字を書くのが苦手なジャイアン鈴木です。筆記用具自体は道具として好きで、万年筆なども何本か持っているのですが、かつて書道を習っていたとは思えないほど字が汚いのです。だからできるだけ、人様の目に触れるものには字を書きたくないと日々考えています。

そんなワタシにとって福音的な存在が、昨今増えてきたハンディプリンター。これならデータを入力するだけで、印字した(ような)キレイな字が量産できるというワケです。今回、インクカートリッジ式ながら92gと超小型なペン型ハンディプリンター「Selpic P1」が、Indiegogoでクラウドファンディングを開始したので早速試してみました。

  • Selpic P1。Indiegogoの支援価格は99ドル・約10,600円から(50%の早割時)とややお高め

    「Selpic P1」。Indiegogoの支援価格は99ドル・約10,600円から(50%の早割時)とややお高め

カロリーメイトを長くしたぐらいのサイズのペン型プリンター

Selpic P1のサイズは130×31×24mm、重量は92g。身の回りにあるものと比較すると、カロリーメイトを長くしたぐらい……というとイメージしやすいでしょうか。いずれにしてもペンケースなどに十分入る小型サイズです。

  • 一般的なペン4本ぶんぐらいの太さですが、文字を書くのではなく、スライドさせてプリントするので、特に操作性に問題はありません

デザインは非常にシンプル。左側面に電源ボタンと充電端子(USB Type-C)、右側面にプリントボタンとカートリッジロックが配置されています。未使用時には先端のインクヘッド部にカバーを装着します。なお、カラーは今回試したホワイトのほか、ブラックが用意されます。

  • 左から、正面、背面、右側面、左側面。電源ボタンはパワーインジケーターも兼ねています

  • パッケージには、本体、ヘッドカバー、インクカートリッジ(赤)、充電用ケーブル、説明書類(クイックスタートガイド、SAFETY NOTES、アプリのQRコード、WARRANTY CARD)、アルコールコットンが入っています ※製品出荷時、インクカートリッジは保管袋に収納されています

プリント方式はインクジェット。プリントヘッドとカートリッジは一体化されており、6色のインクカートリッジ(水性インク)が用意されています。解像度は600dpiで、ひとつのインクカートリッジで最大90枚のA4用紙に印刷が可能とされています。また、1回の充電で3.5連続時間使用できます。

  • インクカートリッジにもカバーが用意されており、長期間使わないときはカバーの装着が推奨されています

  • 右側面のカートリッジロックを押せば、インクカートリッジはスムーズに取り外し可能です

  • プリントヘッドには300個のノズルが配置されています

スマホを2.4GHz帯Wi-Fiに接続してセットアップ

アプリはiOS用、Android用が用意されていますが、今回はiPhoneで試してみました。セットアップは数分で終わりますが、Selpic P1は2.4GHz帯のWi-Fi経由でスマートフォンと通信するので、事前にスマートフォンを2.4GHz帯のWi-Fiネットワークに接続しておく必要があります。5GHz帯に接続しているとセットアップできない点にご注意ください。なお、Wi-Fi環境がない場合は、スマートフォンのホットスポット機能を利用します。

  • まずは「Selpic handy printer」アプリをインストールします

  • メールアドレスの入力が必要ですが、パスワードの設定は不要です

  • 以降、プリンターの機種の選択、Bluetoothの使用許可、デバイスの選択、Wi-Fiパスワードの入力と進み「配布成功」の画面が表示されたらセットアップ完了です

写真、画像、QRコードを組み合わせてプリント

さて、Selpic P1は、テキスト、画像、QRコード、バーコードを組み合わせて出力可能です。今回は、筆者の顔写真、ペンネーム、TwitterアカウントのQRコードを組み合わせたプリントデータを作成、実際に印刷する過程をご覧いただきましょう。Selpic P1の大まかな使い方がわかると思います。

  • これが初期画面です。右側の青地のアイコンは「テキスト入力」、「画像入力」、「QRコード生成」、「バーコード生成」、「削除」、「全削除」、「プリンターに送信」、左側の白地のアイコンは「各種調整」、「編集」、「濃度設定」……の順番に並んでいます

  • 「画像入力」から「カメラ」を選択して撮影すれば、その場で撮影した写真から輪郭を抽出した画像が生成されます

  • テキスト入力後、フォントを変更したり、「各種調整」画面でサイズ、コピー、削除、左右反転、上下反転、縦組み、階調反転、字間調整などを設定可能です

  • QRコード、バーコードはアプリ内で生成可能です。バーコード生成アプリに切り替える必要はありません。今回は筆者のTwitterアカウントのURL(https://twitter.com/giansuzuki)を生成しました

  • プリントデータが作成されたら、右端のプリンター型アイコン(プリンターに送信)をタップすれば、Selpic P1にデータが送信されます。今回のデータの場合は約7秒で転送されました

  • 最後にSelpic P1のプリントボタンを押して、パワーインジケーターが緑色に点滅している間に印刷面をすべらせれば、このようにプリント可能です

  • プリントヘッドには斜めの角度が付いています。ローラーの回転に合わせて、プリントヘッドからインクが射出されるわけです

品質は必要十分、印刷面を選ばない点がグッド!

印刷品質は満足できるレベルです。プリントヘッドの奥行きは12.7 mmですが、そのなかでもかなり細かなイラストや写真を表現可能です。QRコードもまったく問題なく読み取れました。ただし、真っ直ぐSelpic P1を動かすのが少し難しいですね。あまり速く動かしすぎると印刷がかすれてしまうので、正確に印字したいのであれば、定規など補助的な道具を用意しましょう。

ペン型プリンターならではのメリットとしては、印刷面を選ばない点が挙げられます。布、紙、木、革などの多孔質面であれば、どんなに厚くても、曲面を描いていても印刷可能です。今回は封筒とサージカルマスクに印刷してみましたが、アイデア次第でさまざまな用途に活用できそうです。いろんなアイテムを見栄えのいいテキスト、画像、QRコードなどで飾りたいという方に、Selpic P1はピッタリのアイテムと言えます。

  • 真っ直ぐ印字するのがなかなか難しいですが、クオリティーは満足できるレベルです

  • 封筒に中身を入れて厚くなっても、あとから自分の住所をプリント可能です

  • サージカルマスクにも問題なくプリントできました。特ににじみなども見当たりません ※マスクの材質によって結果が異なる可能性があります。また、インクジェット式のため水洗いには非対応と思われます