日本オラクルは2020年11月、三澤智光氏の執行役社長就任を発表した。三澤氏は同社に21年間在籍した後、同社と肩を並べるビッグベンダーである日本IBMに移籍し、業界を驚かせた。それから5年経った現在、今度は社長として日本オラクルに戻ってきて、またもやIT業界に大きな話題を振りまいた。今回、三澤氏に話を聞いた。

  • 日本オラクル 執行役社長 三澤智光氏

5年前のオラクルと変わったところ、変わっていないところ

三澤氏に、5年前のオラクルと変わっていないところと変わったところを尋ねたところ、次のような答えが返ってきた。

「オラクルは真のミッションクリティカルなシステム、いわば日本の社会基盤を支え続けている。これは今でも変わっていない」

ご存じのとおり、日本オラクルのデータベース「Oracle Database」やエンジニアド・システム「Oracle Exadata」は多くの企業の基幹システムで稼働している。「われわれが提供しているソリューションは、企業のヒト・モノ・カネの情報と活動を支えている。つまり、社会インフラに直結するところでビジネスをしている」と、三澤氏は話す。

では、5年前と変わったのはどんなところだろうか。三澤氏は「5年前はハードウェア事業、ソフトウェア事業が主体だったが、現在はクラウド事業に舵を切っている。5年前とはまったく違う。その中で、大きく変わったのはSaaS」と、三澤氏はいう。

SaaSの引きが大きい理由について、「業務システムとしてフルラインアップのSaaSを持っているのはオラクルだけ。特に大企業の利用に耐えうるERP SaaSはオラクルしか提供できない」と、三澤氏は説明する。

理解してもらえていないオラクルのよさとは

また、三澤氏はオラクルを第三者として眺める機会を得たことで、世の中には伝わっていないオラクルの良さに気付いたのではないだろうか。この問いについて、三澤氏は次のように答えた。

「一番気にしているのは、グローバルでは大手のクラウドベンダーというブランドが確立しているのに対し、日本ではまだデータベースのオラクルというブランドが根強い点。もちろん、データベースは今でもキーソリューションであることに間違いはないが」

では、なぜ日本において「オラクル=クラウド」というイメージが定着していないのか。三澤氏はその理由のひとつとして、大企業の利用に耐えうるPure SaaSが発展途上であったことを挙げた。米国でも大きな受注がとれるようになったのが5、6年前だったそうだが、一般的に、米国のトレンドが日本にやってくるのは数年遅れるので、日本に同様のトレンドが訪れるのはこれからと思われる。

オラクルはSaaSに加えて、IaaSとPaaSをOracle Cloud Infrastructure(以下、OCI)として提供しているが、三澤氏は「IaaSとPaaSに関しては、第2世代のクラウドインフラストラクチャになるOCIの投入が約2年前になった」と語った。

個人的には、日本ではSaaSが基幹システムでの利用に耐えうると思われていない印象がある。その点について、三澤氏は次のように話す。

「ERPの場合、従来型のアーキクテチャでは、インスタンスがバラバラで、AI化が難しい。これに対し、オラクルのSaaSは巨大なインスタンスにいろいろなパターンを使って最適化されたAI化が可能だ。アプリケーションの進化がまるで違う。例えば、財務会計のリコンサイルはこれまで人手で行っていた。SaaSなら、ここを自動化できる。また、経費精算であれば、SaaSにチャットボットを入れれば、アプリを立ち上げることなく、領収書などの写真を撮って作業が終わる」

また、三澤氏はSaaSの長所として、進化の速さを上げる。「これまでERPはさまざまな機能を追加してきたが、それらがすべてのユーザーにとって必要なものではなかった。SaaSはオンプレミスよりも機能を増やすのは簡単だが、SaaSのどこがお客さまに喜ばれるかというと、AIと自動化であり、これらは個別の機能追加ではない。SaaSはインスタンスがバラバラではないので、UXも一気に向上させることができる。これは、お客さまにとって大きなメリットになる」

三澤氏は、「古いアーキテクチャでは、AIを導入することができない。オラクルはアーキテクチャを刷新することで、AIや自動化に対応している」と、同社のSaaSのアーキテクチャの新しさのメリットを強調していた。