現在、多くのメーカーが高機能トースターを発売しています。シロカの「すばやき」シリーズも、高機能トースターの人気製品。名前の通り短時間でパンを焼くことで、外はカリッと、中はモチっと焼き上げるのが特徴です。

そんなすばやきシリーズの最新モデル「すばやきトースター ST-2D351」(以下、ST-2D351)を、自宅でじっくり使ってみました。もともと評価の高かったシリーズだけに、どこが変わったのか期待。ST-2D351の実勢価格は17,800円前後(2021年8月中旬)です。

  • 本体サイズは幅35×奥行32×高さ23cmで、2枚焼きサイズのトースター。カラーはホワイトのほかブラックもあります

すばやきシリーズの焼きムラが解消! 美味しさはもちろん見た目も◎

美味しいトーストの条件は3つといわれています。

  • 表面(クラスト)がサクサク香ばしいこと
  • クラスト部分が分厚くないこと
  • 中(クラム)は水分を保持してモチモチとしていること

この3つをクリアするためには、パンの内部から水分が蒸発する前に、すばやく調理する必要があります。そこで生まれたのが、シロカの高火力な「すばやき」シリーズです。最新モデルのST-2D351も熱を効率よく反射する内部構造と、庫内に熱風を循環させる内蔵ファンによって、高効率な加熱を実現。トーストなら最短約90秒というスピードで焼き上げます。

  • ST-2D351の庫内。下に2本、上に1本のカーボンヒーターを搭載。庫内は複雑な多面体になっていて、ヒーターの熱を効率的に反射して全方向から加熱。すばやくトーストを焼き上げます。扉も遮熱性の高いガラスを2枚使った2重ガラス扉で熱を逃しません

そんなすばやきシリーズですが、従来モデルはヒーター直下だけが焦げやすく、比較的焼きムラができやすいというデメリットもありました。また、高火力のため、少し目を離したタイミングで焦げすぎてしまうことも。最新モデルのST-2D351では、まずトーストの焼き具合を確認してみます。

  • 基本の6枚切りパンを焼きます。トースターは一般的に庫内奥が焼けやすいので、パンの頭を扉側、底を庫内奥側にセットするのが基本です

  • オートメニューの「トーストモード 2枚」で焼いたトースト。2枚同時に焼きましたが、端までしっかりムラなく焼けました。写真は焼きムラがわかりやすいように、焼き色「こい」の設定で焼いたトーストです

結果は写真の通り、とにかく焼きムラがほとんどありません。一般的なトースターは庫内側面から熱が逃げるため、中央だけ焼けて側面近くは焼き色が薄いことが多いのですが、ST-2D351はバッチリ端まで均一な焼き色です。

  • 加熱時のカーボンヒーターをよく見ると、側面側の巻きが強く、端の火力を強くしているのがわかります。これが均一な焼き色が付く理由のひとつ

とくに注目して欲しいのがトーストの裏面。高価格なプレミアムトースターでも、裏面は焼き色が付かない、あるいは焼きムラが強くなる製品が意外とあるのですが、ST-2D351は裏面までしっかり表面と同じレベルの均一な焼き色。ここまで裏面の焼きが美しいトースターは珍しいくらいです。

焼き色にこだわっているだけあり、味も申し分なし。「ふつう」の焼き色はもちろん、加熱時間が長い「こい」焼き色でもトーストの中までしっかり水分が残っていて、ふわふわモチモチです。表面のクラストもパリッと香ばしく、中のふわふわ感とのコントラストが楽しい食感。実に「すばやき」シリーズらしい味に仕上がっています。

  • トーストの裏もこの通り。表側とほぼ同じ焼き色で、しかも焼きムラもほぼなし!

  • 焼き時間の長い「こい」モードでも、中はしっかりふわふわ! トーストの美味しさを改めてかみしめられます

あまりにも焼きムラが少なかったため、今度はクッキーを焼いてみました。決していじわるなテストではないですよ。ST-2D351は庫内に熱風を循環させるコンベクション方式のため、コンベクションオーブンとしても利用できるのです。マニュアルモードの「160℃・15分」でクッキーで焼いたところ、こちらもかなり均一に焼き上げてくれました。

  • 「160℃・15分」で焼いたクッキー。オーブンモードがあるトースターでも、クッキーを焼くとヒーター直下や奥側だけ焦げることが多いのですが、ST-2D351はしっかり全体に火が均一に通っているようです。ただし、温度設定は60℃~280℃まで20℃刻みとザックリ。もう少し細かく設定できるともっとよかった……

  • 個人的に気に入っているのが、クッキーを焼くのにも使った付属品のトレーと、トレー用焼き網。高価格帯のトースターでもシルバーのシンプルな金属トレーが付属することが多いのですが、だいたいは見た目が安っぽくて、焦げ付いた汚れが落ちにくかったりします。ST-2D351の付属トレーはホーロー風で見た目に高級感があるうえ、焦げた汚れもサッと洗えました

焼き網からヒーターの距離が10cmに拡大、調理の幅が広がった

ST-2D351で焼きムラは解消されましたが、従来モデルで最短60秒だったトースト焼き時間は90秒に延びました。これは、従来は8cmだった焼き網からヒーターまでの距離が10cmになったからと思われます。

トーストの焼き時間が長くなった反面、大きなメリットも。ST-2D351では「厚切りトースト/ポットパン」メニューが追加されました。これはなんと、半斤サイズという分厚いトーストが上手に焼けるモードです。ポットパンは、くりぬいたパンにシチューなどを入れて焼くモードになります。

  • 焼き網からヒーターまでの高さは10cm。従来モデルと比べて2cmの差ですが、かなり広く感じます

  • 6枚切りの食パン3枚を重ねて上2枚の中央をくりぬいて、温めたカレーと生卵、チーズを入れて加熱。6枚切りパンの3枚重ねなのでちょうど半斤になりますが、ヒーターまではまだまだ余裕があります

  • キーマカレーとチーズのポットパンのできあがり。「厚切りトースト/ポットパン」モードでは7分30秒ほど加熱しますが、長時間加熱しても背が高いパンの上部が焦げすぎることがありません。裏側もほぼ同じ焼き色なのはさすが

焦げやすいクロワッサンなども、オートモードで失敗なし

ポットパンモードのほかにも、「チーズトースト」「フレンチトースト」「クロワッサン」「焼きいも」など専用メニューが用意されています。背が高い上に、バターを使っているので焦げやすいクロワッサンも、クロワッサンモードなら焦げることなく表面パリパリ、中は温かく仕上がります。

個人的に美味しくて気に入ったのは「フレンチトースト」モード。耐熱容器に卵液を作ってパンを浸し、容器ごと加熱して手軽にフレンチトーストが作れます。

  • 背の高いクロワッサンを加熱。左が加熱前、右が加熱後。見た目はほとんど同じですが、左の表面はふにゃふにゃしているのに対し、右は触っただけで表面がパリパリと崩れる香ばしさ

  • 砂糖と牛乳を入れた卵液にパンを浸し、上にバターを乗せて焼く「フレンチトースト」モード。砂糖とバターは焦げやすいのですが、適度な焼き目で香ばしく仕上がりました

オートモードにメニューがない場合は、温度と時間を設定してマニュアルモードで加熱します。トースターで揚げ物を温める家庭も多いと思いますが、揚げ物の惣菜は200℃で約10分の加熱が目安。焦げやすい天ぷらも、焼き色が付かずにサクサクでした

  • 加熱後のコロッケと天ぷら。トースターで加熱すると一部焦げることがある天ぷらも、美しい見た目の仕上がり。食べると音がするくらいサクサクです

見た目はカッコよくなったけど操作性は?

マニュアルモードは「ダイヤルを回して温度を設定し、一度ダイヤルを押し込んで温度確定。さらにダイヤルを回して加熱時間を設定、スタートボタンで加熱開始」――と、ちょっと操作が煩雑。ST-2D351の操作はメインダイヤルとスタートボタンの2つだけなので、とてもシンプルでスタイリッシュなのですが、そのぶん操作は慣れるまで少しとまどうかもしれません。

  • ダイヤルとスタートボタンだけという、すばやきシリーズのなかでも屈指のシンプルデザイン。マットな塗装と相まっていい感じです

  • 天板にオートモードの番号と、マニュアルモード時の加熱の目安がプリントされています

【動画】オートモードで加熱する場合は、本体の天面でメニュー番号を確認し、ダイヤルを回して番号を選択。トーストや冷凍トーストなどは、焼き色も選択できます。最後にスタートボタンを押して調理開始。オートモードの9番を越えてダイヤルを回すと、マニュアルモードに移行。ダイヤルで温度を選択後、タイマーをセットします
(音声が流れます。ご注意ください)

基本のトーストがとにかく美味しい! パン好きにオススメのトースター

今回、ST-2D351でさまざまなパンを調理しましたが、一番気に入ったのは基本のトースト。すばやきシリーズで焼いた食パンはこれまでも、標準的なトースターと比べて一段飛びの美味しさでした。

ST-2D351は、この美味しさはそのままで焼きムラが抑えられ、見た目も美しくなって「食べる楽しさ」がふつふつと。また、とても焼きムラが少ないので、たまに買ってくる惣菜や変わった形のパン、オーブン調理で利用したときの失敗が少ないのもうれしいところです。

  • 美味しく調理できるだけではなく、メンテナンス性の高さもポイント。焼き網が外せるので内部が洗いやすいのです。ただし、網の取り外しにはちょっとコツが必要