かつては飛ぶ鳥を落とす勢いだったクラウドメモアプリ「Evernote」だが、近年はプランの制限も増え、不自由さを感じることも少なくない。9月には大規模なリニューアルも行われるなど、サービスとしてはまだまだ活発だが、動作が重いことに変わりはなく、別サービスへの移行を考えているユーザも多いと見られる。
今回はそんなEvernoteの受け皿となるノートサービス3つについて、Evernoteからの移行の方法、およびChromeを例とした、専用ウェブクリップツールの使用感について紹介する。本格的な移行ではなく、ひとまずは併用を前提にツールを探している人にも、参考になれば幸いだ。
OneNote
「OneNote」は、Microsoft社の多機能ノートアプリ。Officeファミリーのひとつゆえ、Officeを契約していればすでに利用可能な状態にある人も多いはずだ。
Evernoteからの移行には専用インポートツール「OneNote Importer」を用い、Evernoteから出力した.enexファイルを取り込む形で行う。クラウドからの直接インポートには対応しないが、enexファイルをノートブック単位で出力しておけば、特定のノートブックだけをインポートすることも可能だ。ただしインポートツールはすでに開発が終了しており、サポートされない点には不安が残る。
ウェブページのクリップには「OneNote Web Clipper」を使用する。取り込み範囲はページ全体、領域、記事など選択できるほか、取り込みを実行前にプレビューが表示されるのは便利だ。なお(同社の他のツールにもよく見られるが)インポートはできてもエクスポート機能がない点は、利用にあたって注意しておきたいところ。
Notion
「Notion」は、タスク管理からデータベースまで何でもござれで人気急上昇中の新興アプリ。自由度が高すぎることが災いしてのとっつきにくさは、ある意味でEvernoteとよく似ている。
Evernoteからの移行は、クラウドからの直接インポートにのみ対応。特定のノートブックだけを選択できるので、まずは一部だけを取り込んで様子を見たり、また不要なノートブックを移行の過程で省くのも容易だ。テキスト中心の設計とはいえ、ウェブサービスとは思えないほど軽快で、Evernoteを使ってきたユーザにとっては驚かされる。
ウェブページのクリップには「Notion Web Clipper」を使用する。テキストを中心とした取り込みに限定されるので、画像を含めてページフォーマットそのまま取り込みたいというニーズには不向き。一方で、インポートだけでなくエクスポートも可能なのは利点だ。ネックがあるとすれば、チュートリアルも含めて日本語には非対応で、英語での利用になることだろうか。
Note Station
「Note Station」は、Synology社のNASで利用できるノートアプリ。NAS上で動作する仕様ゆえ基本的にローカルでの利用となるが、ブラウザ経由でアクセスするので、使用感自体は一般的なウェブサービスと変わらない。
Evernoteからのインポートは、ローカルの.enexファイルをインポートする方法のほか、クラウドからの直接インポートにも対応する。後者は特定のノートブックだけを選択できるので、移行したいものだけを順次インポートし、そうでないものは省くことも可能だ。Evernoteのデータが多いと書き出しの段階でエラーが出ることがあるので、どちらの方法にも対応するのは、万が一の場合にも心強い。
ウェブページのクリップには「Synology Web Clipper」を使用する。簡略化コンテンツ、フルコンテンツ、ページ全体のスクリーンショットを選択できるなど操作性はEvernoteに酷似しており、タグやコメントも追加できる。ただし複雑なレイアウトの取り込みはあまり得意ではなく、画像が抜け落ちることもあるので、完了後のプレビュー表示は欠かさないようにしたい。