シャープは10月26日、70V型8Kタッチディスプレイを使った「8Kインタラクティブミュージアム」が、国立工芸館(石川・金沢市)に「デジタル鑑賞システム」として採用されたと発表した。
8Kインタラクティブミュージアムは、間近で見たり、直接手に取ったりすることが難しい貴重な美術品や工芸品などの高精細画像を、8Kの超高精細ディスプレイで体感できるシステム。タッチ操作が可能で、見たい部分を自在に拡大・縮小・回転しながら鑑賞できる。
国立工芸館に導入したデジタル鑑賞システムでは、同館所蔵作品の川喜田半泥子(かわきたはんでいし)作の「志野茶碗 赤不動」(1949年)の高精細画像を鑑賞できる。茶碗の白色と緋色のコントラストや高台(器が台に接する脚にあたる部分)の造形、金継ぎ(割れや欠けなどの破損部分を漆で補修し、金粉などで仕上げる修復技法)の細工まで、拡大して鑑賞できるという。
また、作品全体の紹介文に加えて、特徴的な技巧が施された部分には「見どころマーカー」を表示。鑑賞ポイントを分かりやすく解説し、工芸の専門知識がなくても作品の魅力を深く味わえるという。日本語のほか、英語や中国語簡体字・繁体字、韓国語の多言語表示にも対応している。
国立工芸館は国立で唯一、工芸を専門とする美術館。従来の東京国立近代美術館工芸館を石川県に移転し、2020年10月25日に開館した。住所は石川県金沢市出羽町3-2。
なお、実在の工芸品をシャープの8Kで体験できる同様の試みとして、2020年7月から8月にかけ、8Kインタラクティブミュージアムをベースとしたシステムの実証実験「8Kで文化財『ふれる・まわせる名茶碗』が、シャープと文化財活用センター、東京国立博物館によって実施されていた(レポート記事はこちら)。