米デル・テクノロジーズは3月17日(現地時間)、「Dell EMC PowerEdge」サーバ17機種を発表した。デル・テクノロジーズ 執行役員 副社長 データセンターコンピュート&ソリューションズ事業統括 松本光吉氏によれば、一度に17機種を発表するのは、過去最多だという。
新しいサーバ群は、 AI(人工知能)をサポートし、エッジにおけるITのニーズに応える自律型インフラストラクチャーの要素を強化している。また、PCIe Gen 4.0対応となり、前世代の2倍の帯域幅を実現。また、1サーバあたり最大6つのアクセラレーターを搭載できるという。
新サーバは、ダクトファンの採用や冷却最適化機構により、前世代に比べて最大60%の電力効率の向上を実現し、マルチベクター クーリング(Multi-Vector Cooling)との組み合わせにより、サーバ内の最も高温な部分へエアフロ―を自動的に向けることで、最適な冷却効果を実現するという。また、直接液体冷却(Direct Liquid Cooling)搭載モデルもある。
Dell Technologies アジア太平洋/日本 データセンター&コンピュート担当 バイスプレジデントChris Kelly(クリス・ケリー)氏は、「サーバにおいては、アダプティブ(柔軟性のある)コンピュート、自律型コンピュートインフラストラクチャー、プロアクティブレジリエンス(耐障害性)が重要で、これがわれわれの設計原則だ」と語った。
この3つの原則については、Dell Technologies プロダクトマネジメント&プロダクトマーケティング部門 サーバーソリューション担当 シニアバイスプレジデント Ravi Pendekanti(ラヴィ・ペンディカンティ)氏が説明した。
アダプティブコンピュートは、AI・ML(Machine Learning)、GPU、FPGA、最新CPUなどの最先端のテクノロジーを利用することで、それによって高い収益をもたらすとした。
「さまざまなワークロードに対応するには、異なったテクノロジーが必要になる。われわれは、それによって、コアの部分でもエッジでも対応できるようにしていきたいと思っている」(ペンディカンティ氏)
今回の新製品でいえば、PowerEdge R750は第3世代インテル Xeonを搭載し、超並列の演算処理をサポートすることで、超並列形の線形方程式の処理パフォーマンスが最大43%向上したという。
また、PowerEdge R6515では、第3世代AMD EPYCプロセッサーを実装し、ビッグデータHadoopデータベースデータで処理能力が最大60%向上したという。
自律型コンピュートは、インフラが自己導入、自己プロビジョニング、自己管理を行うことを実現していくもの。
ペンディカンティ氏は、「自律型コンピュートインフラによって、コンピュータ管理をより容易にしていく。人間のマニュアルの作業が加わると、どうしてもエラーが発生する。できるだけ人手の介入を減らし、サーバ自身がセルフマネージできる世界にしていきたいと思っている」語った。
同社は、PowerEdgeサーバとDell EMC OpenManage Enterpriseのシステム管理機能によって、すでに自動化を通じて数十のステップを排除し、平均で最大85%の時間短縮を実現したとしている。
プロアクティブレジリエンスは、障害に対する強さを提供することだという。具体的には、セキュリティや自動リカバリーで、セキュリティでは暗号化証明書ベースで検証する「Secured Component Verification」という機能を提供する。
新製品のR750には、R750 xaという機種もあり、xaはExtreme Accelerationの略で、アクセラレーション パフォーマンス加速に特化した機種。機械学習の学習、推論、そして最近発表された、VMware vSphere7 Update2向けのソフトウェア スイートを含むNVIDIA AI Enterprise用システムとして、高密度GPUパフォーマンスを提供。第3世代インテル Xeon スケーラブル・プロセッサーを搭載したデュアル ソケットの2Uサーバで、最大4つのダブルワイドGPUまたは6つのシングルワイドGPUをサポートする。
R750 xsという機種もあり、xsはExtreme Scaleの略で拡張性を重視した機種だという。
また、「PowerEdge XE8545」は、AIワークロードサーバで、最新の「HPC Ready Solution for AI and Data Analytics」をサポートし、単一のシステム上で AI、アナリティクス、高度なコンピューティングのワークロードを実行。最大128コアの第3世代 AMD EPYCプロセッサーと4つのNVIDIA A100 GPUサポートするデュアルソケットの4Uラックサーバとして提供する。
新製品では、エッジに特化したモデル「XR11」や「XR12」もあり、熱やほこりなど過酷な環境に対応できるように設計されているという。
ケリー氏は、「いまは75%のデータがデータセンターやクラウドで処理されているが、IDCの調査では、2025年までに逆転し、75%以上がデータセンターやクラウド以外で処理されるとしている。これは、エッジのニーズに大きなインパクトを与える。将来、エッジは従来のクラウドやオンプレミスの領域を超えるだろう。5Gによってデータを低レンテンシーで転送することもできるようになる。エッジがコンピュータの新しい領域になり、指数関数的にニーズが高まっていくだろう」と、今後はエッジがより重要になるとの認識を示した。
松本氏は、今回、17機種という多くのサーバをリリースしたことについて、
「みなさんは、x86サーバはコモディティ化されていると思っているかもしれないが、AI・ML、エッジなど、ユースケースにより多様なニーズがある。そのため、それに合わせて幅広いラインナップを提供することが求められる。用途に最適な製品を提供できるということは、市場から求められている」と語った。