新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、自宅で仕事を行うようになった人も多いだろう。職種にもよるだろうが、家でパソコンを使った作業を行うには、ディスプレイやキーボード、マウスをそろえるなど、作業環境の整備が必要だ。

1日に何時間も使う仕事道具である。できることなら、いいスペックのアイテムを使って、快適に業務したい。だが、会社はそこまで手厚くサポートしてくれないはず。コスパ良好な周辺機器を手配してくれればいいほうで、テレワークを言いわたしたものの、何の手当てもないという会社もあるだろう。自宅で仕事をしていると水道光熱費が上がるので、自費でいい機材を買えるほど余裕もない。

そこで今回は、出費を抑えつつ作業環境を向上させるアイテムとして、マウスに貼って使うグリップテープ「DSPマウスグリップ」を試してみた。

  • マウスに貼って使うグリップテープ「DSPマウスグリップ」で、自宅の仕事環境改善を試みた

メジャー級のグリップで自宅の業務を快適に

「DSPマウスグリップ」は、「Lizard Skins」というブランドのマウス用グリップテープ。「Lizard Skins」は、メジャーリーグ(MLB)のバット用グリップの公式サプライヤーを務めているほか、自転車用のバーテープがツール・ド・フランスに出場するプロのロードレーサーから支持を得ているなど、スポーツ用グリップで高い実績を持つ。

そんな「Lizard Skins」が、2020年にeスポーツへ参入した。独自に開発した素材「デュラソフトポリマー(DSP)」を使ったマウスグリップは、吸い付くようなグリップ感を味わえるという。本来ならば、FPS(一人称視点のシューティングゲーム)など、精度の高いマウス操作が必要なeスポーツ選手向けの製品だろう。

だが、筆者はプロゲーマーでなければ、ガチFPSプレイヤーでもない。しがないワーカーだ。そのため、「DSPマウスグリップ」を貼るのは、仕事用のマウス。キーボードとマウスがセットで2,000円弱とコスパ良好なうえ、1つのUSBドングルでどちらも使える便利な無線タイプである。その普段使いのマウスに「DSPマウスグリップ」を貼って、快適な作業環境を手に入れようと考えたのだ。

なお、「DSPマウスグリップ」のカラーバリエーションは、「ブラック」「ブルー」「レッド」「グリーン」「オレンジ」「イエロー」「ミントグリーン」に加えて、「ブラックカモ」「ファントムカモ」「ワイルドファイヤーカモ」といったカモフラージュ柄も用意。市場想定価格(税込)は、無地カラー(7色)が1,690円から、カモフラカラー(3色)が1,790円から。10×15×0.05cmのシートをカットしてマウスに貼り付ける。

  • 今回使うのは、エレコムのマウス。なお、写真に写っているキーボードはセットのものではない

  • 「DSPマウスグリップ」はカラーバリエーションも豊富

カットする形をシールにマッピング

製品に同梱されているのは、DSPシートとカット用シール、アルコールワイプ、手順ガイドだ。まずは、アルコールワイプで、マウスの汚れをしっかり取ろう。シールを貼る場所はもちろん、せっかくなので裏側もキレイにしておいた。

続いてカット用シールをマウスに貼り、ボールペンなどで線を引く。どのような形にカットするかを計測するわけだ。これがなかなか難しい。立体的なマウスを平面に落とし込もうとすると、ボールペンが思うように動かず、線がフニャフニャになってしまった。だが、必ずしも正確である必要はない。少し大きめに線を書いておき、最終的に微調整を行えばいい。

  • 同梱物はDSPシートとカット用シール、アルコールワイプ、手順ガイド

  • マウスの掃除から開始

  • カット用シールをマウスにあて、カットする形を落とし込んでいく

  • 左右のボタン部分と側面の形をカット用シールに書き写した。線がガタガタなのはご愛敬

貼るのはマウスと手が触れる場所

そもそも、最初はどこにグリップテープを貼ればいいのかわからなかったが、とりあえず手順書に書かれている通り、左右のボタンと両サイドを貼ってみることにした。基本的にマウスを握った際、手が触れる部分を選べばいいだろう。

マウスの持ちかたは人それぞれだと思うが、筆者の場合、親指と薬指でマウスを挟み込み、人差し指と中指で左右のボタンをクリックするスタンダードなスタイル(たぶん)。実際に確かめてみると、マウスが小さめだからか、親指と薬指がマウスの前方ギリギリのところに触れていることが分かった。

そのため、カット用シールに書き写す際は、前寄りの側面をしっかりカバーできる形になるよう意識。全体的にも余裕をもってカット用シールに書き写したが、それでも余白が残ったので、少し大きめのマウスでも問題なく使えそうである。

また、「Logicool G603」や「Logicool G502」、「Razer DeathAdder V2」など、いくつかのゲーミングマウスについては、公式サイトに専用のカッティングシートが用意されている。わざわざ自分でカットサイズを書き込む必要がないので、一度持っているマウスのシートがあるか、確認してみるといいだろう。

  • 「Logicool G603」の場合、このテンプレートを印刷してカットし、シールに書き写せばいい

カットする形のマッピングを終えたら、次はカット用シールをDSPシートに重ねて貼り、線に沿ってシートをカットしていく。実際にマウスにあててみて、フォルムを微調整。問題なさそうであれば、DSPシートを貼っていこう。

  • 書き写した形にカットしていく

  • あとで調整できるよう、気持ち大きめに切っていくのがオススメ

  • 実際にあててみると、ホイール部分のサイズが全然違うことが分かったので、調整しながらカットしていく

  • 貼り付けたら完成! マッピングに苦戦したものの、30分もかからなかった

力を入れずにマウスを握れるグリップを体感

DSPシートを貼ったマウスを握ってみると、まったく力を入れていないにもかかわらず、指にくっつくほどの吸着力に驚かされる。

こんな高いグリップ力がマウスに必要かと思うほどだが、しっかりと手に吸い付いてくるので、軽い力でマウスを思い通り動かせる。FPSなどのゲームはもちろん、仕事で長時間使う場合でも、疲労を大きく軽減できそうだ。

ある程度使っているうちに、手のひら部分もかなりマウスに接することに気が付いたので、DSPシートの残りを使ってマウスの手前部分にも強力なグリップパワーを与えてみた。

すると、マウスのほぼ全体をシートで埋め尽くすような形になったが、軽めのマウスであることも相まって、マウスを持ち上げる際にもほとんど力を使わないで済むほどパワフルなグリップ力を手に入れることに成功。もはや手と一体化したマウスは、1日中使っていても指や手首が痛くならない。これならば、快適に日々の作業を進められそうだ。また、手汗をかいてもベタつかず、不快感はほとんどなかった。

気になったのはホイール付近だ。0.05cmの薄さではあるが、小さなホイールの場合、近くに貼りすぎるとホイールが若干埋もれてしまいスクロールしにくくなる気がした。回転しなくなるわけではないので、慣れれば問題なさそうだが、ホイール付近はギリギリまで貼らずに、大きめの余白を残しておくのがいいだろう。

  • 最終形態になったマウス。ほぼ全体をグリップシートで覆うことになってしまったが、グリップ力が抜群に跳ね上がった

  • ほとんど力を入れずにマウス操作できる。指や手首がラクになった

なお、「DSPマウスグリップ」は、ゲーム用コントローラーやスマートフォンなど、マウス以外にも使えるので、グリップ力を上げたいデバイスがある人は、一度試してみてはいかがだろうか。