• Mi ポータブルフォトプリンター。スマートフォンから直接写真を印刷できます

Xiaomi(シャオミ)が6月4日に発売した「Mi ポータブル フォトプリンター」を試用してみました。同機は、シンプルにスマートフォンからの写真を印刷できるほか、専用アプリを通せば印刷した写真をARマーカーとして動画を再生するような機能も備えます。

本稿では、こうした機能を含め、同製品の使い勝手についてお届けしたいと思います。なお、今回の検証にはiOS 14.6を搭載したiPhoneを用いました。

片手で運べるスマホ用フォトプリンター

Mi ポータブルフォトプリンターは、専用のプリント用紙を用いてスマートフォン内のデータをプリントできる周辺機器です。その名の通り、片手で持ち運べるサイズ感であり、内蔵バッテリーも備えるため、用紙さえセットしてあれば、場所を問わずにプリントを実行できます。

価格は7,480円。本体だけ購入した場合にも、5枚の用紙が付属されていますが、継続して利用する場合は、別途1,200円で20枚入りの用紙を追加購入する必要が出てきます。

  • Mi ポータブルフォトプリンター(写真右、7480円)と20枚入りの用紙(写真左、1,200円)

  • プリンター本体に加え、充電用のUSBケーブルや、先述した5枚のプリント用紙(50x76mm)、保証書と説明書が同梱される

  • 本体サイズはW8.5×H2.46×D12.4cm、重量は181g。筐体表面を覆う素材は明らかではないが、しっとりと手に吸い付くような肌触りだ。ほこりや糸くずなどが付着しやすい点は気をつけたい

初期設定はSMS認証を選択するとスムーズ

Mi ポータブルフォトプリンターは、シャオミ製のスマートホームアプリから接続を行います。今回は同梱の説明書内にあったQRコードからリンクが起動した、iOS版の「Mi Home - Xiaomi Smart Home」アプリをApp Storeからインストールして使用しました。

同アプリを起動すると、専用アカウントでのログインが求められます。筆者の場合、スマートバンドなどのレビューをしたことがあったので、同社の「Mi Fit」アプリで別途アカウントは作成していたものの、こちらは弾かれました。

そこで、メールアドレスを用いて新たにアカウント作成を試みましたが、承認用に届いたURLにアクセスしたところ、中国語の一文が表示されました。明らかに否定文ぽかったので、翻訳ツールを用いて日本語に直したところ、「不正サービスです」とのこと。仕事用で使っているGoogle Workspaceの独自ドメイン、Gmail、Yahooメールを順に試してみたのですが、どれもNG。おそらく中国のサーバーを通る都合上、これらのサービスが弾かれているのだろうと推測しました。

検証できなかったら困るなぁと思いつつ、一応、電話番号とSMSでの承認でのログインも用意されていたので、こちらを試すと無事サインインできました。

  • アプリ(ここではiOS版)を入手し、国/地域を選択

  • 「Sing in usinig SMS」から電話番号をSMSを使ってサインインを行い、画面右上の「+」をタップ

  • 機器の一覧からプリンターを選び、「Mi ポータブル フォトプリンター」をペアリングする

  • 画面表示に従って機器を操作し、ペアリングを実行。「Mi Home」タブに「プリンター」が表示された。印刷操作画面にはこれをタップすると遷移する

ログインが完了したらあとは比較的スムーズでした。アプリ内「+」ボタンから「エンターテインメント」カテゴリを選択し、「Mi ポータブル フォトプリンター」を選択すればOK。プリンタの電源を2秒押して電源をオンにし、画面案内に従ってペアリング操作を行いましょう(同プリンターはBluetooth 5.0に対応する)。

なお、同プリンターには、印刷した写真に対して、ビデオや音声といったデータを紐づける機能があるので、権限の許可を求めるポップアップがかなり多く表示されます。同プリンターを利用する場合には、位置情報以外の写真やマイクへのアクセスは許可しておくと、その後の操作がスムーズに行えるでしょう。

用紙をセット。オレンジ色の紙も忘れずに

アプリ操作を実施する前にフォトプリンターに用紙をセットする必要があるので、ロゴマークが印字された側をぐっとスライドさせます。これで、用紙をセットするためのポケットが現れます。

用紙の包装を開封し、中から用紙の束が現れたら順番を崩さずにプリンターにセット。この束にはプリント用紙ではないバーコードの描かれたオレンジの紙が同梱されていますが、これも取り除かずにセットしましょう。バーコードが下向きになるように入れ、蓋をスライドさせて閉じれば本体側の準備は完了です。

  • ロゴ面をずらすと用紙をセットする部分が現れる

  • 用紙の封を開け、バーコード付きのオレンジの紙を確認

  • バーコードを下向きにして用紙をプリンターにセットする

「動画写真」とは? AR機能を試してみた

アプリ内のレコメンドとしては、最初に「動画写真」が表示されたので、こちらを試してみました。手順としては、スマートフォン内に保存された動画を選択し、3~15秒にトリミング。その後、写真として印刷する静止画を動画内のシーンから選択するか、アルバムから別途選ぶ。最後に、写真に対してフレームの有無や、フィルターの適用、細かい明暗の調整といった編集を行い、プリントを実行するという流れです。

  • 最初にチュートリアル画面が表示されるので、「私の動画写真を制作します」というボタンをタップすると、動画写真の作成が開始される(左)。通常時は「動画写真」を選択すれば同様の操作が行える(右)

  • 動画を選択し、トリミング位置を調整

  • サムネイルを選択し、フレームの有無などを選択

  • フィルター適用や輝度の微調整も行いつつ、プレビュー画面を確認。右上のプリンターマークで出力できる

こうした操作の間に、おそらくプリンターがスリープしていれば、筆者と同様に「プリンターは接続されていません」とのポップアップが表示されるでしょう。その場合、同画面で「接続」を選択し、プリンター名をタップすれば、プリントが実行されます。1枚の印刷にかかる時間は接続待機を含めて数分でした。

プリンターからはわずかに駆動音は聞こえたものの、そこまで大きな音ではありません。例えば旅先で立ち寄ったカフェ等で使っても(長時間の連続使用でなければ)問題ないレベルだろうという感じ。

  • 最初の一枚はオレンジのカードが出てくる。出きったら手で避けておこう

  • その後は、印刷面が上向きに出力されてくる

プリントされた写真は味のある仕上がり

印刷された写真の出来栄えについては、まずまずと言ったところ。さすがにディティールの精細感や、忠実な色味再現などは期待できませんが、味があって可愛らしい雰囲気に仕上がって楽しめました。

  • フレームあり

  • フレームなし

  • 理由は不明だが、ちょっと掠れた線が入ってしまったときもあった

印刷が完了した写真は、アプリ内から「動画写真/音声付き写真をスキャンしてください」を選択して、カメラで読み取ると、ARマーカーとして機能し、指定の動画が写真に重なるように再生する仕組みになっています。

  • 「動画写真/音声付き写真をスキャンしてください」からカメラを起動。写真を写すと、指定した動画が再生された

ちなみに、プリント用紙の背面は表面を剥がすとシールになるため、単にアルバムに収納するだけでなく、何かに貼り付けて楽しむといった使い方も可能です。

  • 用紙はシールになっている

全体の使い勝手はシンプル。印刷機能は多彩

その他の機能についても、一通り試用してみました。例えば、「写真印刷」は通常の印刷が可能。印刷前の操作としては先ほどの動画写真と比べると動画の選択がなくなります。

また、「音声付き写真」については、動画選択の代わりにマイクでのメッセージの録音を行う手順が加わり、ARエフェクトを視聴するのと同様の操作で、音源を再生可能となります。

  • 「音声付き写真」を選んだ場合の録音画面と音声プレビュー画面

やや翻訳が気になったのは「パズル」という項目。なんのこっちゃと思って試してみたところ、一般的には「コラージュ」と表現される複数写真を配置させる手法を意図しているようでした。そのほか、「分割写真」1枚の写真をコラージュ風にするもので、「顔写真」は証明写真風の顔写真シールを作成するのに使う想定の機能のようでした。

  • 「パズル」(左)と「分割写真」(右)を選んだ場合のイメージ

日常のワクワクを手軽に残せるガジェット

実際にMi ポータブル フォトプリンターを使ってみた印象として、アカウント登録での戸惑いや、一部の翻訳に違和感があったところなど、ローカライズの詰めの甘さは感じたものの、全体的な印象はよかったと思います。スマートフォンの周辺機器の扱いに慣れている方ならば、スムーズに運用できるでしょう。

  • 印刷中のスマホ画面でも、上から写真が少しづつ押し出されてくる演出は工夫されていて楽しめた

プリントに関しては、フレームあり・なしを両方試してみましたが、フレーム無しでもエッジが悪目立ちすることはありませんでした。

コラージュ(アプリ内表記での「パズル」)などを利用すると、ディティールが潰れがちになってしまうことや、色味の正確性に欠ける部分はありますが、この手のプリンターはやや掠れた色味、味わいを楽しむジャンルでもあるので、フィルターなどを微調整して適用できることを考えればそこまで気にならないことでしょう。

  • 排紙口とインジケーター

  • インジケーター2種と充電ポートと電源ボタン

プリント価格は1枚あたり60円と決して安くはありませんが、コンビニプリントでもL版なら1枚80円はかかるもの。用紙さえあれば場所を問わずに利用できることや、シールとして貼り付けられることなどの付加価値を考えれば、高すぎるということはありません。

旅や記念日、あるいは日常生活のちょっとした瞬間をリアルタイムに印刷できることで、ほんの少しワクワクした時間を提供してくれる面白い製品だと思いました。