地域性を生かした学習にiPadを活用する鎌倉市

古都鎌倉として全国的に知名度の高い神奈川県鎌倉市も、今年度中に1人1台のiPadの導入を決めた自治体です。トータルの導入台数は12,000台にのぼります。

鎌倉市はICT教育の推進を早くから進めており、数年前にはWindowsタブレットを市内の小学校に導入していました。ただ、起動に時間がかかったり、アプリの導入に手間がかかるなどの不満が教育委員会に寄せられており、2016年の機材更新のタイミングで機種の検討をすることになったそう。

当時は「教育現場で使うならWindowsしか考えられない」という雰囲気があったものの、使いやすさや創造性を支援するアプリが豊富にそろっていることなどを評価し、iPadへのリプレイスを決定。市内の小中学校に各40台のiPadを試験的に導入することになりました。

導入したのは第7世代iPadのセルラーモデル。鎌倉には多くの神社仏閣があるだけでなく豊かな自然もあり、地域性を生かした校外学習をする際にiPadを持って行って使えるメリットを評価したからです。さらに、セルラーモデルはGPSも搭載しており、生徒が外に出たときの安全確認ができることや、万が一紛失した際に位置情報を把握して取り戻せる可能性が高まるメリットも見込んで決定したそうです。

現時点では、家庭へのiPadの持ち帰りは認めておらず、あくまで学校内での活用にとどめているそう。しかし、将来的には家庭でも使えるようにしたいと考え、学校側と運用の方法を検討しているといいます。

授業の一環で、簡単にビデオクリップが作成できるアップル純正アプリ「Clips」を用いて自己紹介ビデオを作成する課題を実施した時のこと。ほとんどの子どもが初めてClipsを触ったのにもかかわらず、誰もがスイスイ使いこなして45分の授業時間で見事に仕上げたそう。「Windowsではこうはいかない」と驚いたといいます。

Clips以外にも、iPadの内蔵カメラを利用した活用を多く進めています。iMovieを用いた本格的な動画編集にも取り組んでおり、鎌倉市の魅力をまとめた動画を作成して発信したり、映画の制作に挑戦するクラスもあるそう。さらに、手先の細かい動きをとらえるために、スローモーション動画も活用しているといいます。

導入を決定した12,000台のiPadは今年度中に各校に配布する予定で、試験的に導入していたiPadは教職員用としてスライドさせるそう。担当者は「すべての子どもが同じ端末を使っている、というのは大きなメリット。他者との共同的な学びにおいてもiPadは活躍してくれると感じている」と期待を寄せていました。

第8世代iPadはWindowsやChromebookを脅かす存在に

iPadを選ぶ自治体が増えつつあるGIGAスクール構想ですが、先日開かれたアップルのイベントでお目見えした第8世代iPadの登場で、iPadへのシフトがさらに大きく進みそうです。

  • すでに販売が始まった第8世代iPad。アップルストアでの価格は、32GBのWi-Fiモデルが税別34,800円、32GBのWi-Fi+Cellularモデルが税別49,800円と、第7世代から据え置かれた

第8世代iPadは、Neural Engineを搭載したA12 Bionicチップを新たに採用しており、これまでのiPadでは対応できなかった機械学習を利用した高度な処理が可能になります。例えば、AR(拡張現実)で表示した物体の前や背後に人間を違和感なく表示したり、複雑な動きを捉えるモーショントラッキングに対応したり、手書き文字を正確かつ素早く認識したり、動画や写真の編集で不要な部分をワンタッチで自然に切り抜いたり…と、その恩恵はさまざま。WindowsやChromebookでは得られない体験だけにiPadの優位性が大きく高まり、iPadの導入を検討する自治体が増えることになりそうです。

高性能化を図りつつ価格は第7世代iPadから据え置かれたことから、GIGAスクールの対応製品が第8世代iPadに置き換わるのは間違いありません。これから全国の学校に続々とやってくるiPadがどのような新しい学びや体験をもたらすか、ぜひ注目したいと思います。