アイリスオーヤマは4月21日、高性能フィルターを搭載してエアコン内部と部屋の空気を同時に清浄化するエアコン「airwill GFシリーズ」(以下、GFシリーズ)を発表しました。発売日は5月24日で、価格はオープン。参考価格は、冷房の適応畳数が木造6畳・鉄筋9畳用「LAF-2205GF」が98,780円、木造10畳・鉄筋15畳用「LAF-3605GF」が151,800円、木造11畳・鉄筋17畳用「LAF-4005GF」が173,800円。

  • GFシリーズ。室内機のサイズは共通で、幅798×奥行350×高さ295mm。アイリスオーヤマでは、高性能フィルター搭載モデルを「内部清潔エアコン」と呼んでいます

高性能フィルターで部屋の空気もキレイにするエアコン

エアコンといえば温度をコントロールしつつ、部屋の空気を循環させる家電。このため、エアコン内部にカビが発生すれば部屋にカビをまき散らすことになります。そこで近年、各メーカーが重視しているのが「エアコン内部の清潔性」です。

多くのメーカーは、カビが発生しやすい熱交換器(室内機の内部)を結露させ、熱交換器を水で流すことで内部の清潔性を高める機能をプレミアムモデルに搭載しています。一方、今回アイリスオーヤマが発表した新製品は、これとはまったく違う手法。新製品のGFシリーズは、吸気部分に高性能フィルターを配置することで「エアコン内部にカビやウイルス、微粒子ゴミを取り込まない」というアプローチによって、エアコン内部の清潔性をキープします。

  • GFシリーズの本体前面パネルを開いたところ。全面を白いフィルターが覆っています

  • フィルター搭載エアコンと非搭載エアコンで、汚れを吸い込ませたデモンストレーション。フィルターなしのエアコンは吹き出し口から汚れが排出されているのが見えますが、フィルターありのエアコンは排気口からの汚れが見えません

GFシリーズのフィルターは、熱交換器の前面に装着する前面フィルターと、エアコン上部の吸気部分に装着する天面フィルターの2種類。これらのフィルターがしっかりと熱交換器を覆い、汚れた空気をエアコン内部に通さず、内部が汚れにくいのが特徴です。アイリスオーヤマによると、フィルターはアイリスオーヤマが開発した独自の多層・静電式フィルター。HEPAフィルターではありませんが、HEPAと同等レベルの清浄性能があるとしています。

  • かまぼこ型の前面フィルター×2と、天面フィルター×2がワンセット。メンテナンスは3年ごとの交換だけと手軽。交換フィルターは、ワンセットで12,000円~13,000円程度の見込み

  • エアコン左面のみフィルターを装着し、上から見たところ。フィルターが熱交換器をしっかり覆っています

吸気時に汚れをフィルタリングするため、エアコンから排気する空気がキレイなのも特徴のひとつ。内部が汚れにくいだけではなく、部屋の空気をキレイにする空気清浄機としても働きます。

アイリスオーヤマによると、エアコンは標準的な空気清浄機よりも大きなファンを搭載するため、パワフルな空気清浄効果が期待できるそうです。また、エアコンに空気清浄機能を持たせることで、空気清浄機を床に設置する必要がなくなり、部屋を広く使えるというメリットも。

  • エアコンならではのパワフルな風量によって、6畳の空間なら約6分で清浄化。約6畳の試験室で行った実験では、約30分でウイルスやカビを99%以上除去したそうです

  • GFシリーズのリモコン。取り込んだ空気はフィルターで自動的に清浄化されるため、「送風」ボタンはなく、かわりに「空清」(空気清浄)ボタンを用意しています

高性能なフィルターの場合、汚れが目詰まりすることによる圧損(空気の流れが阻害され、抵抗が生じること)が気になります。これを低減するために、フィルターをカマボコ型にすることと、フィルターの折り目を深くすることによって、目詰まりしにくい構造にしているとのこと。

  • カマボコ型フィルターを採用したことで、かなり前に出っ張った室内機になりました。写真左は従来モデルのエアコン、右が今回のGFシリーズ

エアコンの機能はスタンダード製品に準拠

高性能フィルターという突出した機能を持つGFシリーズですが、それ以外の機能は標準的。自動お掃除機能やIoT機能などはなく、エアコンとして基本的な機能のみ備えています。そのぶん、高性能な空気清浄機能を持ちながら6畳用で10万円以下という手の届きやすい価格を実現しています。

  • ちょっと変わった機能として、10分以上の冷房運転後に暖房運転10分、送風運転10分という計20分の自動運転で熱交換器を乾かす「内部清浄機能」があります。一般的なエアコンは、冷房後に1~2時間の送風運転をしますが、GFシリーズは暖房運転を交えることで、内部を清浄する時間を大きく短縮します

アイリスオーヤマは現在、エアコンのラインナップとして6シリーズを用意。標準機能のみを搭載した高コストパフォーマンスの「Gシリーズ」、無線LAN内蔵の「Wシリーズ」、室外が47℃以上でもしっかり冷房する猛暑モードを持つ「GXシリーズ」、インテリアに馴染む色の「Dシリーズ」、音声操作に対応した「GVシリーズ」、そして今回の高機能フィルターを搭載した「GFシリーズ」です。

  • 下から、スタンダードなGシリーズ、猛暑モード搭載のGXシリーズ、音声操作可能なGVシリーズ

  • 下から、無線LAN内蔵のWシリーズ、カラータイプのDシリーズ(ゴールド色)、同じくDシリーズのブラウン

工事なしで手軽に設置、ポータブルクーラーも登場

同時に、工事いらずで設置できる「ポータブルクーラー」も発表しました。ラインナップ(参考価格)は、コンパクトで2.0/2.2kWの冷風能力を持つ「IPA-2202G」(54,780円)、冷風能力が2.5/2.8kWの「IPA-2821G」(76,780円)、冷風能力が3.1/3.5kWの「IPA-3521G」(76,780円)。

冷風に加えて温風モードも搭載した、冷風能力が2.5/2.8kWで温風能力が2.2/2.5kWの「IPA-2821GH」(87,780円)、冷風能力が3.1/3.5kWで温風能力が2.6/2.9kWの「IPA-3521GH」(98,780円)。発売日はすべて5月13日です。

  • 会場に展示されていたポータブルクーラー。左からIPA-2202G、IPA-2821、IPA3521。コンパクトタイプのIPA-2202Gは、本体サイズが幅289×奥行320×高さ700mm。そのほかはすべて幅425×奥行393×高さ804mm

特徴としては、窓パネルのシャッターが開閉可能になったこと。屋外機のないポータブルクーラーは、排気ダクトを窓にセットして冷房時に発生する熱気を屋外に逃がす必要があります。このため、ポータブルクーラーには排気ダクトを窓に装着するための「窓パネル」が付属します。新モデルでは、この窓パネルが2枚式になり、クーラーを使用していないときシャッターを閉めて、外部の空気を遮断できるようになりました。

従来モデルは窓パネル装着に窓の鍵がかからないという問題がありましたが、新モデルは付属品として「補助鍵」を追加。この補助鍵を窓の内側に取り付けることで、窓と窓パネルを固定できるようになりました。

なお、本体背面から熱を逃がすダクトホースを使うことで、窓から離れた場所に設置することも可能です。ただし窓から外へ熱を逃がさない場合、ダクトホースから排出される熱は室内にとどまります。例えばお風呂場の脱衣所に設置して、ダクトホースの出口を廊下に向けた場合、脱衣所が冷えたぶん、廊下の気温は上がります。