デジタルカメラやスマートフォン、アップル製品など、さまざまなジャンルを専門とするライターやカメラマンのみなさんに「2021年に買ってよかった、胸を張って人に薦められるナンバーワンのデジタル機器や家電」を挙げていただきました。今回は、スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスに詳しいライターの小山安博さんです。

3代目になり、満を持して購入した折りたたみスマホ「Galaxy Z Fold3 5G」

妙に小さいデジタルガジェットが好きな筆者なのですが、例外的にスマートフォンは大きい方が興味を引かれます。2011年に登場した大画面モデル「Galaxy Note」を、わざわざ香港まで買いに行ったものです。

その流れで、2019年に登場した折りたたみスマホ「Galaxy Fold」は当然のように期待していたのですが、端末代金の高さに加えて“初物”ということもあって購入には慎重になっていました。第2世代となっても、まだまだ20万円を超える折りたたみスマートフォンを購入するにはあと一歩足りません。

そして2021年、いよいよ登場した折りたたみスマホの第3世代モデル「Galaxy Z Fold3 5G」は、念願のSペン対応となりました。「あと一歩」に対応してくれたことで、満を持して購入に至りました。とはいえ、さすがに値段が値段なので、携帯キャリアが提供する購入プログラムを使いました。2年後に返却すれば割賦代金95,040円が免除となり、142,560円で利用できます。これなら、昨今のハイエンドスマートフォンと同等の価格といえなくもありません。

  • 完成度が高まり、折りたたみ型スマートフォンとしては現時点で最上級の製品として仕上がっているGalaxy Z Fold3 5G

予約が遅れたため、発売から1週間以上遅れて手元に届いたZ Fold3。購入キャンペーンのケースやSペンなどはさらに1カ月ぐらい遅れて到着するなど、入荷数も少ないのでしょうが、それでも結構な人気だったのかもしれません。Sペンに関しては、よりペンの長さが長い「Sペン Pro」も別途購入しました。

というわけでZ Fold3を入手して使ってみると、折りたたみの良さがふんだんに感じられます。一般的なタブレットは画面が大きいけど、移動の際に持ち歩きづらい。外出時はカバンの中に入れるのでサッと取り出せないですし、機動性が落ちてしまいます。

  • 折りたためばスマートフォンとして持ち歩けます。ただ、スマートフォンとしてはちょっと細すぎるともいえます

スマートフォンは、大画面といえども6インチ台で長細い画面。たいていの作業は間に合いますが、写真、動画、書籍といったコンテンツの利用には向いていません。マンガの吹き出しはいちいち拡大する必要があります。

開くと7.6インチになるZ Fold3は、アスペクト比が22.5:18。4:3に近く、画像や電子書籍の表示に向いています。全画面で横向きに持つと、文庫本ぐらいのサイズで快適にコンテンツの利用が可能です。画像編集も実用的なサイズです。

  • 開けば大画面のタブレット

それでいて、移動時には折りたためるので、いつでも持ち歩く気になります。普段使っている小さいバッグに大画面タブレットは入らないので持ち歩かない――。そんなことがなくなり、いつでも持ち歩けるわけです。Z Fold3は、ウエストバッグのスマートフォン用ポケットに収まってしまうので、スマートフォンと同様の頻度で持ち歩いています。

しかも、移動先ではスマートフォンよりも快適な大画面を使えるわけで、想像以上に便利。フレックスモードでノートPCのように画面を折って使うのも、テーブルに固定して使う際に役立ちます。真ん中で画面が折れているので、表示自体は違和感がありますが、動画の流し見やTwitterを眺めるぐらいなら支障はありません。

大画面なので、アプリを複数並べるマルチウィンドウも実用的。横向きにして2つのアプリを並べると、ちょっと小さめのスマートフォンぐらいのサイズでアプリが並ぶのでいい感じです。

  • 個人的によく使うのが「Lightroom mobile」。カメラから直接画像を読み込み、5Gのデータ使い放題回線でバックアップしつつ補正をしています。すぐに取り出せて大画面になるZ Fold3ならでは。UIがこなれていないというか、右側に出ている補正パネルのサイズが大きすぎるのが難点です

Sペンの存在も便利です。今までもGalaxy NoteシリーズでSペンを使ってきましたが、より大画面のZ Fold3だとさらに書きやすく、普段のメモも取りやすくなります。取材時のメモ取りで使う予定でしたが、このコロナ渦でその機会が減ってしまって、頻繁にメモ取りを行えていないのが悩みどころです。

  • Sペンで手書きメモ。書き味もよく、大画面だとメモもしやすいです

別売のSペン Proも購入したため、持ち歩きではSペン Fold Edition、自宅ではSペン Proという形で使っています。

ソフトウエアキーボードに課題アリ

現在の課題はキーボードです。できればソフトウエアキーボードでの入力にもっと慣れたいのですが、まだ高速入力ができません。誤入力も多いので、ついついキーボード入力を避けてしまいます。これに慣れればより使い勝手が向上すると思うので、なるべくキーボード入力をしていきたいと思っています。

  • 縦持ち、横持ちのいずれでも、画面サイズが大きいので入力はしやすいのですが、なかなか慣れません

  • こちらは縦持ちしたところ

  • そのまま折りたたむと、ATOK for Androidの場合はキーボードの種類が変化しないので、とても入力できるサイズではありません。もちろん、10キーモードに切り替えるのですが、これが自動で変化してくれれば嬉しいところです

折りたたみ型の端末では、マイクロソフトの「Surface Duo2」やオッポの「Find N」もあります。それぞれ仕組みは違うものの、Z Fold3が縦持ちで約3:4と縦長なのに対して、4:3に近い横長のデザインになっています。つまり、端末を開けばそのまま電子書籍を見開きで読めます。読むときも、書籍のように少し折りたたんで見開きを読む、ということもできて、折りたたんだスマートフォンモードでも細長すぎないサイズになっています。

この方が使いやすいのだろうとは思うのですが、Surface Duo2はディスプレイ自体を折りたたんでいるわけではない点、Find Nはペンに非対応という点が、それぞれ残念なところ。ペンに加えて、おサイフケータイや防水もカバーするZ Fold3の隙のなさは、さすがにモデルを重ねてきただけはあります。

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