NTTドコモは1月20日、ケーブルをプラスチック小片でつまむだけで通信エリアを構築できるアンテナを開発したと発表した。60GHz帯域での実証にも成功したという。

  • ドコモが開発したアンテナによる60GHz帯域での実証模様

5G通信で使われているミリ波をはじめ、高周波数帯の電波は直進性が強く、障害物で遮られやすいという特徴がある。このため、高周波数帯を使った通信では、基地局から見通せない場所や、障害物で囲まれた場所の通信エリア化が課題だった。

今回ドコモが開発したアンテナは、高周波数帯の電波を伝搬するケーブル(伝送線路)である「誘電体導波路」にて、任意の箇所をプラスチック小片でつまんだ際、つまんだ箇所から電波の一部が「誘電体導波路」の外部に漏洩する現象を利用したもの。ケーブルをつまむだけで、つまんだ箇所の周辺に通信エリアを構築できるエリア化ツールとなる。

複数の箇所を同時につまむと、複数の場所で同時に通信エリアを構築できる。また、不要な場所のプラスチック小片を取り外すと、電波の放射を止められるため、電波干渉を抑えて必要な場所の電波を強くするなど、柔軟かつ効率的にエリア構築できるという。

利用先は、人や機材が遮蔽物となりえる工場やオフィスなどを想定。また、2021年度上期から、ドコモが5Gで利用している28GHz帯で新アンテナによる通信エリア構築の検証を開始し、実用化を目指す。同社は、5G通信やその後の6G通信における、高周波数帯のエリア化ツールとして活用の幅が広がるとしている。