細長いシールに名前などを印刷する「ラベルプリンター(ラベルライター)」。現在は各社からさまざまな製品が発売されていますが、有名なのはキングジムの「テプラ」シリーズでしょう。そのテプラシリーズに、新製品「テプラ PRO “MARK” SR-MK1」(以下、MARK)が加わります。
発売日は10月1日で、価格は15,000円(税別)。この新製品、家庭用のテプラPROシリーズとしては、初めてのスマートフォン専用モデルとなります。今回、実機を試用する機会があったので、オンライン発表会の様子とともにレビューをお伝えします。
コンパクトでコードレスだから使いやすい
キングジムは2019年に、家庭用としては同社初となるスマートフォン専用の「テプラ Lite LR30」を発売しています。ただし、このLiteで利用するのは感熱式タイプのテープなので、テープの種類や素材がどうしても限られていました。
一方、今回の新モデル「MARK」は、熱転写式テープの「PROテープカートリッジ」が使えます。透明、メタリック、和紙など、さまざまな質感のテープに対応。さらに、マグネットテープやアイロン転写、屋外に強いテープといったように、とにかくテープの種類が豊富です。MARKは、このPROカートリッジが利用できる家庭用のテプラとしては、初のスマートフォン専用タイプになります。
スマートフォン専用になって、一番変わったのは本体デザインです。従来まではテプラ本体で文字を打ち込む必要があったため、キーボードと液晶画面が一体型になっていましたが、MARKはこれらがバッサリとなくなったシンプルな四角い箱形の形状。大きさは約幅55×奥行133×高さ146mm、重さは約470gと、軽量コンパクトです。
豊富なテンプレートでデザインが苦手でもオシャレに
スマートフォンとはBluetoothで接続。スマホ用の「Hello」アプリを使って、ラベルの作成・編集・印刷を実行します。Helloアプリの対応環境は、iOS 12.0以降、Android 7.0以降です。MARKでイチバンの特徴ともいえるのが、このHelloアプリ。
今回、新製品オンライン発表会の冒頭でキングジム 常務取締役 開発本部長の亀田登信氏が登壇し、テプラの問題点について語りました。「テプラを貼ると、なんでも少しダサくなる」問題です。これには「センスのないデザインのラベル」という前提があるのですが、確かに、街なかに意外とあふれる手作りラベルを見るとダサいと感じます。しかも、ベタベタと説明や注意を貼りまくることで、結局のところ何を伝えたいかわからなくなることも。
きれいなラベルを作るのが苦手な人がデザインすると、手作りラベルのダサい・わかりにくい問題が起こります。いままでのテプラは、文字やフォント、文字の大きさ、イラストの配置などをすべて自分で編集する必要があったゆえの悲劇ともいえます。
そこで、MARK用の新しいHelloアプリでは、使用シーンを想定したイメージ画像をタイル表示。これらの使用シーンからテンプレートを選べるようになりました。使いたいシーンに合いそうなデザインを選び、あとは文字編集するだけで、誰でも見栄えのよいラベルが作れます。
もちろん、従来のように最初からすべて自分でデザインしてもOK。任意の文字列にスタンプ、QRコード、写真を配置できます。ちなみに、MARKは印刷解像度が360dpiとなかなか高精細。お店のロゴやイラストなども美しく印刷できまます。
【動画】スマホからの印刷操作
試用では、文字サイズやイラストなどを自分で選択する「こだわり作成」で印刷しました。MARKにはこのほか、テキストを入力するだけで即印刷できる「クイック作成」と、複数のラベルを一括で編集・印刷できる「一括作成」という印刷モードもあります。一括作成は「シャンプー」「リンス」「コンディショナー」など、統一したデザインで名称の異なる複数のラベルを作りたいときにとても便利です。
このほか、スマートフォン専用機であるMARKならではの機能もあります。それが「タイムラベル」。ラベルに特定の日時や曜日を紐づけて、アラームで知らせるという機能です。たとえば、ゴミ箱に張り付ける「燃えるゴミ」というラベルにゴミを出す曜日を設定するといった使い方が考えられます。
新製品を使ってみて
今回の注目ポイントであるテンプレートはさすがプロのデザイン。無地のボトルを購入して、テンプレートのラベルを貼るだけで、一気に高級感を演出してくれます。インテリアに無印良品や100円ショップなどヘビーに利用している人には、特におススメしたいところ。
個人的には、テプラは試行錯誤して自分好みのラベルをデザインしたい派。新テプラはそういったユーザーにとっても魅力的な製品です。なにせ、スマートフォン(Helloアプリ)での編集がとにかくラク! 従来までのキーボードタイプだと難しかった微妙な位置調整や大きさ調整も直感的に行えます。しかも、自分で描いたイラストや写真も取り込めるので、とにかくデザインの幅が広がりました。