Canonicalは10月22日(米国時間)、Ubuntu Blogの記事「Ubuntu 20.10 on Raspberry Pi delivers the full Linux desktop and micro clouds|Ubuntu」において、LinuxディストリビューションであるUbuntuの最新版となる「Ubuntu 20.10」をリリースしたことを伝えた。Ubuntu 20.10には、デスクトップ環境に最適化されたRasberry Pi用イメージが含まれているほか、マイクロクラウドの各種ツールやインフラストラクチャが含まれている。
ARMプロセッサを搭載したシングルボードコンピュータであるRasberry Piは、今では研究や教育分野だけでなく、IoTをはじめとするビジネス基盤としても幅広く活用されている。Ubuntu 20.10では、このRasberry Pi上で完全なデスクトップ環境を利用できるようになった。Ubuntu Blogによれば、4GBまたは8GBのRAMを搭載したモデルのRasberry Piにおいて、完全なUbuntuデスクトップを使うことができるという。Rasberry Pi財団によって提供される公式のRasberry Piの中では、2019年にリリースされたRasberry PI 4 Model Bの一部の機種がこれに該当する。
Rasberry Pi上のデスクトップ環境のサポートに加えて、Ubuntu 20.10ではマイクロクラウド環境のサポートも追加されている。マイクロクラウドは、エッジ環境におけるオンデマンドコンピューティングを実現するための新しいクラウドインフラで、分散された小型のコンピューティングデバイスを組み合わせることで、あらゆる規模にスケール可能な復原力のあるクラウド環境を構築できるという。Ubuntu 20.10では、デプロイツールのMAASやコンテナマネージャのLXD、軽量版KubernetesのMicroK8s、分散ストレージのCephなどを組み合わせることで、マイクロクラウドスタックの構築を可能にしている。
Ubuntu 20.10は2020年4月にリリースされた「Ubuntu 20.04 LTS」に続く最新版に当たるが、LTS(Long Term Suppoer: 長期サポート)版ではないため、サポート期間は2021年7月まで(予定)となる。もし20.10を導入した場合は、次のLTSである「22.04 LTS」までは継続して最新版へのアップグレードを行っていくことになるため、本番環境への適用は慎重に検討する必要があるだろ