による買収提案を歓迎していない。