ダイキン工業は9月6日、ルームエアコンの最上位機種「うるさらX」シリーズの新製品「Rシリーズ」を発表しました。新製品では換気機能と除湿機能が進化したほか、抗ウイルスフィルターも新たに搭載。モデルはおもに6畳用のAN22ZRS-Wから、おもに29畳用のAN90ZRP-Wまで11モデル。発売日は10月28日で価格はオープン。市場推定価格は能力別に26万円前後~45万円前後になります。

  • 新モデルのうるさらX Rシリーズの室内機。シンプルなデザインですが、無給水加湿や換気機能など数多くの機能を備えたフラッグシップモデルです

従来モデルからの吸気換気機能は排気換気も可能に

うるさらXシリーズの特徴は、屋外の水分を集めて室内を加湿する「無給水加湿」機能の存在。そしてもうひとつは、外部の空気を取り込む換気機能です。一般的なエアコンは部屋の中の空気を循環させるだけですが、ダイキンの上位モデルエアコンは屋外の空気を吸気し、部屋の空気をリフレッシュする機能を搭載しています。今回発表の新モデルでは、外部の空気を取り込むだけではなく、室内の空気を外に排出する「排気」機能を追加しました。

  • 写真は加湿機能を持つダイキンのエアコンシリーズ(5モデル)。「うるさらX」と「うるさらmini」はダイキン製エアコン独自の「無給水加湿」機能も

  • うるさらX Rシリーズの室外機とマイナビニュース・デジタルの林編集長。無給水加湿エアコンは室外機に外気の水分を集めるデシカントを内蔵。さらに換気用ダクトも内蔵しているため、一般的な室外機より大きくなっています

排気機能が役立つタイミングはおもに2つ。ひとつは冷房運転開始時。Rシリーズは冷房開始時にまず室内の熱気を屋外に排出することで、冷房の立ち上げをアシスト。これにより、室内温度が設定温度に達するまでの時間が最大5%ほど短くなるそうです。

  • 新製品発表会の会場に展示されていた排気用デモブース。ここでは45℃を越える室内の空気を外に排出しています

  • 温度分布を画像でチェックするサーモグラフィーでデモブースを撮影。屋内の熱気を排出しているため、排気用パイプが熱くなっているのがわかります

もうひとつの排気タイミングは冷房停止時です。一般的なエアコンは冷房停止後に本体内の結露水を乾燥させるため、自動で送風運転に切り替わります。これまでのエアコンは、結露水の湿気を含んだ空気をそのまま室内に送風していましたが、Rシリーズは湿気た空気を室外へと排気。冷房を停止したあと急激に室内の湿度が上がることがないため、不快さを感じにくくなります。

  • 吸気と排気はタンパーで切り替える排他式。上記で説明したタイミングのほか、手動で吸排気を選ぶことも可能です

除湿機能は繊細なコントロールが可能に

除湿機能には新開発の「多段階電子膨張弁」を搭載し、「さらら除湿(リニアハイブリッド方式)」を実現。エアコンの除湿機能は、熱交換器を冷やして室内の湿気を結露水に変えて湿度を下げる機能なので、室温が高いときは効率的な除湿が可能です。一方、肌寒い日に除湿運転をすると、部屋がさらに寒くなるというデメリットがあります。

そこで、旧モデルまでは、冷媒の流量を極小に絞り、室内を冷やし過ぎることなく除湿する「新・ハイブリッド除湿」を採用していました。エアコン使用時は冷媒流量(大)、除湿時は冷媒流量(極小)の2段階で流量を切り替えて運転します。

一方、新しいさらら除湿(リニアハイブリッド方式)は多段階電子膨張弁によって、気温や湿度にあわせて冷媒流量をコントロール。これにより、除湿量は従来の約1.5倍となる最大1,500cc/hにパワーアップ。加えてこれまで苦手だった外気温が低い場合の除湿も、省エネかつ快適に行えます。

  • 部屋が暑く、湿度が高いときは冷媒流量を多くして部屋を冷やしながら除湿。秋口など涼しい時期は冷媒流量を少なくし、部屋の温度を下げ過ぎずに除湿するといったように、温度と湿度の状態にあわせて冷媒流量をコントロールします

このほか、室内機には新しく「抗ウイルスフィルター」を搭載。従来モデルでも備えている「ストリーマ空気清浄」機能と組み合わせることで、より効率的に室内の浮遊ウイルスを抑制できるようになりました。

ダイキンによると、コロナ禍の影響によって換気機能を持つ「うるさらX」をはじめとした高付加価値エアコンの売り上げが好調。2021年は住宅用エアコンのトップシェアとなったといいます(ダイキン調べ)。新製品は注目の換気機能が進化し、ますます注目度の高い製品となりました。