パナソニックの「Eolia(エオリア)」シリーズは、「健康で快適な空気と暮らそう」をコンセプトにしたルームエアコンです。独自技術「ナノイーX」を搭載するなど、室内の空気の清潔性と快適性に注力しています。

11月中旬発売の新製品「エオリア LXシリーズ」は、冷房・暖房・除湿に加えて「加湿」「換気」機能を備えた点が大きな特徴。特に、ナノイー技術を進化させた「ナノイーX」や、給水なしで加湿できる機能は、冬の暖房シーズンに頼もしい機能です。メディア向けの新製品セミナーからお届けします。

  • 新製品のエオリア LXシリーズ

室外機に秘密あり。「換気・加湿・新除湿」機能

エオリア LXシリーズの価格はオープン、各モデル(適応畳数)の店頭予想価格は以下の通りです。

  • 14畳タイプ(CS-LX402D2):352,000円前後
  • 18畳タイプ(CS-LX562D2):385,000円前後
  • 20畳タイプ(CS-LX632D2):407,000円前後
  • 23畳タイプ(CS-LX712D2):429,000円前後
  • 26畳タイプ(CS-LX802D2):451,000円前後
  • 29畳タイプ(CS-LX902D2):473,000円前後

新LXシリーズの「給水レス加湿」は、暖房時に外気の水分を室内に送って加湿する機能。ポイントは室外機上部に設置した「換気・除加湿ユニット」です。このユニットは、給気ファン、PTCヒーター、収着剤、収着ファンで構成されています。

  • 室外機の上部に「換気・除加湿ユニット」を備えました

  • 換気・除加湿ユニットは、収着剤、PTCヒーター、給気ファン、収着ファンの4つから構成

加湿のときには「収着ファン」が回転して外の空気を取り込み、外気に含まれる水分を「収着剤」が吸収します。そして「PTCヒーター」で暖めた空気を「収着剤」に当てると水分が蒸発して、湿った空気を給気ファンで室内に送り込む仕組み。つまり、暖房しながら加湿できるわけです。

注目は「高分子収着剤」を吸湿素材(収着剤)として使ったこと。高分子収着剤は、膜状の素材で伸縮性に優れている点が特徴。一般的にデシカント式除湿機などに使用される吸湿素材「ゼオライト」と比較すると、高分子収着剤は吸湿量が最大で5倍にもなるそうです。例えるなら、ゼオライトは給水する量が決まっていて多くは吸えない「布オムツ」、高分子収着剤は素材が膨らんで多くの水を吸う「紙オムツ」なんだとか。

  • ゼオライトと比較すると、高分子収着剤はより多くの水分を吸収

  • 高分子収着剤は低温で水分を放出します

加湿運転では、外気の水分をしっかり吸いつつ湿った空気を室内に送るため、収着剤には水分を放出する能力も求められます。高分子収着剤はゼオライトよりも低温で水分を放出できるため、すばやく加湿できるというメリットもあります。

セミナーでは、ゼオライトと高分子収着剤の吸湿力・放出力を比較するデモ実験が行われました。同じ大きさに切り取ったゼオライトと高分子収着剤を2時間ほど加湿して、水を吸わせた状態で比較。

すると、吸湿量はゼオライトが1.6g、高分子収着剤が39.2g。吸い込む水の量は高分子収着剤が圧倒的に多い結果でした。その後ドライヤーで2分間乾かして比較すると、高分子収着剤のほうがより多くの水分を放出したことがわかります。

  • ゼオライトと高分子収着剤の実験の結果をまとめたグラフ

室温を変えずに除湿

「換気・除加湿ユニット」は、除湿にも力を発揮します。それが「ドライ給気制御」です。従来の除湿モードでは、梅雨や秋の長雨など、外気温がそれほど高くない時期に使うと室温が下がりすぎてしまうことがありました。

  • 室内の温度を大きく変えずに除湿

新LXシリーズの「ドライ給気制御」では、換気・除加湿ユニットに取り込んだ外気の水分を高分子収着剤に吸収させ(ここまでは上記の加湿と同じですね)、水分が奪われて乾燥した空気を部屋に送り込みます。室内機の給気フィルターを通過後、乾いたままの状態で部屋に空気を送り込む仕組みです。

室内の空気が含む水分を外に放出(一般的なエアコンの除湿運転)するのではなく、室外機から乾いた空気を室内に入れることで、部屋の湿度を下げるわけです。

  • ユニットに設けた弁を使って、水分を逃がします

高分子収着剤が水分をたくさん含んだ場合は、弁を閉じて室内機へ湿った空気が流れないようにしてから、ヒーターで収着剤を温めて水分を蒸発させ、湿った空気を外に放出します。高分子吸着剤が乾いたら、また弁が開いて室内に乾いた空気を送ります。エアコンを除湿運転すると部屋の温度が下がりすぎる……と感じている人には、特に注目して欲しい機能です。

冷暖房しながら換気が可能に

換気・除加湿ユニットには、名前の通り換気の役割も。一般的に、エアコンは室内の空気を循環させているだけなのですが、新LXシリーズは換気・除加湿ユニットに外気を取り込み、給気ファンを回して室内に外気を送ります。

  • エアコンに換気機能を搭載

なお、外の空気と一緒にPM2.5や花粉なども取り込んでしまいますが、ナノイーXによってこうした空気の汚れに対応。ナノイーXには、ニオイ、花粉、カビなどの菌類、ウイルスといった有害な物を抑制する効果があり、新LXシリーズが搭載する最新のナノイーXは、従来のナノイーXと比べて大雑把に言って約4倍の抑制スピードを持ちます。

  • 換気のデメリットは、室外の汚れも一緒に取り込んでしまう可能性があること

  • おなじみ「ナノイーX」で室外の汚れを抑制します

  • 有害物質を抑制する実験。左の小さいシャーレにオキシドールを垂らすと、有害物質が抑制されたことを示すオレンジ色に。中央と右のシャーレは、有害物質が活性している状態です。この2つのシャーレに、従来のナノイーと新しいナノイーXを浴びせます

  • ナノイーおよびナノイーXで処理中

  • 右のシャーレが従来のナノイー、中央のシャーレが新しいナノイーX。同じ時間の処理でも、新しいナノイーXでは有害物質がより抑制されました。新しいナノイーXは、有害物質を抑制するスピードが速いのです。なお、この実験はあくまで試験管レベルのものなので、実使用環境とは異なります

ナノイーXは肌の潤いにも

さらに、新LXシリーズは新たに「加湿美肌モード」という、冬にうれしい機能を備えています。ナノイーXを活用した機能する。

  • ナノイーXは肌への効果が期待できます

  • 運転停止後も肌水分量が増えるなんて気になる

  • リモコンの加湿ボタンの横に「美肌」としっかり記載がありますね

セミナーでは、実際に肌水分の変化を測定する実験を見学。新LXシリーズの加湿美肌モードで加湿した実験ボックスに20分ほど手を入れておいた後、肌水分量を計測します。すると、実験ボックスに手を入れる前と比較して、肌水分量がアップしていました。

  • 実験ボックスに手を入れる前と後の肌水分量の違いを計測

  • 複数箇所を測って平均を出します

  • 実験ボックスに20分間手を入れた後は、肌水分量がアップ!

専用アプリを使えば、GPSを使って勝手にエアコンをオン

パナソニックのエオリアは、以前から専用スマホアプリを使った機能を備えていましたが、今回新たに「シーン推定自動運転機能」が加わりました。スマホのGPS位置情報で帰宅と判断すると自動でエアコンをONにする機能や、照明の消灯を学習して自動でエアコンをおやすみモードに切り替えるという機能です。外出先でも家の中でも、より便利に使えますね。

暖房しながら加湿もできるようになったパナソニックの新しいエオリア LXシリーズ、暖房能力や清潔機能だけでなく、これからは加湿や除湿機能もエアコン選びのポイントになりそうです。