米GoogleがAppleのM1チップ (Apple Silicon)にネイティブ対応したMac用の「Chrome 87」をリリースした。同社は現段階でユニバーサルアプリケーションに統一せず、Intelチップ搭載Mac用の配信も継続しており、その提供方法を巡る議論がMacユーザーの間で広がっている。

これまでIntelチップ (x86_64)搭載Mac用のChromeは、M1チップ搭載Macでは「Rosetta 2」によるエミュレーションで動作していた。エミュレーションでも実用的に動作することが様々なレビューで認められているが、M1ネイティブの動作に比べるとRosetta 2による変換で少なからずパフォーマンスが削がれる。M1にネイティブ対応するChromeは、M1チップ搭載Macのハードウェア性能を損なうことなく動作する。

  • Mac用Chorme 87、ダウンロードの選択画面

    Intelチップ搭載Mac用とM1チップ搭載Mac用のダウンロードを選択する画面、「Intelプロセッサ搭載のMac」に「最も一般的」と説明

Chromeの公式サイトからMac用Chromeをダウンロードしようとすると、「Appleプロセッサ搭載のMac」(ユニバーサルアプリケーション)と「Intelプロセッサ搭載のMac」(x86_64)の2バージョンのどちらかを選択する画面が現れる。

Appleは、IntelプロセッサからApple Siliconにスムースに移行できるように「ユニバーサルアプリケーション」を用意している。Intelチップ向けとM1チップ向けの両方のネイティブコードを含み、導入するMacに合わせて適切なバージョンを自動的にインストールする。ユーザーが使用しているMacの搭載プロセッサの違いを意識することなく、ネイティブ動作するアプリケーションを利用できるようになる。

Googleの配布方法は、ユーザーにIntelチップ用とM1チップ用を選ばせるため、ダウンロードの段階でMacが搭載するプロセッサをユーザーが把握しておく必要がある。M1チップ搭載Mac用はユニバーサルだが、Intelチップ搭載Mac用のChromeをM1チップ搭載Macのユーザーが間違ってインストールするとRosetta 2のエミュレーション動作になる。

Googleがユニバーサルアプリケーションに統一しなかった理由は、ユニバーサルアプリケーションにするとサイズが70%以上も大きくなるためだ。Chrome 87のIntelチップ用のディスクイメージは約100MB、ユニバーサルアプリケーションであるM1チップ用は約172MBだ。M1チップ搭載Macが登場し始めたばかりの今はまだ、ほとんどのMacユーザーがIntelチップ搭載Macを使用しており、ユーザーがダウンロードの負担を軽減できる方法を用意した。しかし、Macユーザーの間からはユニバーサルアプリケーションによるスムースな移行を阻害しているという指摘も。Appleウオッチャーとして知られるJohn Gruber氏は「問題は、Chromeが (ブラウザとして)肥大すぎること。全ての人にユニバーサルバイナリーで提供するべきであり、Chromeのフットプリントの縮小に努めるべきだ」としている。