米Western Digitalは公式ブログ上で、NAS向けHDD「WD RED」シリーズに採用されているプラッタの書き込み方式について情報を公開している。これまでは記憶容量でCMR採用機種とSMR採用機種を見分けられたが、現在はWD REDシリーズ内に書き込み方式の異なる「WD RED」「WD RED PLUS」「WD RED PRO」が同じ容量でラインナップされており、識別には型番の確認が必要になっている。
「WD RED」シリーズはNAS向けの高耐久なHDDで、継続的な書き込みなどハードなワークロードに耐えることが可能な製品群。これが現在では同シリーズ内で用途によって書き込み方式が分かれており、シリーズ名にPLUSやPROといった単語が付される複雑な状態となっている。
「Now More Choices for Customers(顧客にとって選択肢が増えました)」と題されたブログ記事で、同社はSOHO(Small Office/Home Office)向けに「WD RED」、ZFSファイルシステムや中規模事業向けに「WD PLUS」、大規模事業向けに「WD RED PRO」を推奨している。シリーズ名とプラッタ書き込み方式、型番と容量の組み合わせは下記の通り。
WD RED(DMSMR)
- WD20EFAX(2TB)
- WD30EFAX(3TB)
- WD40EFAX(4TB)
- WD60EFAX(6TB)
WD RED PLUS(CMR)
- WD1-10EFRX(1TB)
- WD1-20EFRX(2TB)
- WD1-30EFRX(3TB)
- WD1-40EFRX(4TB)
- WD1-60EFRX(6TB)
- WD1-80EFRX(8TB)
- WD101EFAX(10TB)
- WD120EFAX(12TB)
- WD140EFAX(14TB)
WD RED PRO(CMR)
- WD2002FFSX(2TB)
- WD4003FFBX(4TB)
- WD6003FFBX(6TB)
- WD8003FFBX(8TB)
- WD101KFBX(10TB)
- WD102KFBX(10TB)
- WD121KFBX(12TB)
- WD141KFGX(14TB)
このように、同じ容量のWD RED製品の中でプラッタの書き込み方式が異なっている。製品ページを確認するとWD RED PLUSはWD REDシリーズに含まれているようで、WD RED PROのように独立した製品ページを持っていない。
HDDの書き込み方式にはCMR(Conventional Magnetic Recording,従来型磁気記録方式)とSMR(Shingled Magnetic Recording,シングル磁気記録方式)があり、Western DigitalのSMR採用機種は、接続先のホストではなくドライブ自身がデータの書き込みを制御するDMSMR(Device-Managed Shingled Magnetic Recording)を採用している。
一般的にCMRは長時間のシーケンシャルアクセスなどの高負荷に強く、SMR(DMSRM)は中でもランダムアクセスに弱いとされている。これはSMRの場合、ドライブ内で内部データ管理タスクを実行する必要があり、長時間に渡ってアクセスが行われるとアイドル時間が不足し、著しくパフォーマンスが低下することがあるためだ。
同社はブログ上で、一般的なNASキットでRAIDを構築する用途などでは問題なく使用できても、エンタープライズ向けファイルシステム「ZFS」などの高負荷な環境では、DMSMR採用機種でパフォーマンスに影響することがあるとしており、そういった場合にはPLUSやPROシリーズのWD RED製品を用いるよう推奨している。