米NVIDIAは11月19日 (現地時間)、クラウドゲーミングサービス「GeForce NOW」をSafariブラウザを通じて遊ぶiOS向けベータの提供を北米および欧州で開始した。正式サービスが登場したら、ゲーミングPCを必要とするようなゲームをiPhoneやiPadでプレイできるようになり、iOS版がApp Storeから排除された人気バトルロイヤルゲーム「Fortnite」をiOSユーザーが再び遊べるようになる可能性も広がる。
クラウドゲーミングは、ゲームのデータ処理をクラウド側のサーバーで実行して端末にストリーミング配信する。GeForce NOWは「GeForce NOW」アプリを通じて、Windows、Mac、NVIDIA Shield、Androidをサポートしているが、App Storeのサービス規約の制限によってiOSデバイス向けにはアプリを提供していない。これはNVIDIAだけではなく、Microsoft (xCloud)やGoogle (Stadia)も同様の理由でiOSを非サポートとしている。ソリューションとなるのが、Webアプリとしてブラウザを通じて提供することであり、App Storeの審査を受けずにサービスを提供可能であることをAppleも認めている。
iOS向けベータサービスの利用要件は、iPhoneがiOS 14.2以降、iPadがiPadOS 14以降。そしてゲームパッドが必要になる。キーボード/マウスを使ってゲームメニューのナビゲーションや文字入力などは行えるが、ハードウェアサポートの制限でゲームのフル体験をキーボード/マウスでは利用できない。つまり、キーボード/マウスでしか操作できないゲームは現時点でiOSではサポート外になる。
GeForce NOWでは無料で遊べるゲームも配信されており、「Fortnite」もその1つだ。今年8月に、EpicがApp Storeの収益配分モデルや課金システムに異議を唱えてAppleと対立し、App StoreからFortniteが削除された。Fortniteは主にゲーム機やPCで遊ばれていると思われたが、EpicとAppleの裁判における資料によると、1億1600万人がiOSでプレイし、その内の7300万人はiOSのみで遊んでいた。タッチ操作を使ってモバイルデバイスで遊びたいという要望は強く、EpicとNVIDIAは協力してタッチ操作で遊びやすいFortniteバージョンの開発を進めている。「GeForce NOWによるクラウドストリーミング版Fortniteをモバイルで体験してもらうのを楽しみにしている」としており、iOSで遊ぶFortniteの復活に本気で取り組んでいるのがうかがえる。
ブラウザを通じたGeForce NOWは、8月にChromebook向けのベータ提供を開始しており、Chromebookを通じた利用が10%を超えているという。ChromeについてもChromebookだけではなく、2021年前半に広くChromeプラットフォーム (Windwos、Mac、Linux、Android)にサポートを拡大する計画だ。