今回は、イヤホン専門店のe☆イヤホン秋葉原店 本館に、イヤーピースのトレンドや売れ筋を取材しました。

イヤーピースは、イヤホンと耳が接触する部分を担う部品で、装着感や音質に大きな影響を与えます。多くのイヤホンには、複数サイズのイヤーピースが同梱されていますが、別売り品を買い求める人も最近は増えているとか。

同店の東谷圭人氏は「自分の耳に合う最適なイヤーピースを求める方は多くいらっしゃいます。左右で耳の穴の大きさが違うことは普通にありますし、アジア人は耳の中がカーブしていることもよくあります。親知らずを抜いたらあごの形が変わるので、最適なイヤーピースが変わることも。そうした外的な違いに加えて、個々人の好みの問題もあります。同梱品だけでは満たせない“かゆいところ”を求めているのだと思います」と解説します。

  • e☆イヤホン秋葉原店 本館の2階にあるイヤーピース売り場。東谷圭人氏にガイドしてもらった

ただし、イヤホンによって組み合わせられるイヤーピースの条件は変わりますし、あまり特殊な形状のイヤホンでは別売り品が付けられないこともあります。「イヤーピース選びのチェックポイント×4」を踏まえたうえで、人気モデルを追いかけていきましょう。

<イヤーピース選びのチェックポイント×4>

  • イヤホンの先端(ノズル)の径や長さはバラバラ。付属のピースに専用の凹凸が付いているモデルは要注意。
  • 完全ワイヤレスイヤホンはケースへの収納性も要チェック。本体にはまっても、ケースに収まらないことも。
  • 付属のイヤーピースがノズルのフィルターも兼ねているタイプは交換が厳しい。実物で確認するのが無難。
  • 同じサイズ名でもブランドごとに寸法は異なるので、それぞれ試着して比較したい。
  • Spinfit(白)とfinal(ピンク)の「SSサイズ」。サイズ感はブランド単位で測ろう

※本文と写真で掲載している価格は、取材した2021年10月12日11:30時点のe☆イヤホンWeb本店価格のものです。日々変動しているので、参考程度に見てください。

フィット感で評判の「SednaEarfit Crystal」&「SednaEarfit XELASTEC」

まずは、完全ワイヤレスイヤホン向き=笠の高さを抑えたタイプのトレンドから見ていきましょう。

このジャンルで一番人気になっているのは、AZLAの「SednaEarfit Crystal」とのこと。価格は2,680円でした。2021年6月に登場したSednaEarfitシリーズの新モデルで、独製のプレミアムLSR(リキッド・シリコン・ラバー)を採用し、長時間の装着でも疲れにくい仕様をうたっています。

「SednaEarfitシリーズの評価が非常に高くて、その最新モデルとして注目されていますね。フィット感がよく、6サイズもラインアップしているので、最適なものが見つけやすいと思います」

  • AZLA「SednaEarfit Crystal」

シリーズの人気を押し上げたのは、2020年6月発売の「SednaEarfit XELASTEC」です。熱可塑性エラストマー(TPE)という素材を採用したモデルで、こちらも6サイズから選べます。価格は1,980円でした。

「TPEは医療でも使われている素材で、温めると形が変わるのが特徴です。耳に入れると体温によって耳の穴の形にフィットしていくんですよ。似たようなフィット感のあるウレタン素材と比べて耐久性があり、音がこもらないということで人気を集めています」

  • AZLA「SednaEarfit XELASTEC」

耳の穴に追従しやすい「Spinfit CP1025」

SednaEarfitシリーズとともに人気があるのが、Spinfitの「CP1025」です。Appleの完全ワイヤレスイヤホン「AirPods Pro」のために開発されたシリコン製のイヤーピースで、こちらもフィット感が高く評価されています。価格は1,650円で、サイズは5段階あります。

「笠と軸の間に溝があって、そこが柔軟に動く構造になっています。耳の穴がカーブしている方でも無理なく追従してくれるので、外れにくく負担も抑えられます。AirPods Pro以外の完全ワイヤレスイヤホンと組み合わせる人も多いですよ」

  • Spinfit「CP1025」

  • CP1025を裏返したところ。笠と軸の間に溝があるのが分かる

クセのない音とフィット感でベストセラー「final TYPE E」

ここからは、一般的なイヤーピース=笠が高めのタイプの売れ筋です。

ベストセラーとしていの一番に挙げられたのは、finalの「TYPE E」でした。5サイズをラインアップしているシリコンモデルで、カラーバリエーションも多彩に揃えています。価格は980円。

「イヤーピースで長年の実績があるfinalによる製品で、形状や固さが絶妙です。耳に合いやすく、音にクセがありません。『イヤホン本来の音を楽しみたい』と『フィット感を追求したい』を両方叶えてくれる製品ですね」

  • final「TYPE E」

SednaEarfitの最新シリーズ「SednaEarfit VIVID EDITION」

2021年10月に登場したばかりで注目を集めているのが、AZLAの「SednaEarfit VIVID EDITION」です。笠が半透明で、軸部分にビビッドカラーをあしらっているのが特徴といえます。サイズは6種類、カラーは5種類あり、価格は1,980円となります。

「これまでのSednaEarfitとは異なるライトな装着感で、音の感じも変えていますね。イヤーピースでもカラーリングを楽しみたい人にお勧めです」

  • AZLA「SednaEarfit VIVID EDITION」

抜け感の良さで定評のある「Spiral Dot」シリーズ

とりわけ音質向上を目的にイヤーピースを探す人に人気があるのが、JVCの「Spiral Dot」シリーズです。イヤーピースの内側をディンプル加工することで、反射音を拡散させて音のにごりを抑える構造を採用しています。笠が短めの「Spiral Dot SF EP-FX11」の価格は1,380円でした。

「実際に音のこもりがなくて、抜け感が良いです。試着して普段よく聴く音楽を流してみると違いが分かると思いますので、ぜひ体感してほしいですね」

  • JVC「Spiral Dot SF EP-FX11」