モリサワは2021年1月18日、写植の時代に大きなシェアを誇り、いまも多くのフォントが高い評価を得ている企業「写研」が保有する書体を、両社共同でOpenTypeフォントとして開発することに合意した。

  • モリサワと写研が、写研のフォントのOpenTypeフォント化で合意。共同開発を発表した

    モリサワと写研が、写研のフォントのOpenTypeフォント化で合意。共同開発を発表した

写研は、電算写植機やテレビのテロップ作成システムなど、専用システム上で利用するフォントの開発で知られる企業。同社のフォントで代表的なものには、「ゴナ」、「ナール」、「スーボ」などがある。

写研のフォントはデザイン性を評価する声が根強い一方、専用のシステムを通じて使うことが前提となっていたため、それらが廃盤となり、DTPが普及した現代では使用がほぼ不可能となっていた。

今回、モリサワと写研が合意を結んだことで、パソコンなどで扱えるOpenTypeフォントの開発が決定。フォントのラインナップや提供形態は、追って発表となる。

OpenType形式でデジタル化された写研のフォントは、2024年より順次リリース予定。ちなみに、2024年は写研の創業者である石井茂吉氏と、モリサワの創業者である森澤信夫が「邦文写真植字機」の特許を共同で申請(1924年)してから100周年の節目にあたる。

写研 代表取締役社長の笠原義隆氏は、「共に邦文写真植字機を世に送り出したモリサワ社と共同事業を開始できることに、深い感慨を覚えます。今後写研書体がより多くの皆様にご利用いただけますよう、鋭意努めてまいります」と語った。

一方、モリサワ 代表取締役社長 森澤彰彦氏は、「邦文写真植字機発明100周年に向けて、両社共同でフォントを開発できることを心から嬉しく思っています。長年にわたって愛される写研の書体をこれからも多くの皆様にご利用いただけるよう、グループ一丸となって誠心誠意取り組んでまいります」とコメントした。