では、各製品の速度をチェックしていこう。取り上げるのは、エクストリーム プロ ポータブルSSD V2の2TBモデル、エクストリーム ポータブルSSD V2の2TBモデル、ポータブルSSDの480GBモデルだ。テスト環境は以下の通り。マザーボードにはオンボードでUSB 3.2 Gen2x2ポートが備わっているため、各SSDはすべてそこに接続して行っている。

  • マザーボード:MSI MAG Z490 TOMAHAWK
  • CPU:Intel Core i5-10400
  • メモリ:DDR4-2666 16GB
  • システム用ストレージ:Samsung SSD 840 PRO 256GB
  • OS:Windows 10 Pro

Crystal Disk Mark 8.0.1

ポータブルSSDとエクストリーム ポータブルSSD V2は公称を上回る結果だった。ポータブルSSDでは、シーケンシャルリードが565.97MB/sと公称値以上の速度を確認。エクストリーム ポータブルSSD V2も、シーケンシャルリードが1088.00MB/s、ライトが1059.33MB/sと、いずれも公称値を超え、申し分ないスピードと言える。

  • エントリーモデル「ポータブルSSD 480GB」の結果。公称を上回る速度を確認

  • 高性能モデル「エクストリーム ポータブルSSD V2 2TB」の結果。こちらもリード・ライトとも公称を上回る速度だった

エクストリーム プロ ポータブルSSD V2に関しては、シーケンシャルリードが1708.36MB/s、ライトが1686.67MB/sと、公称を下回る速度となった。調べてみると、マザーボードにオンボード搭載されているUSB 3.2 Gen2x2コントローラはASMediaの「ASM3241」だが、それとは異なるコントローラ「ASM3242」のUSB 3.2 Gen2x2拡張ボードが登場していることから、そちらを利用して再計測してみた。

  • エクストリーム プロ ポータブルSSD V2 2TBの結果。公称よりもかなり低い速度となった

すると、シーケンシャルリードが2074.42MB/s、ライトが2071.77MB/sと、いずれも公称を上回る速度を確認。当初速度が振るわなかったのは、USBコントローラに原因があったわけだ。このことから、USB 3.2 Gen2x2対応ポートといえども、コントローラによってはフルに性能を引き出せない場合があることは覚えておいたほうがよさそうだ。

  • コントローラにASMediaの「ASM3242」を採用する、アオテックのUSB 3.2 Gen2x2拡張カード「AOK-USB32-2X2」を用意し、そちらで再計測

  • エクストリーム プロ ポータブルSSD V2 2TBをAOK-USB32-2X2に接続して計測した結果。公称通りの速度が確認できた

HD Tune Pro 5.75

続いて「HD Tune Pro 5.75」を利用し、150GBのデータを書き込んだ場合の速度変化をチェックしてみた。

結果は以下の通りで、3モデルとも途中から書き込み速度が大きく低下している。エクストリーム プロ ポータブルSSD V2とエクストリーム ポータブルSSD V2では、28GB程度のデータを書き込んだところで速度が低下。ポータブルSSDでは、2GB程度で速度が低下している。これは、ライトキャッシュが尽きたことが理由と考えていいだろう。

とはいえ、速度が下がった後でも、エクストリーム プロ ポータブルSSD V2は約1,500MB/s、エクストリーム ポータブルSSD V2は約730MB/sのスピードが発揮されているため、実利用でも大きな速度低下を実感することはそれほどなさそうだ。

一方でポータブルSSDは、速度が240MB/s程度と最高速の半分ほどにまで低下する。これは実感する可能性が高く、大容量データを頻繁に扱う場合には気になる場面も出てきそうだ。

  • ポータブルSSD 480GBでは、書き込み容量が2GBを超えたあたりで速度が大きく低下

  • エクストリーム ポータブルSSD V2 2TBでは、書き込み容量が28GBほどを超えると速度が低下しているが、それでも約730MB/sとまずまずの性能を維持

  • エクストリーム プロ ポータブルSSD V2 2TBも、書き込み容量が28GBほどを超えると速度が落ちたが、約1,500MB/sという十分な速度をキープ

なお、読み出し速度の推移を見ると、エクストリーム ポータブルSSD V2はほぼ最高速度が安定して発揮されてるが、エクストリーム プロ ポータブルSSD V2は28GB付近で低下。ポータルSSDはテスト終了間際に速度が上がる現象が見られた。

実際に各SSD上に大容量データを保存し、そのデータをPCに読み出す場合でも同様の動きが見られたので、エクストリーム プロ ポータブルSSD V2とポータブルSSDではこのような特性を備えているものと考えられる。

Tiger LakeのThunderbolt 4ポート

次に、Tiger Lakeこと第11世代Intel Coreプロセッサに統合されているThunderbolt 4ポートにつないで計測してみた。テストに利用したノートPCは、富士通クライアントコンピューティングの「LIFEBOOK WU2/E3 5Gモデル」だ。

  • LIFEBOOK WU2/E3 5GモデルのThunderbolt 4ポートに接続して計測

結果を見ると、ポータブルSSDとエクストリーム ポータブルSSD V2はUSB 3.2 Gen2x2接続時とほぼ同等の速度。対して、エクストリーム プロ ポータブルSSD V2は、USB 3.2 Gen2x2接続時のほぼ半分の速度となっている。

理由は、LIFEBOOK WU2/E3 5GモデルのThunderbolt 4がUSB 3.2 Gen2までの対応だからだ。接続したポートのスペックに沿ったスピードが発揮されている。製品の性能は最大限引き出せていないが、結果としては当然のものだ。なお、USB 3.2 Gen2(USB 3.1 Gen2)ポートに接続した場合も、これとほぼ同等の結果が得られている。

  • ポータブルSSD 480GB。最大限のリード・ライト速度を発揮

  • エクストリーム ポータブルSSD V2 2TB。こちらも最大限の速度が確認できた

  • エクストリーム プロ ポータブルSSD V2 2TB。LIFEBOOK WU2/E3 5GモデルのThunderbolt 4はUSB 3.2 Gen2対応なので、インタフェースの上限速度がボトルネックとなって本来の速度の半分ほど

利用する機器のUSBポートに合わせて選択したい

ここまで見てきたように、これら3モデルは仕様が大きく異なっていることがよく分かる。ただ、容量2TBモデルの実勢価格で比較すると、ポータブルSSDは23,300円前後、エクストリーム ポータブルSSD V2が2TBが39,000円前後、エクストリーム プロ ポータブルSSD V2が50,000円前後と、かなり大きな差がある。実際の購入時には性能と価格のバランスを考慮すべきだ。

デスクトップPCで4K・8K動画編集を行うなど、大容量データを頻繁に扱うプロフェッショナルユーザーなら、コストがかかるとしても、USB 3.2 Gen2x2拡張カードの増設も視野に入れつつ、エクストリーム プロ ポータブルSSD V2の利用がベストだろう。大容量データになるほどファイルコピーの待ち時間が長くなるため、作業効率を高める意味でも、可能な限り高速なものを選ぶのが基本となる。将来性を見越して、とにかく最も高速な外付けSSDが欲しいという場合も同様だ。

最上位のエクストリーム プロ ポータブルSSD V2だと予算的に厳しい場合は、エクストリーム ポータブルSSD V2でも大きな問題はない。利用するPCにUSB 3.2 Gen2x2対応ポートが存在しないという場合も同様だ。

PC側USBポートの仕様がUSB 3.2 Gen1(USB 3.0)であったり、コストパフォーマンスを重視したいなら、ポータブルSSDがオススメとなる。ただ、ポータブルSSDは速度が低下しやすい特性があるため、USB 3.2 Gen1環境でも最大限の速度を引き出したいなら、上位モデルの選択も視野に入れていいだろう。例えば、PlayStation 4で外付けストレージとして利用する場合、ポータブルSSDでも必要十分だが、最大限の速度を引き出したいならエクストリーム ポータブルSSD V2をオススメする。