音声通話サービスが通信キャリアの独擅場だったのは昔の話、いまやSNSサービス/アプリの付属機能として無償提供される時代です。Facebookの「メッセンジャー」やLINEの「LINE通話」など、通信キャリアの「電話」より使う機会が多いという人もいるはずです。

Appleが提供する「FaceTime Audio」も、音声通話サービスの一種。こちらはSNSではなくクラウドサービス「iCloud」の関連機能という位置付けで、通話相手はApple IDを持つユーザに限定されますが、Appleが運営しているだけあってiPhoneユーザに優しい仕様です。Appleが運営するAppleユーザのためのサービスですから、そこは納得ですね。

機能面でいえば、「音質」はなかなかのものです。FaceTime Audioは音声コーデック(音声のデータ量を圧縮/展開するプログラム)に高効率な「AAC-HE」を採用しており、回線品質が良好なときの音質はクリアで互いの声をはっきり聞き取れます。しかし、メッセンジャー(コーデックにOpus適用時)やLINE(Full HD Voice適用時)もクリアな音声で通話できますから、音質をもって他のサービスより優れているとはいえません。

かつてはiPhone標準の着信画面を使えることがFaceTime Audioの優位性とされていましたが、iOS 10以降はCallKitフレームワークがサードパーティーに開放され、LINEやメッセンジャーでもほぼ同じ使いかたが可能になりました。この点についても、FaceTime Audioならではとはいえません。

FaceTime Audioならではという部分では、通信量を正確に測定できることでしょうか。通話履歴の詳細画面を表示すると、通話時間が◯分△秒、その通信量が□メガバイトなどという情報を確認できるので、実際の通話に要した費用(通信キャリアに支払うパケット代)がわかります。利点の大きい機能というには微妙ですが、現時点で他にない機能なことは確かです。

  • FaceTime Audioならではの機能とは