シャオミ・ジャパンは3月4日の「Redmi Note 11」日本国内発表にあわせて報道関係者向けのオンライン説明会を開催した。説明会に登壇したのは、シャオミの東アジア担当ゼネラルマネージャーを務めるスティーブン・ワン氏と、シャオミ・ジャパンのプロダクトプランニング部 本部長の安達晃彦氏。ワン氏が2022年度の日本における戦略を語り、安達氏が「Redmi Note 11」の詳細を紹介した。
100%グローバル、100%ローカライゼーション
ワン氏はまず、世界3位のスマートフォンメーカーであるシャオミの概要を紹介。日本国内でもスマートフォン出荷台数で2020年から500%増、スマートバンドでは国内シェア2位を獲得するなどの成果をアピール。また、公式Twitterアカウントのフォロワーも倍増して12万人に達し、シャオミ製品についてのツイートがインドに次いで多い国となるなど、日本がシャオミにとって重要な市場であることを紹介した。
そして2022年のテーマとしてあげたのが「100%グローバル 100%ローカライゼーション」という言葉。その意味するのは、グローバルな生産体制をもちつつ、ローカルな市場に展開していく――といったところ。グローバルでシャオミがもつ開発・生産の能力をベースとして、そこから生まれた商品を日本市場に投入していくというふうに考えればよいだろう。
グローバルな体制のメリットとしては「Xiaomi 11T Pro」で投入された120W充電をはじめとするシャオミのさまざまな先端技術を挙げ、また生産規模の大きさからくる利点として「Xiaomi Smart Factory」と呼ぶ先進の生産体制を紹介。そしてXiaomiをたんなるスマートフォンメーカーではなく多数のパートナー企業と製品エコシステムを構築する存在と位置付けるなど、「100%グローバル」についてはすでに高いレベルで実現されているとした。
そして、2022年に同社が力を入れるのが「100%ローカライゼーション」ということになる。その戦略として、マーケティング/人材/チャンネル/運営/製品/店舗の6つの軸で強化を図っていく方針だ。
マーケティングに関しては、2021年にスマートフォン/ウェアラブルの領域で認知を拡大したことを受け、メインストリーム市場でのさらなる認知拡大を目指す。人材については、日本市場向けのオペレーションを日本国内で担当するのが望ましいとし、それを担える体制を確立したいとした。「チャンネル」は国内市場の小売チャンネル強化を図るということで、国内4,000拠点以上の顧客との接点を確保するという。これらの拠点で取り扱うのではスマートフォンに限らない多様な製品で、拠点の数だけでなくその質にもこだわりたいという考えだ。
運営については、日本市場についての製品開発、ロジスティクス、資金運用までを日本国内のチームに順次移管していく方針。また製品の日本市場向けローカライゼーションについては、2021年にも日本向け独自開発モデル「Redmi Note 10 JE」を投入するなどしているが、2022年はユーザーや販売チャンネルの意見を取り入れ、さらに深いレベルでのローカライゼーションを行いたいという。質疑応答では、こういった変化が目に見える形であらわれるまでには1年程度はかかるという見込みを明らかにしている。
そして最後に挙げたのが自社店舗「シャオミストア」の展開。求めているのは販売チャンネルとしてよりもブランディング効果で、スマートフォンに限らないシャオミのエコシステムにユーザーが触れる場所を提供することが重要だとした。ただしシャオミストアの展開は段階的に進めることを意図しているとのことで、まずはストアインストアやポップアップストアなどの形態を想定する。また、出店の具体的な日付などが決まっている状況にはないとのこと。他の展開についても短期的なゴールよりも中長期的な目標を重視する姿勢だ。
「Redmi Note 11」は日本では1モデルのみの展開
続いて安達氏が「Redmi Note 11」の紹介を行った。安達氏はソニーモバイルの出身。ワン氏は、日本市場をよく知る安達氏の起用によりシャオミの日本市場への理解が深まるとし、安達氏に対しても「シャオミのリソースを活用して日本の市場に合った商品を開発してほしい」と期待を寄せており、安達氏も「1年後くらいには自分の爪痕の残った商品を提供できれば」と語っている。
「Redmi Note」シリーズはフラッグシップレベルの機能をミッドレンジ製品に落とし込んだ製品となる。商品としては1月のグローバル発表会の際に紹介されたとおりだが、スタイリッシュなデザイン、50MPのクアッドカメラによる写真機能、高性能なディスプレイ、Snapdragon 680搭載、5,000mAhの大容量バッテリ、33Wの急速充電といったところが特徴。日本国内で販売される製品にはグローバルで販売されるものと差はないが、通信のバンドについては日本国内での利用を想定した設定になっているという。
「Redmi Note 11」が搭載するAndroid 11ベースのOSであるMIUI 13についても、コアエMIUI 13にはストレージの断片化を低減してパフォーマンスを最大減に発揮させる「Liquid Storage」、複数アプリ利用時のメモリ管理を最適化してバックグラウンドでの処理効率を向上させる「Atomized Memory」、プロセッサのリソースをアクティブなアプリに優先して割り当てる「Focused Algorithms」、パフォーマンスとバッテリーのバランスをリニアに最適化してバッテリの寿命を10%向上させる「Smart Balance」がそれだ。こういったコアエクスペリエンスの向上に加えて、サイドバーなどスマホをパーソナライズできるUI機能がMIUI 13の特徴となる。
質疑応答で発熱対策の詳細について聞かれると、ソフトウェア面では発熱を防ぐようなアルゴリズムを採用し、ハードウェアではグラファイトシートの複数搭載、より良質なベーパーチャンバーの搭載といった対応を行っているとの回答だった。
発売日は3月10日で、3月4日9時より予約を受け付けている。「Redmi Note 11」はグローバルでは4GB+64GBモデル、4GB+128GBモデル、6GB+128GBモデルの3モデル展開だが、日本国内では4GB+64GBモデルのみの設定で、価格は24,800円。早割特典として、シャオミのMi.comと楽天市場のシャオミ公式ストアでは数量限定で22,800円での購入が可能。ちなみに、グローバルでの4GB+64GBモデルの価格は通常179ドル/早割159ドルだ。
さらに特別保証やYouTubeとのパートナーシップについて言及した後、最後に「Innovation for Everyone」というシャオミのミッションステートメントとそれを日本語で表現した「世界中のすべての人がテクノロジーがもたらす良質な生活を送れるように」という言葉を紹介し、今後もさまざまな商品を提供していきたいとして安達氏はプレゼンテーションを終えた。
シリーズのうち「Redmi Note 11」のみの発売となったのは価格がポイント
質疑応答では、4機種ある「Redmi Note 11」シリーズのうち、「Redmi Note 11」のみが日本国内発売となった理由について問われた。安達氏は、現在のシャオミが日本市場にすべての製品を持ち込むのは難しいということ、24,800円という価格を設定できればMVNO各社から非常にリーズナブルな提供が見込めることなどを考慮して「Redmi Note 11」の発売となったと回答。いちばん低廉な価格で、コストの割安感を感じやすいという点がポイントとなったという。
5G非対応機種の投入となったことについては、5G非対応ではあってもその他の機能については2万円台の価格でありながらフラッグシップレベルの性能であるといい、5Gよりも画質や表現力を求めるユーザーのニーズに応えるものとなりうるという考えを示した。また、スマートフォン市場も成熟して多様な使われ方をされるようになっており、その点からも自宅のWi-Fiや公衆無線LANなどを利用するユーザーにとっては5G非対応であっても使い勝手がよい製品であるとも語った。