Googleは11月17日(米国時間)、Webブラウザ「Google Chrome」の最新版となる「Chrome M87」をリリースした。Chronium Blogのエントリ「Chromium Blog: Tab throttling and more performance improvements in Chrome M87」では、Chrome M87における主な改善点が紹介されている。具体的には、Chrome M87では、タブスロットリングやオクルージョントラッキング、バック/フォワードキャッシュといった技術が搭載されたことで、起動の高速化やWebページの読み込み時間の短縮、バッテリー消費量の削減などが実現されている。

  • Google Chrome M87(v87.0.4280.66)

    Google Chrome M87(v87.0.4280.66)

タブスロットリングとは、現在アクティブでないタブ(バックグラウンドタブ)においてJavaScriptタイマーのウェイクアップを1分に1回までに制限することによって、CPUリソースの消費量を抑えるというもの。Google内部のテストでは、タブスロットリングによって、音楽の再生や通知の受信などといった機能を損なうことなく、CPU使用率を最大5分の1に削減し、バッテリー寿命が最大1.25時間延長されたとのこと。

オクルージョントラッキングは、ウィンドウの重なりを検出する技術である。この技術によって、他のウィンドウの後ろに隠れて実際には表示されていないタブを検出し、リソース消費を最適化することができる。オクルージョントラッキングは、Chrome OS版とmanOS版のChromeには既に搭載されていたが、M87からがWindows版にも搭載され、Chromeの起動が最大25%、Webページの読み込みが最大7%高速になったという。

タブスロットリングとオクルージョントラッキングは実験的に搭載されたものであり、次期バージョンのM88にかけて徐々に展開されていくとのことだ。

バック/フォワードキャッシュは、[戻る]ボタンや[進む]ボタンで移動する先のページをキャッシュしておくことよって、ページを移動した際の表示速度を向上させる技術になる。[戻る]/[進む]ボタンによる移動は、モバイルデバイスにおけるWebブラウジングでは頻繁に利用されることから、バック/フォワードキャッシュはまずAndroid版のChromeから段階的にロールアウトされるという。

そのほかM87では、アドレスバーから直接さまざまなアクションが実行できるように拡張されており、例えば履歴の削除やキャッシュのクリア、パスワードの編集などが、アドレスバーにキーワードを入力することで実行できるようになっている。この機能はChromeアクションと呼ばれ、詳細は次のページで解説されている。

Chrome M87のリリースは、2020年で最後のメジャーアップデートになる。自動更新が有効になっている場合は起動時に自動的にアップデートが実施されるが、設定画面から手動でアップデートすることもできる。