家電ライターの筆者、仕事の一環という面もありますが、3種類の電動歯ブラシを使っています。Oral-B by Braun(旧ブラウン)のiOシリーズ、フィリップスのソニッケアーシリーズ、パナソニックのドルツシリーズ、いずれも最上位モデルです。

ちょっと前まで気になっていたのは、パナソニックのドルツだけスマートフォンと連動する機能がないこと。そんなドルツも、2020年モデル「EW-DT51」でスマホ連携機能を搭載しました。電動歯ブラシ好きとしては試さずにはいられません。

  • パナソニックの電動歯ブラシ「ドルツ」、2020年のフラッグシップモデルとなる「EW-DT51」です。極細毛ブラシ(コンパクト)、極細毛ブラシ(ラージ)、クリーン&ホワイトブラシ、ポイント磨きブラシ、充電スタンド、携帯ケース、ブラシスタンド、ACアダプターが標準で付属します

  • 本体サイズは約幅2.9×奥行3.4×高さ24.1cm(ブラシ含む)。重さは約115g

お手本と自分の磨き方を並べて指導するアプリ

電動歯ブラシを使っていない人は「電動歯ブラシでスマホ連携?」と思うかもしれません。最近の高機能な電動歯ブラシは、スマホの専用アプリと連携して歯磨きをチェックし、上手な歯磨きをアシストしてくれます。たとえば、オーラルBやソニッケアーの最上位機種は、歯ブラシの内蔵センサーが「いま口内のどのあたりを磨いているか」を検知しながら、磨き残しの可能性が高いエリアをアプリ上で表示したりするわけです。

ドルツのEW-DT51も、この新モデルからBluetoothでスマホと連携する機能を搭載しました。残念ながらブラシ位置検知はありませんが、アプリ画面に表示される動画と同じ動きで歯磨きすることで、歯磨きをサポートします。面白いのが、お手本動画の下にスマホのカメラで撮影した自分の歯磨き様子をリアルタイムで表示すること。お手本と自分の様子が上下に並ぶので「あ、いまお手本と違う動きをしている」というのが一目でわかります。

  • 実際に歯磨きをしているときのアプリ画面。自分の磨き方がリアルタイムで動画と一緒にされるため、見本通りに磨けているかがすぐにわかります。ポイントごとに短い文章で磨き方のコツを教えてくれるのも◎

ブラシの押しつけ圧力を検知する機能はあります。歯磨き中に磨き圧が強すぎると注意し、歯磨き後にどの位置に強くブラシを当てすぎたかといったチェックが可能です。いまのところEW-DT51の圧力検知は「強すぎる圧」だけなので、今後のリニューアルでは「圧が弱すぎる場合」も警告して欲しいと思います。

  • 歯磨き中はもちろん、歯磨き後に自分が強く押しつけた部位を表示して注意喚起

  • 自分の歯の状態にあわせた歯磨きコースを作成してくれるのもうれしいポイント

ドルツの魅力はブラシにあり

筆者が普段からドルツを利用している理由はさまざまあるのですが、ひとつはブラシ。ドルツには「極細毛ブラシ」とよばれる替えブラシのシリーズがあって、筆者の感覚では一番「歯周ポケットに入り込んでいる!」からです。

EW-DT51では、このブラシもリニューアルされました。もっとも大きな違いはラインナップの統合です。

これまでは歯の表面を磨くのに向いたブラシとして、「ステインオフブラシ」「マルチフィットブラシ」「ステイオンオフATT剤ブラシ」の3本がありました。新しいラインナップでは、これら3つのブラシ機能をすべて備えた「クリーン&ホワイトブラシ」が登場しました。

また、従来モデルで歯周や歯茎のケアに使われていた「極細毛ブラシ(コンパクト)」「極細毛ブラシ(ラージ)」「シリコンブラシ」の3本は、「極細毛コンパクトブラシ」と「極細毛ラージブラシ」の2本に統合されています。ブラシのラインナップは従来の7種類から4種類となり、「今回はどのブラシを使うべき?」と悩むことが減りました。

  • 歯の表面を磨くのに適した「クリーン&ホワイトブラシ」。ステインと歯垢をしっかり除去する特殊形状ブリッスル(エンボス毛)を採用しています。磨いた感触はちょっと固めの印象

  • 筆者お気に入りの「極細毛ブラシ」シリーズ。左がコンパクト、右がラージ。毛先が約0.02mmと細く、磨いているとしっかり歯周ポケットや歯間に入り込んでいる感触があります。筆者がドルツを使用するのはこのブラシがあるからといっても過言ではありません

  • 左からクリーン&ホワイトブラシ、極細毛ブラシ(コンパクト)、極細毛ブラシ(ラージ)、ポイント磨きブラシ。EW-DT51には、新ラインナップの全ブラシが標準付属しています

さらに新ラインナップのブラシは、ヘッドの厚みが約3.2mmと薄くなり、ヘッド角度も直角になりました。ちょっとした変化ですが、ブラシが口の奥のほうで動かしやすくなっています。ドルツの魅力はブラシにあると再確認。

  • 植毛するヘッド樹脂部が約3.2mmになった新ブラシ(写真左)。旧ブラシ(写真右)はヘッド厚が5mmでネックに角度が付いていました

ドルツシリーズの替えブラシは種類によりますが、1本500円くらい。他社の高機能電動歯ブラシは、替えブラシが1本1,500~3,000円ほどです。ドルツシリーズのランニングコストは、高機能な電動歯ブラシ製品としては群を抜いています。この替えブラシの安さも、ドルツを手放せない理由のひとつ。ブラシは口に入れるものだけに、衛生面を考えて頻繁に取り替えたいというニーズに応えてくれる価格帯です。

ドルツならではのW音波振動はそのまま

と、歯ブラシの良さばかり語ってしまいましたが、もちろんベースとなる本体の機能もしっかりしています。基本となる動きは、毎分約31,000ストロークの横動作と、毎分約12,000ストロークのタタキ動作をしてくれます。

パナソニック製品だけあって、お手入れのしやすさも魅力的です。充電台は汚れをふきとりやすい無接点充電式で、EW-DT51ではブラシスタンドも汚れにくいカバー付きになりました。

  • 替えブラシを置くためのブラシスタンドは、今回のEW-DT51からカバーが付き、汚れにくくなりました。細かなポイントですが、毎日使っていると気になる部分です

  • ドルツ独特の「底がない」浮いたような形で充電できるスタンドも、個人的に気に入っています。濡れた電動歯ブラシを充電しても汚れにくく、ケアしやすい構造です

  • 本体とブラシ×2本を収納できる専用ケースも標準付属。こちらは充電機能のないただのケースです。他社のフラッグシップモデルだと、ケースにも充電機能を搭載しているものが多いので、今後に期待です

そもそも電動歯ブラシにスマートフォン連携機能は必要か

ところで、たまに「そもそも歯ブラシにスマートフォン連携って必要?」と聞かれることがあります。個人的には、「なくても問題ないけど、あると役に立つ」と思っています。

歯磨きって、自分ではまんべんなくしっかり磨いたつもりでも、磨きやすい場所に偏りがちなんです。実際にデータを取ってみると、磨き残しエリアは発生しやすく、右利きや左利きといったいろいろな条件でも変わってきます。

スマホアプリで確認しながら歯磨きしていると、「右利きだから気が付いたら左側ばかり長く磨いていた」という無意識の偏りをなくせます。とはいえ、毎回アプリを起動するのは正直めんどう。筆者は2週間や1カ月に1回など、不定期的に自分の磨き方をチェックして偏りの矯正に利用しています。今回のドルツ(EW-DT51)のスマホアプリは、この確認作業にぴったりと感じました。

最後にまた戻ってしまいますが、EW-DT51を使っていて再確認したのは、ドルツシリーズの歯ブラシの優秀さ! しっかり歯周ポケットにアクセスする極細毛と、替えブラシのコスパは大きな魅力だと実感しました。