Windows 10Xがリークした。米国時間2020年1月14日前後、Windows 10XをインストールしたVHD(仮想ハードディスク)イメージがネット上に流出。Windows 10Xはデュアルディスプレイを備えるデバイス向けOSとして、2019年10月に開発が公表された。その後はMicrosoftの方針転換に伴い、2020年5月にはシングルディスプレイもサポートすると表明。Surface Neoを筆頭とするデュアルディスプレイPCの開発が難航したのではないか――と見られている。

  • Windows 10Xのセットアップ。PINの最小構成が6文字以上に変更され、Microsoftアカウントが必要となった

Windows 10Xの特長は、シンプルなUIにあると述べても過言ではないだろう。Windows 10と同じカーネルで動作するWindowsコアOSながら、タイルを廃止して再設計したスタートメニューや中央にアイコンを集めたタスクバー、コマンドプロンプトも存在しない(はずである)。ただしWin32アプリは動作せず、エクスプローラーもメモ帳も削除された。スタートメニューにはエクスプローラー風のアイコン「Files」が存在するものの、起動しない。英語圏におけるエクスプローラーの名称は「File Explorer」となっており、このExplorerの部分を取り除いたようだ。

  • スタートメニューを開くと、プログラムと共にMicrosoftアカウントにひも付いたファイル(のエイリアス)が並ぶ

Microsoft Store経由のアプリ更新など、いくつか動作を確認してみたが、いかんせん仮想マシン上で動作するWindows 10Xのため、使用感を述べるのは難しい。ここでWindows 8を思い出してほしい。タッチ操作向けのUIをいたるところに採り入れたWindows 8は野心的なOSだったが、仮想マシン上と初代Surface RTにプリインストールされたWindows 8の使い勝手はまったく違う。当時、筆者はリリース前のプレビュー版でWindows 8のUIに触れており、英語版のSurface RTとその上で動作するWindows 8は別物だった。

  • Microsoft Edgeで本誌サイトにアクセスした状態

Windows 10もタッチUIをサポートしているが、あくまでもPCの操作スタイルを踏襲し、完全なタッチUIではない。Windows 10XはタッチUIデバイスを前提として設計されたOSであり、デバイス(仮想マシン)がタッチUIをサポートするか否かで、その操作感が左右される。

  • 従来のアクションセンターがある場所は「Quick settings」に置き換わった

Windows 10Xデバイスは、MicrosoftやOEMパートナーから提供される予定だ。その一端を公式ドキュメントからうかがえる。

我々がPCで使用する従来のデバイスドライバーは「Windows Desktop Driver」、Windows 10Xで実行できるデバイスドライバーは「Windows Driver」と定義付けられた。Windows DriverはWHCP(Windowsハードウェア互換性プログラム)認定やAPI階層化、ドライバーパッケージの分離などを要件化している。簡単にいうと「Windows Desktop Driverの上位版がWindows Driver」となり、Windows DriverをWindows 10 PCで使用することも可能だ。

Microsoftは「Windows Driverの追加要件を満たすために、Windows 10デスクトップ上でのみ動作するドライバーは必要ない。だが、ドライバーの保守性と信頼性を向上し、将来的なWindows 10Xの認証の可能性に備える」ためにも、Windows Driverの各要件を満たすことを推奨している。

すでにWindows 10 バージョン20H2はWindows Desktop Driverに対応し、MicrosoftがWindows 10Xデバイスを発売するのであれば、当初からWindows Driverを用意してくるだろう。MicrosoftやOEMパートナーがどのようなWindows 10Xデバイスを用意してくるのか、今から楽しみだ。