何かと話題の折りたたみスマートフォンには「横折り式」と「縦折り式」の2種類があります。このうち縦折り式のスマートフォンは昔のガラケーのように、開くと大画面、閉じると手のひらに収まるコンパクトな大きさが魅力です。サムスンが2021年に発売した「Galaxy Z Flip3 5G」が世界各国で人気になっていますが、中国TCLからも同じスタイルのスマートフォンが今年発売される予定です。

  • TCLの折り畳みスマートフォン「Chicago」

TCLの「Chicago」は2021年中に発売される予定だった縦折り式スマートフォンです。Chiagoは開発名称で、製品名は「TCL Flex V」になるとも言われています。サムスンのGalaxy Z Flip3 5Gの後に登場予定でしたが様々な理由で延期されてしまったそうです。しかしGalaxy Z Flip3 5Gの人気が高まっていることや、ファーウェイからも縦折り式のスマートフォン「P50 Pocket」が出てきたことから、TCLとしても改めて2022年中に発売に踏み切るようです。1月にラスベガスで開催されたCES 2022のTCLブースで実機をじっくり触ることができました。

  • TCLとして初の折りたたみモデルでもある

Chicagoのディスプレイサイズは6.7インチ。Galaxy Z Flip3 5Gと同じアスペクト比22:9のワイドサイズのディスプレイを搭載します。チップセットはミドルレンジ5Gスマートフォン向けのSnapdragon 765Gを搭載していますが、2022年に改めて発売となると最新の700番台を搭載してくるのかもしれません。

  • 開くと6.7インチのワイドディスプレイが現れる

ディスプレイのヒンジ部分は埃などが入らないようカバーされた状態になっています。Galaxy Z Flip3 5Gのようにディスプレイの折り曲がる部分に折り目は見えず、開くと完全フラットなディスプレイが現れます。TVの大手メーカーでもあるTCLは子会社にディスプレイ製造メーカー(CSOT、チャイナスター)を持っており、同社はスマートフォン向けの新しいディスプレイも開発しています。Chicagoが採用する縦折り式のディスプレイは、サムスンのディスプレイメーカーであるサムスンディスプレイに対抗するべく、TCLとCSOTが作りあげた見た目も美しい折りたたみディスプレイと言えます。将来はChicagoが搭載するディスプレイを、他のスマートフォンメーカーも採用することでしょう。

  • 開いても折り目のないフラットなディスプレイ

6.7インチのワイドディスプレイならSNSのタイムラインもより多くの情報を見ることができますし、ディスプレイの上下それぞれに別のアプリを表示するマルチウィンドウも使いやすいでしょう。縦折り式のスマートフォンは今のスマートフォンの画面サイズをさらに大きくしながらも、本体の横幅を抑え、しかも畳めばコンパクトな大きさになるのです。

  • ワイドサイズのディスプレイは表示も見やすく使いやすい

通話するときも本体が縦に長いため持ちやすくなります。またベージュと薄いピンクの中間の色合いの本体に、ヒンジやフレーム部分のシャンパンゴールド色の組み合わせは上品な印象。外側にある縦長のディスプレイ形状と合わせて「ちょっと違うスマートフォンを使っているな」と周りの人から注目を集めそうです。

  • 本体サイズが長いと通話もしやすい

ヒンジ部分はしっかりした強度がありますが、片手でもってそのまま閉じることもできます。片手で開閉がスムーズにできるため、閉じた状態から開くのも苦ではありません。ガラケーもそうでしたが、ヒンジの動きのスムーズさは折りたたみスマートフォンで重要なポイントになります。

  • しっかりしたヒンジだが片手でも楽に開閉できる

本体を完全に畳むと隙間もありません。側面から見ても美しく感じられますね。そういえば最近OPPOやHonorが発売した横折り式のスマートフォンも閉じたときに隙間がありません。2022年以降の折りたたみスマートフォンは「ゼロギャップ」、すなわち閉じたときに隙間がないことが当たり前になりそうです。

  • 閉じた状態では隙間がない

閉じたときのアウトディスプレイは1.9インチ、260x512ピクセル。タッチパネルになっておりカメラアプリを起動することも可能です。通知の表示にも対応しているとのこと。

  • 外側には1.9インチのディスプレイを備える

カメラは1,200万画素の標準(広角)と超広角のデュアル仕様。外ディスプレイをプレビュー画面にして自撮りもできるので、高画質なセルフィー撮影が可能です。なお内側のディスプレイのカメラは1,000万画素を搭載しています。

  • 1,200万画素カメラを2つ搭載

縦折り式のスマートフォンは開けばワイド画面、閉じれば手のひらに収まる小型サイズになるのが特徴ですが、Chicagoはディスプレイを半開きにしてアプリを使えるフレックスモードに対応しています。これはGalaxy Z Flip3 5Gが搭載している機能ですが、本体をL字型に開くと、アプリの画面が上半分と下半分で別々の表示となるもの。カメラアプリなら上側がプレビュー画面、下側がシャッターや設定などとなります。

  • L字型でアプリを使うフレックスモード

フレックスモードならChiagoをテーブルの上に置いて、インカメラで自撮りしたりビデオ会議するのも簡単。またアウトカメラを使って外の風景を撮影するのもいいでしょう。Chicagoを机の上に置けば三脚いらずで写真や動画も楽に撮れるのです。

  • フレックスモードは写真撮影時にハンズフリー、三脚いらずとなる

Chicagoの発売時期は未定ですが、サムスンがGalaxy Z Flip3 5Gを999ドルという戦略的な価格で出したことから、価格設定をどうするかTCLとしても悩んでいるかもしれません。TCLとしては先進的なディスプレイを搭載したモデルにプレミアムな価格をつけたかったのでしょうが、OPPOが2021年12月に発表した横折り式スマートフォン「Find N」の価格は7,699元、約1,200ドルです。折り畳みスマートフォンの価格は2021年後半から一気に下落が進んでいます。

  • TCLのフラッグシップモデルとも呼べるChicago、どれくらいの価格になるのだろうか

一方でコンパクトな大きさになる縦折り式のスマートフォンは見た目のデザインもよく、ファッションアイテムにもなります。ライバルはサムスンとファーウェイ、モトローラと数社しかないことから、TCLがChicagoを出せば世界中で大きな話題になることは間違いないでしょう。年内の市場投入が楽しみな製品です。

  • 新型ディスプレイと見た目の美しさで評判になるだろう