場所の有効活用
IDCの調査によると、一般的なデータセンターよりも大規模で、大量のICT機器を有するため広大な面積を要する「ハイパースケールデータセンター」(サーバ室面積5,000平方メートル以上かつ電力供給量が6キロボルトアンペア/ラック以上で、テナントがクラウドサービス事業者であるような事業者データセンター)の建設が、日本でも急激に増えています。IDCは、ハイパースケールデータセンターの2020年~2025年の年間平均成長率は、延床面積ベースで28.8%になると予測しています。
データセンターのエンジニアは、固定領域内のほとんどのコンピューティング・リソースに適合するよう、アーキテクチャを常に計画および再設計する必要があります。すべての垂直ラックスペースが完全に活用されているか、すべてのコンポーネントがコンパクトさとパフォーマンスをもとに選択されているかがポイントになります。結局のところ、より少ないスペースを占めるものは、時間が経過しても、より少ない費用で済みます。
機器の更新も定期的に実施する必要があり、具体策としては、レガシー・コンポーネントやパフォーマンスの低いコンポーネントを交換または修正を行います。フラッシュ・ストレージやリチウムイオン電池などのソリューションは、電力効率が高いだけでなく、以前のソリューションよりもスペースをとらず、インフラストラクチャが最高のパフォーマンスで動作することを保証します。
テクノロジー消費のサイクルを断ち切る
サステナブルなデジタル化への最後のアプローチは、上記のアプローチに対して最大の変化を必要とする可能性があります。それは、テクノロジーの従来の消費サイクルを打ち壊すことです。
消費者空間のトレンドを反映して、企業は、NetflixやSpotifyといったサブスクリプションのように、分析やストレージなどのITリソースを「サービスとして」購入できるようになりました。これは、あらゆる場所のITチームが直面している、見過ごされている問題に対処します。
それは、社内のデータセンターの80%が、実際に必要な容量を超えるサーバ容量を備えているという問題です。必要なものだけを必要な時に購入することで、企業は十分に活用されていないことに伴う不要な冷却、電力、およびメンテナンスのコストを削減できます。そうすることで、数カ月または数年前に計画を立てる必要もなくなり、ますます不安定で不確実で曖昧な環境の中、絶えず変化するビジネスの優先順位に構成を合わせる必要がなくなります。
データ・インフラストラクチャを構築するための柔軟な消費アプローチを採用することで、定期的な更新とコンポーネントの交換に重点を置きながら、企業を迅速にスケールアップまたはスケールダウンすることができます。これにより企業は、通常、出荷に多大なリソースを必要とし、大量の電子廃棄物が生じる大規模なオーバーホールを回避できます。
今回挙げた3つのアプローチでは、サステナブルな考え方を持ちながら、データ・インフラストラクチャを設計および構築するために企業は何ができるかを紹介しました。これらの新しいデータセンターの概念とベストプラクティスの多くは、組織が競争力を維持するために、官民の連携を通じて継続的に改善する必要があります。デジタル化への意欲とサステナブルなソリューションの必要性のバランスを取ることは、複雑で継続を要するプロセスですが、正しい方向への第一歩です。
著者プロフィール
田中良幸
ピュア・ストレージ・ジャパン 代表取締役社長2017年2月にピュア・ストレージ・ジャパンの代表取締役社長に就任し、日本のセールス、マーケティング、サービス全ての責任を担っている。 ピュア・ストレージ以前は、日本のエンタープライズIT業界で長年の経験を積んでおり、ジェネシス、GXS、FileNet、Calico Commerce、TIBCOなどのグローバルなエンタープライズソリューション企業の日本法人社長を歴任し、多岐にわたるリーダーシップと戦略的マネジメントを実施してきた。ピュア・ストレージの日本代表就任を契機に、これらの経験をもって日本における継続的な企業成長と自社製品の市場シェア拡大に貢献していくことを目指している。