デル・テクノロジーズは5月19日、3月18日に発表した次世代 「Dell EMC PowerEdge」サーバー17製品のうち、 新たに第3世代インテル Xeon スケーラブル・プロセッサー搭載の5製品の販売を開始したと発表した(5月13日から販売されている)。
新たに発売されたPowerEdgeサーバーは、AI/機械学習(ML)用途でGPU搭載に最適化された「R750xa」、Scale out構成向けの「R750」、「R650」、クラウド/高密度用途の「C6520」、PowerEdge MXモジュラーサーバーの「MX750c」。
デル・テクノロジーズ 製品本部 シニア・プロダクトマネージャー データセンターコンピュート&ソリューションズ事業統括 岡野家和氏は、AI/ML向けのR750xaについて、「標準的な2Uラックサーバでありながら、ダブルワイドPCI Express GPUを最大4基搭載できる、デルとして初めての製品だ」と説明。3月発表のXE8545についても、NVIDIA HGX A100 (NVLink 3.0) に特化しており、NVIDIAと連携してカタログ仕様の400W稼働より最大15%高性能で稼働できるとした。
また両サーバは、サーバ管理コントローラーのiDRAC9により、GPUごとの消費電力と温度のリアルタイム可視化ができるという。
3月に発表したエッジ向けサーバXR11、XR12について同氏は、約400mmとコンパクトな奥行きで、高・低温、埃、振動への耐久性がある高耐久性モデルで、エアーフローの方向も変えられるリバースエアフローに対応し、エッジワークロードに特化した製品だとした。
今回の新製品(3月発表も含めて)では、新しい熱設計、マルチベクタークーリング 2.0が採用されている。ハード設計とiDRAC9の2つ観点で取り組んでおり、ハード面は、従来より強力な冷却ファンの採用、アーム部に高性能ヒートパイプを内蔵した「T字型」のヒートシンクの採用、電源を左右対称に配置し、CPUやメモリで暖められた空気が流れないようなエアフローを採用しているという。
iDRACについては、Power Managerと連携して電力消費の制御も実施。サーバー単体だけでなく、グループ単位やフロア単位での管理・可視化も可能だという。また、電力だけでなく排気温度など温度をしきい値に設定可能だという。
「SDGsの要件を考えた上での熱管理はシステムベンダーとしての腕の見せ所だ」と岡野氏はアピールした。
セキュリティでは、昨年末から納品するハードウェアが、工場出荷後に不正アクセスにあっていないことを暗号化されたデジタル署名により証明しているほか、システムロックダウンを動的に適用・解除できるという。
サーバの拡販施策
また同日、新サーバの国内の拡販施策について、AI/ML、エッジ、サポートの3つの分野で施策を実施すると発表した。
AI/MLについては、東京三田の東日本支社内にPoC環境を用意(8月に大手町に移転)したほか、米国本社のオースチンの大規模クラスター環境(HPC & AI Innovation Lab)をリモート利用可能にしている。
また、AIビジネスを展開している顧客と、これからAIをビジネスに活用していきたい顧客のマッチングサービスを提供し、コミュニティー参加者向け勉強会・セミナーの開催、専用コミュニティーサイトの開設、顧客同士交流の場やエンジニアとの交流の場を提供するという。
デル・テクノロジーズ 執行役員 製品本部長 データセンターコンピュート&ソリューションズ事業統括 上原宏氏は、「今年の後半には参加企業10社を目指し、活動を開始したい」と語った。
エッジ用途では、周辺機器をセットにしたバンドル提案を加速していくほか、5年契約で月額56,760円(税込)、月額65,230円(税込)といった価格で、レンタルパックを提供していく。
サポートでは、SupportAssist Enterpriseによって、サーバの情報を収集し、デルサイドでAIで解析し、故障を予知し、アラートや予防交換に対応していく。すでに、2万台のサーバで利用されているという。
SDGsへの取組
同社は昨年12月に以下の5つのサーバ施策を発表した。
・製品ポートフォリオの拡充
・消費モデルの導入
・新たな価格戦略
・顧客サポート力の強化
・販売エコシステムの強化
この施策の効果について、デル・テクノロジーズ 執行役員 副社長 データセンターコンピュート&ソリューションズ事業統括 松本光吉氏は、「事業は堅調で売上も順調な成長を遂げている。IDCさんの調査によれば、マーケットシェアは5年で2倍になり、日本でのフットプリントを拡大しているが、これからもう一歩、二歩頑張っていきたい」と語った。
また同氏はSDGsへの取組について、「製品の単位で持続可能なものを提供していくことがProduct Carbon Footprintといえる。デル・テクノロジーズでは、製品のエネルギー強度(経済効率)は、サーバ、ストレージは8年で80%削減できている。標準化・共通化によりエコロジーを追求し、設計段階から廃棄物を抑制し、熱制御への多面的にアプローチしている」と、取組を紹介した。