ソフトバンクは12月23日、パナソニックの社内分社であるコネクティッドソリューションズ社と協力して、クラウド上で映像制作を完結できるシステムを共同開発し、地上デジタル放送での共同検証を実施したと発表した。

同システムは、ICT(情報通信技術)を活用して映像制作をクラウド化し、撮影から制作、編集、配信までをシームレスに行うことを定義した概念「Broadcast as a Service」を実現するもの。ソフトバンクのデータセンターにある映像制作システムに、パナソニックの新IT/IPプラットフォーム「Kairos(ケイロス)」を導入して、パナソニックの放送用ネットワークカメラを活用し、撮影現場とデータセンターをIPネットワークで接続することで、撮影から編集までの工程をIPで実現している。

これにより、事前収録した映像素材やライブ映像をソフトバンクのクラウドサーバーにアップロードすることで、別の場所から遠隔操作・映像編集を行うといった分散型のリモートワークフローを実現して、従来よりも効率的に映像制作を進めることが可能になるという。制作現場の働き方改革を実現し、放送局や映像制作会社のコスト削減にもつながるとしている。

また両社は、共同実証として、制作会社に同システムを提供して、事前収録から制作・編集までをクラウド上で行った番組が、2020年12月18日から地上デジタル放送で順次放送した。

  • 共同検証イメージ

具体的には、パナソニック製放送用ネットワークカメラ(AG-CX350)で事前収録し、収録した映像データをファイル化し、データセンターへアップロード。遠隔地からアップロードした映像データにアクセスし、事前に編集。収録当日は、スタジオにて4台のカメラで撮影した映像を、ストリーミングでデータセンターへ入力し、事前収録映像と併せて、遠隔地のサブスタジオから映像をスイッチング。その後、遠隔地から収録した映像データにアクセスして編集し番組用映像データを作成した。

  • 共同検証写真。左から撮影スタジオ、リモートサブスタジオ、データセンター、Kairos(データセンター内)