ファーウェイ・ジャパンがメディア向けに開催したイベントから、『超速パソコン仕事術』などの著書を持つ岡田充弘氏のセミナーを紹介します。岡田氏が普段どのようにタブレットを利用しているか、使いこなしのコツなど、テーマは「タブレットを活用した作業効率や生産性の向上」です。
「探す時間」「作る時間」を減らして、「考える時間」「伝える時間」を増やす
セミナーに登壇した岡田充弘(おかだみつひろ)氏は、知的エンタメ集団のクロネコキューブ株式会社など、4つの会社の代表取締役を務めており、7万部のベストセラー『超速パソコン仕事術』など世界で18冊の著書があるITデバイス活用の達人です。
岡田氏の講演は、大きく分けて「これからの時代の組織や働き方」「タブレット活用術」「ファーウェイのタブレット3機種を使った感想」という3つの段落。岡田氏が使った3機種は、「MatePad」シリーズのうち、2021年4月発売の10.1型「MatePad T10s」と9.7型「MatePad T10」、および2020年6月発売の10.4型「MatePad」です。
まず岡田氏は大きな流れとして、従来型の権限による上下関係がはっきりしたピラミッド型の組織がフラット化し、役割による協力関係を重視したプロジェクト型の組織が増えていくとします。命令による上下関係ではなく、役割による横型の関係となり、コミュニケーションの取り方も指示・報告というスタイルから、各自が自律的に考えて協力していくスタイルに。
さらに「価値創造する場所のすべてがオフィスになる」と述べます。デスクトップパソコンが主流の時代はどうしても、会社のオフィスがコア・ワーキングスペースになっていました。これが現在は、ノートパソコンやタブレットでオンデマンドな働き方ができるようになったことで、あらゆる場所がワーキングスペースになり得るという認識です。
紙を使っていた多くの仕事がデジタル情報に置き換わり、デバイスさえあればいつでもどこでも仕事が可能になりました。この傾向は今後ますます進んでいくでしょう。
そして、頭脳労働は「探す」「考える」「作る」「伝える」という4つのプロセスで構成されていると分析。デジタル化は「探す時間」と「作る時間」をどんどん短縮していき、そのぶん「考える時間」と「伝える時間」の増加を可能にしたと考えます。これからの時代、仕事の質は「考える」と「伝える」の充実によって向上していくというわけです。
パソコン、スマホ、タブレット、用途を分けて一緒に運用
仕事に利用するITデバイスとして、パソコン、スマホ、タブレットを比較したとき、「それぞれ使い方と活用のコツに違いがある」と岡田氏は言います。それらを踏まえて使いこなすことで、「タブレットはパソコンやスマホで足りないところを絶妙にカバーする」と。
タブレットは立って座って使えるし、アプリしだいでスマホライクやノートパソコンライクにも使えます。電子書籍やネットサーフィンは指一本で操作でき、動画や音楽の再生もスマホより大きな画面で快適。会議や商談のときには、心理的に圧迫感のあるキーボードがなく、会話の促進を助けるとしています。
また、タブレットワークの生産性は3つの事前準備で大きく変わると指摘したのも興味深かったところです。その3つは以下の通り。
- 保護フィルムとスタンドの購入
- 初期設定と、不要アプリの削除または非表示化
- スマートフォンやパソコンとのデータ連携
3つめの「スマートフォンやパソコンとのデータ連携」は、クラウドストレージやクラウドアプリを使うのが近道。オフィス系のデータなら、Microsoft Office Mobileや、Googleドキュメント・スプレッドシート・スライドで大部分は対応できるでしょう。どのデバイスでも、データの閲覧と(簡易的にでも)編集ができるようにしておくことで、ほとんどの場所で滞りなく業務が進むようになります。
岡田氏は、自分自身のタブレット利用シーンをベスト3形式で紹介し、あえてメイン端末としての利用にこだわらず、パソコンやスマホと使い分けていることに触れました。
さらにオススメのツールとして、スマホやタブレットをパソコンの外部ディスプレイとして使えるようにするフリーソフト「spacedesk」や、600種類以上の雑誌が月額418円で読み放題となる「楽天マガジン」などをピックアップしました。
使い方のコツの1つとして、アプリをやたらとインストールせず、できるだけシンプルな画面になるよう心がけているとのこと。アプリを減らすコツにも触れ、いわく「一年くらい使っていないアプリは削る」「再入手のコストが安いものは削る」「物理的に再入手可能なものは削る」だそうです。これにより、自分の注目すべきものが何か、自分がどういうものにワクワクするかといったことが、より明確になります。
続いて、岡田氏が実際に使ってみたというファーウェイのタブレット「MatePad」シリーズの評価へ。「MatePad」「MatePad T10s」「MatePad T10」の3モデルを比較し、画面サイズ・重さ・性能など実用面で最もバランスが取れているとして、MatePad T10sを挙げました。2021年6月上旬時点の実勢価格は、10.4型のMatePadが27,000円前後、10.1型のMatePad T10sが24,000円前後、9.7型のMatePad T10が22,000円前後です。
3製品の中ではMatePadの基本性能が高く、画面は横方向に長くなっています(2,000×1,200ドット)。MatePad T10sとMatePad T10では、画面サイズ、解像度のほか、HUAWEI ClariVu画像テクノロジーの有無や音響性能、センサーの種類と数などに違いがあります。
なお、ここで取り上げたファーウェイのタブレットは、OSに「HUAWEI EMUI 10.1」を搭載しています。Android 10.1をベースにしたOSですが、Google Playには対応していません。各種アプリは、ファーウェイの「HUAWEI AppGallery」からインストールします。
会場には岡田氏がレビューしなかった「MatePad Pro」も展示されていました。タブレットでキーボードやペンを使いたい人には、こちらも有力な選択肢になるでしょう。