パワーやバッテリー持続時間などに不安があり、コードレス掃除機を「サブ掃除機」としていたのは昔のこと。いまでは、スティックタイプのコードレス掃除機が「メインの掃除機」として使われています。ただ、掃除機がパワフルになり高機能化すると、避けられないのが高価格化。気軽には購入しにくい製品だけに、失敗したくありません。そこで、いま注目の「メインで使えるコードレス掃除機」10台を、家電の専門家3人が実際に使って評価しました。

試した製品(メーカー名あいうえお順)

評価したのは以下の10製品です。各モデルのリンクをクリック(タップ)すると、レビューパートへ移動します。

  • 今回のテストで試した10製品。並べてみると圧巻

    左から、日立グローバルライフソリューションズ「パワーブーストサイクロン PV-BH900H」、バルミューダ「BALMUDA THE CLEANER」、パナソニック「パワーコードレス MC-SBU840K」、東芝ライフスタイル「トルネオVコードレス VC-CL1600」、ダイソン「yson Digital Slim Fluffy」、シャープ「RACTIVE Air EC-AR5」、シャークニンジャ「vopower System CS401」、エレクトロラックス「Pure Q9」、アイリスオーヤマ「極細スティッククリーナーモップ・マルチツール付 SBD-E4P」、三菱電機「INSTICK ZUBAQ HC-JD2X」

試した人

  • 家電プロレビュアー:石井和美
    白物家電のレビューを行う家電プロレビュアー。 2018年より家電をレビューするためだけの一軒家「家電ラボ」を開設。日夜、家電製品のレビューにいそしむ。小型のキッチン家電などにとどまらず、エアコン、冷蔵庫、洗濯機といった大型家電を集めたレビューも手がけている。自身でも「家電Blog」を運営中

  • 家電ライター:田中真紀子
    家電を生活者目線で分析、執筆やメディア出演を行う白物・美容家電ライター。日常生活でも共働き家庭の主婦として、家事効率を高め、暮らしを快適にする家電の研究に余念がない。専門家として取材やメーカーのコンサルタントに応じることも多数

  • 家電ライター:倉本春
    生活家電や美容家電、IoTガジェットなど、生活を便利にする製品が大好きな家電ライター。家電などを活用して、いかに生活の質をあげつつ、家事の手間をなくすかを研究するのが現在最大のテーマ

まずは掃除力のテスト

フローリング

掃除機を購入するうえで、気になる掃除力をチェックします。最初は、使う場面が多いと思われるフローリング床材です。仮想ゴミを実際に吸ってみます。ホコリなどの細かなゴミとして重曹、大きめのゴミには猫砂(直径5mm前後サイズ)、そして髪の毛(40cm~45cm程度の人毛)、各テストにつき20本)を用意しました。

  • フローリングの部屋、壁ぎわに写真のように仮想ゴミを撒いて掃除

テスト方法は、壁から約1mの範囲に仮想ゴミを一通り散らして、(1)各掃除機を壁に向かって約2秒動かして吸い取り、(2)壁にぶつかったら2秒停止、(3)さらに2秒かけて元の位置に戻るというもの。チェックポイントは以下です。

  • ヘッドの往路でゴミがキレイになるか
  • 壁際のゴミがきちんと除去できるか
  • ヘッドが往復したあとにゴミがきちんと清掃されているか
  • 掃除後、仮想ゴミの状態をチェック

レビュアー陣が特に注目したのは以下の4点です。

  • 掃除機のヘッドが通ったあとにゴミの取り残しがないか(手で触って床が重曹でザラつかないか)
  • ヘッド両脇のゴミをしっかり吸引できているか(ヘッド両脇の吸引ラインがハッキリしているか)
  • フローリングの溝にゴミの取り残しがないか
  • ヘッドやブラシが猫砂などの大きなゴミを散らかさないか

カーペット

ゴミが絡まりやすく、掃除能力の高さがものをいうのがカーペットやラグマット。今回はカーペットでの掃除能力をチェックしました。仮想ゴミはフローリングのテストと同じです。

  • カーペット上に仮想ゴミをセット

髪の毛に関しては、全10製品がすべての毛を吸引できたので、各製品のレビューパートでは触れません、家庭内のカーペットに落ちた髪の毛は、踏まれたりしてカーペットの毛足に絡まり、なかなか取りにくいのが実状ですが、今回のテストではそこまで再現していません。

  • 各掃除機でカーペット上を一往復して、仮想ゴミの吸い取り具合をチェック

仮想ゴミを撒いたカーペット上を掃除機のヘッドで一往復。ヘッドを動かす距離とスピードは、約1mの距離を約2秒です。ここでも、以下の項目に注目しました。

  • ヘッドが通ったあとにゴミの取り残しがないか(カーペットの毛の間に重曹が残っていないかなど、目視によるチェック)
  • ヘッド両脇のゴミまでしっかり吸引できているか(ヘッド両脇の吸引ラインがハッキリしているか)
  • ヘッドやブラシが猫砂などの大きなゴミを散らかさないか

掃除時短の重要ポイント、メンテナンスのしやすさ

ヘッドのメンテナンス

ほとんどのコードレス掃除機が搭載しているヘッドの「回転ブラシ」。回転ブラシのおかげで清掃性能は格段にアップしますが、ロングヘアの家族がいる家庭だと、掃除機の回転ブラシに「髪の毛が絡まって回転が止まる」といった問題も発生します。そこで、重曹と猫砂、40cm~45cm程度の人毛40本を吸い込んだあとのヘッドをチェック。ヘッド内のブラシに髪の毛が巻き付いていないか、掃除後にヘッド内部が汚れていないかなどをチェックします。

  • 掃除機のヘッド裏。回転ブラシへのゴミの絡まりは、なかなかの難所です。写真はダイソン「Dyson Digital Slim」

ダストビン(ダストボックス)

コードレス掃除機のコンパクト化・軽量化が進むとともに、ダストビン(吸引したゴミが溜まるパーツ)が小さくなる製品も増えてきました。小さなダストビンで問題になるのは、掃除中のゴミ捨て回数が増えること。ゴミ捨てまでの工程などをチェックして、どれだけ簡単にゴミ捨てできるかを確認します。

ゴミ捨て後はダストビンやその周囲の汚れ具合も確認。とくに、ダストビン内のメッシュフィルターに髪の毛が絡まりやすい製品もあります。ゴミ捨て後にダストビン内に髪が残っていないか、残った髪やゴミを簡単に取り除けるかも調べます。

  • ダストビンの容量、ゴミ捨ての手順、内部フィルターへのゴミの付着を確認します。写真はパナソニック「パワーコードレス MC-SBU840K」

購入の決め手? 使い勝手

ヘッドの動かしやすさや曲がりやすさ、自立するかといったポイントから、「ヘッドにLEDライトを搭載」「予備バッテリーが使える」といった製品独自の特徴的な機能まで、「使いやすさ」に焦点をあててチェックします。

充電台

コードレス掃除機は、ほとんどの時間を充電台に収納された状態で過ごします。そこで、充電台にセットした状態の写真とともに、充電台の機能(付属品を収納できるかなど)について確認します。

  • 充電台は機能性に加えて、デザインを重視する人は多いかもしれません。写真はシャークニンジャ「Evopower System CS401」

付属品

すき間ブラシや布団用ブラシなど、コードレス掃除機に付属するアクセサリーをチェック。車内掃除、サッシのすき間、布団……、1台の掃除機で家中の掃除を網羅したいユーザーにとっては重要なチェックポイントです。

  • 付属品は製品によって個性があります。写真はアイリスオーヤマ「極細スティッククリーナーモップ・マルチツール付 SBD-E4P」

実際に使ったレビュアー陣が感じたこと

各製品のレビューでは、3人の専門家がそれぞれ感じたことをコメントします。それぞれ子どもがいたりペットを飼っていたりと、家庭環境もさまざま。環境によって「使いやすい」と感じる製品は異なっています。

たとえば、パワー重視の掃除機は重かったり、軽い掃除機はバッテリー持続時間が短かったりと、どの掃除機にも一長一短があって「すべての状況に最高の1台」という製品は存在しません。テスト結果やレビュアー陣のコメントを参考に、ご家庭にピッタリの1台を見つけ出して欲しいと思います。

  • 評価した10製品