米Qualcommは9月3日(現地時間)、モバイルノートPC向けのSoC「Snapdragon 8cx Gen 2 5G compute platform」を発表した。効率性やバッテリー寿命の向上、Wi-FiとBluetoothの強化で、より優れたデバイス体験を可能にする。IFA 2020での発表には、AcerのJerry Kao氏(共同COO)が登場し、8cx Gen 2 5Gを搭載した「Acer Spin 7」を年内に発売する見通しを明らかにした。
Qualcommは、常時電源オン、常時接続を前提としたモダンなモバイルノートPC向けのSoCとして2018年12月に「Snapdragon 8cx」を発表。薄型軽量で長いバッテリー動作時間を実現する優れたモバイル性からパソコンでもARMベースのSoCを採用するメーカーが増えており、5G需要が期待される2020年ホリデーシーズンに向けて8cxを強化した。同社が示したアナリストの予測によると、新型コロナ禍後もオフィスワーカーの半数が完全リモートまたは一部リモートで働き、2020年末にはエンタープライズの全てのワークロードの83%がクラウドで発生するようになる。
8cx Gen 2 5Gは、CPUが8cxと同じ7nmプロセスのKryo 495 (オクタコア)。メモリーはLPDDR4x (8チャネル、最大2133MHz)。AIエンジンとして第4世代の「Hexagon 690」を統合する。5G通信に「Snapdragon X55 Modem-RF System」、4Gモデムにカテゴリー20対応の「Snapdragon X24 LTE modemn」をサポート。新たに802.11ax (Wi-Fi 6)とBluetooth 5.1に対応した。
Qualcommによると、7W TDP(熱設計電力)の8cx Gen 2 5Gは、最大で25時間を超える長いバッテリー動作時間を可能にする。8cx Gen 2 5GのリファレンスノートPCは、15W TDPの第10世代Intel Core i5搭載PCに比べて、トータルシステム性能が最大18%、1Wあたりのプロダクティビティ性能が同39%上回る。同じ7W TDPのIntel Core i5-L16G7(Lakefield)搭載機との比較だと、トータルシステム性能が最大51%、1Wあたりのプロダクティビティ性能が同58%上回るとアピールしている。システムのトータル性能と共にAIアクセラレーションも向上し、Qualcomm Aqsticのエコーキャンセレーションとノイズ抑圧(ECNS)をインテリジェントに機能させるオーディオ、音声ユーザーインターフェイス、コンピュータビジョン、セキュリティなど、幅広いデバイス体験にその恩恵は広がる。