大型テレビで楽しんでほしい、広大なフィールドの美しさ

シュルクたちはコロニー9を旅立ってから、多くの土地を旅することになる。青い空と緑の大地が続く「ガウル平原」は本作の最も有名なフィールドだ。シュルクやラインのレベルが二ケタにようやく達したばかりなのに、レベル70~90などハチャメチャに強いモンスターが我が物顔で草原をのしのし歩いていたりと、ホムスにとって脅威となるモンスターが数多く棲息しており、序盤から気が抜けないエリアでもある。

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    青い空と緑の大地が続く「ガウル平原」を見下ろす。遠くに見えるのが機神だ。この風景が多くの人の心を掴んだ
    (C)2010-2020 Nintendo / MONOLITHSOFT

ガウル平原を抜け、巨神の脚から背中側に回り込んで上に登っていくと、幻想的な光と霧にあふれた「燐光の地ザトール」や、巨大な滝を囲むように鬱蒼と草木が生い茂る「マクナ原生林」、透きとおるほど青く広大な海と空中に浮く島嶼部が特徴の「エルト海」といった風光明媚で多様なフィールドがプレイヤーの目を楽しませてくれる。神の骸というとおどろおどろしい響きだが、少なくとも骸の大地の表面に関してはそんなイメージとはほど遠く、とにかく美しい。

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    巨大な滝を囲むように鬱蒼と草木が生い茂る「マクナ原生林」
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    地下に隠された洞窟でさえも美しい
    (C)2010-2020 Nintendo / MONOLITHSOFT

どのフィールドもエリア内であれば、基本的にマップチェンジのないシームレス方式なので没入感が高い。また、思いがけないところに通れる道があったり、絶景ポイントが用意されていたりと、メインストーリーをほったらかして探検したくなる仕掛けが随所に仕込まれている。さらに、各フィールドや人の住む街では昼夜や天候の変化によって雰囲気が変わり、同じ場所でも異なる風景やモンスターが現れるなど、とても作り込まれている。オリジナルのWii版からある機能だが、広大な大地を歩き回るのが面倒になってきたらスキップトラベルで一度訪れたランドマーク(目印となる建物やオブジェクト)に瞬時に移動できるほか、時間変更も好きなときに行える。

今回、筆者は自宅の東芝4K有機ELテレビ「REGZA 55X920」にSwitchをつないでゲームモードを選択し、パナソニックのサウンドバー「SC-HTB01」を組み合わせて新しいゼノブレイドを遊んでみたのだが、55V型の大画面に適した視聴距離(約1m)で見るフィールドの美しさは圧巻のひと言。HD化されたグラフィックが風景に深みを与え、新録されたフィールド楽曲やかすかな風鳴りなどのサウンドエフェクトが彩りを添えてくれる。何度も見て知っている眺めなのに気がつけばガウル平原をどこまでも走っていた。

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    東芝の4K有機ELテレビ「REGZA 55X920」。ゲームプレイではあまりオススメできないが、明かりを落とすと映像の暗部がしっかり沈み込んでゼノブレイドの世界が美しく映え、臨場感もたっぷり

なお、コロニー9の湖岸やエルト海の海岸線など一部で、自然物っぽくないカクカクとした直線的な箇所が見られるが、本作があくまで“リマスター”で“リメイク”ではない点はこういったところにあるのだろう。じっくり探せば見つかる程度で、Wii版から遊んでいた筆者には見慣れているので「ああ、ここはそういう地形なのね」と思えるが、Switch版から入ったプレイヤーはどういう感想を持つか、ちょっと気になる。

本作は4K解像度でつくられたタイトルではないが、(もちろん粗い部分はあるものの)大画面でも十分に楽しめることが分かったのは嬉しい驚きだった。それでいてTVドックからSwitchを取り出せば、かつてのNew3DS版『ゼノブレイド』(2015年発売)のように持ち歩いていつでもどこでも巨神界・機神界を楽しめるのだから、おトク感が高い。

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    New3DS版『ゼノブレイド』。立体視に対応しているほか、ゲーム内に登場する3Dモデルやサウンドが楽しめる「コレクション」モードも追加されていた。しかし画面サイズの小ささ故に、没入感は今ひとつだったように思う

ちなみに、Wii版では各種サウンドの音圧が全体的に高めで低音もブーミーな感じに強調されており、WiiU向けのダウンロード版でもこの傾向は同じだったのだが、今回のSwitch版では比較的控えめに収録されており、さらに設定でBGMやセリフ、システムサウンドの音量を細かく調整できるようになっている。音のバランスを細かく変えたいというニーズはそこまで多くはないかもしれないが、ありがたい新機能だ。少し低域が物足りないようにも感じたので、私はSC-HTB01のサウンドモードから「スタンダード」を選び、3Dサラウンドと明瞭ボイスを両方オン、重低音+3としている。これでスッキリと抜け感もありつつメリハリの効いた、決定版ゼノブレイドにふさわしいサウンドになった。

楽曲に関しては「一部楽曲を再収録」とアナウンスされているが、ひととおり遊んだ限りではフィールド曲やバトル曲をはじめ、かなり多くの楽曲がアレンジされているようだ。アレンジを加えていないオリジナル楽曲のほうも収録されており、フィールド上およびバトル中にアレンジ/オリジナルどちらの楽曲を流すかを設定で切り替えられるが、新しいビジュアルにはやはり新しいサウンドがよく似合う。ダウンロード版とは別で購入した特別セット「Xenoblade Definitive Edition Collector's Set」(税込9,878円)には、本作と追加エピソードから計20曲をセレクトして収録した特典サウンドトラックCDが同梱されており、こちらもさっそく聴いてみた。

どの曲もゼノブレイドの世界観にぴったりハマる雰囲気はそのままに、木管や弦楽器などの生音を多用した新たなサウンドに生まれ変わっていることが分かる。機神界の重厚なフィールド楽曲は、オリジナルのサウンドも素晴らしいがさらにカッコよくなった。「脱出艇キャンプ」のゆったりとした曲調などは、いつまでも聞いていられそうなほど心地よい。ただ、個人的に劇中で聴いてかなり気に入ったザトールや、復興中のコロニー6の楽曲群が未収録で、(ネタバレ防止の配慮かもしれないが)曲タイトルなどを記したライナーノーツも見あたらないのがつらい。Wii版同様に(フィールド曲は昼夜2パターンを含めて)フルで収録したバージョンを、CDとダウンロード配信でぜひリリースしてほしい。

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    「Xenoblade Definitive Edition Collector's Set」に同梱されている特典サウンドトラックCD。スチールケース仕様で、開くと意外な2人(二体)の画像に出会える

親切設計になったバトル&クエストが楽しい

本作のバトルは、フィールド上でモンスターや敵と遭遇すると画面が切り替わることなくシームレスに戦闘状態に移行。プレイヤーが操作するキャラ1人+自動で動いてくれる仲間2人の計3人でオートアタックを開始し、戦況はリアルタイムで変化する。バトルの基本の流れとしては、各キャラがそれぞれに持つ戦闘コマンド「アーツ」を活用して、敵の体勢を「崩し」て「転倒」させ、「気絶」させるコンボで動けなくするパターンがかなり有効だ。敵から受ける憎しみ(ヘイト)を1人(主にライン)に集中させると、他の2人が比較的自由に動けるのでバトルを有利に進めやすくなる。このあたりはWii版と同じだが、シンプルながらよくできていて、うまくハマると爽快感すら覚える。

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    シュルクの友人、ライン。バトルでは敵を引きつけて転ばせるのが上手い
    (C)2010-2020 Nintendo / MONOLITHSOFT

ただし、各キャラは攻撃・盾・回復のいずれかを基本としつつも完全な役割分担ではなく、互いに助け合えるアーツを持っている。戦闘時の位置取りや回復のタイミングに気を配ったり、シュルク固有の能力である「未来視(ビジョン)」でバトル中に起きる“少し先の未来”を見ながら戦う。そしてシュルクの神剣モナドに発現する様々な能力を駆使して敵を斬ったり味方を守ったり、3人のアーツをプレイヤー自身が選択し、連携させて敵に大ダメージを与える「チェインアタック」を発動させることも可能だ。ヘイトを上手く操りながら戦うスタイルは、『ファイナルファンタジーXII』のオンラインゲームライクなバトルシステムを思い出させる。バトルに関しては色々と覚えるべきことが多いが、ゲーム内のTIPSで詳細を確認できるので、ここでは割愛する。

新搭載の「カジュアルモード」をオンにすると、敵の攻撃力や防御力などが下がり、戦闘がかなりラクになる。ストーリーを早く追いたくて、邪道と思われるかもしれないが筆者は中盤以降、このモードを常にオンにしていた。こうすると敵を倒した後の宝箱から手に入るレアアイテムのドロップ率も上がっている気がする。ちなみに、レベルの数値をユーザー自身で管理できる「上級者設定」も新たに加わっており、幅広いニーズに対応している。

カジュアルモードでは、今までキャラとしては魅力があるがバトルでは使いにくい……と感じていたメリアやリキを結構楽しく動かせることに気付いた。特にメリアは可憐な少女であるためかHPがかなり低く、よほど好きな人でなければあまりバトルでは活用されていなかったと思うが、後で紹介する追加エピソード『つながる未来』を楽しむためにも、本編で操作に慣れておきたい。彼女が得意とするエーテル攻撃ではなく、物理攻撃の「スピアブレイク」+「スターライト・ニー」のコンボによる転倒技を覚えておくと、敵を転ばせて足止めさせたまま弱体化させやすくなる。

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    メリア(左)とリキ(右)。どちらもシュルクらホムスとは違う種族で、それぞれの目的を果たすために旅仲間として加わる。加入時期がやや遅いメリアだが、追加エピソード『つながる未来』ではほぼメインヒロインとして活躍する
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こうしたバトルの合間にフィールド上を探索していると、野菜や果物、花、機械類といった多種多様なアイテムが手に入るが、これを集めることで各種クエストで利用したり、仲間同士で贈りあってキズナを高められる。Wii版では素材集めなどのクエストに必要な特定のアイテムを複数手に入れるために、攻略本と首っ引きでフィールド上を何時間もうろうろしないといけなかったが、今回は「!」マークが人(NPC)だけでなく各種アイテムのある場所や、それを隠し持っているモンスターのいる位置に表示されるようになっていてアイテムを探しやすくなり、以前と比べてずいぶんラクになった。もっとも出現がランダムであることに変わりはなく、アイスキャベツやナナイロナマコ、クロマメレバーのビックリするくらい低い出現率は相変わらずだが……。

さらに、受注したクエストをひとまとめにしたリスト画面には、新たにコロニー6の復興クエストに必要な各種アイテムや復興度を確認できるページが加わっている。従来は直接コロニー6まで足を運んでジュジュ(カルナの弟。重要NPCのひとり)に話しかけないと確認できなかったが、これでいちいち現地にスキップトラベルしなくても今どの素材が何個足りないか、といった情報をすぐ確認できる。

特定の種類のモンスターを倒しまくったり、初めてスキップトラベルを使ったりといったさまざまな条件を満たすともらえる「プレイアワード」も健在だ。Wii版から変わったところはなさそうだが、ひとつひとつメッセージが凝っていて開発陣の遊びゴコロにニヤリとさせられる。コレを全部集めるのも楽しいが意外と時間がかかる。

ゼノブレイドはプレイヤーにとってやれることが多く、ストーリーも魅力的な反面、プレイ時間が相当かかるという“時間泥棒ゲー”として有名だが、カジュアルモードやクエストまわりの機能強化によって「ゲームにあまり時間を割けなくなってしまった」という大人にもやさしい設計になったと感じた。クエストの多くは寄り道要素で無視しても進められるし、縛りプレイなどにこだわらなければクリアまでそれほど時間をかけずに進められるのではないだろうか。といっても“ゲームは1日1時間まで”ルールを課したとして、クリアまで2~3カ月(つまり約60~90時間)くらいは余裕でかかるだろう……人によっては100時間越えも珍しくはない。それだけ長く遊べるゲームなのだ。

追加要素はまだまだあり、もっとも大きいのは新たに「イベントシアター」が加わったこと。劇中で見たイベントムービーを振り返れる機能で、『ゼノブレイド2』で実装されていたものとほぼ同じで、名場面だらけの本作にとっては待望の新機能となる。ムービーによっては装備・時間帯・天候を選べることもあり、自分の好みにあわせて楽しめる。また、プレイ中シリアスなシーンを見ているのに、男前で粋なダンバンが下着一枚でしゃべっていたり、高性能装備の見た目がギャグっぽいせいでイマイチ締まらない……といった従来の欠点(?)を回避するため、装備の性能を据え置きで見た目を整える「ファッション装備」機能も追加。ほかにも、「ノポン・ダイセンニン」がいる謎空間でタイムアタック制のバトルにチャレンジして特別なアイテムを手に入れられるようになっている。

このほか地味なポイントではあるが、ゼノブレイドがSwitchで遊べるようになったことで、Switch本体が備える便利な機能が活用できるようになったのも大きい。まず、スリープを活用することでゲームをいちいちセーブしなくてもすぐに終わらせられるようになった。また、キャプチャーボタンでゲーム映像のスクリーンショットやムービーも撮れるようになったので、たとえばダンバンと仇敵が斬り結ぶ迫真のイベントシーンを静止画/動画で切り取っていつでも楽しめる。他にも、キャラの落下時や一部の未来視シーンなどで、Joy-Conや別売のProコントローラーのHD振動によるバリエーション豊かな振動表現を楽しめるようになった、などなど。

コントローラーといえば、Wii版とSwitch版でボタンやキーの割り当てがいくつか異なっていて少しだけ混乱した。慣れれば問題はないが、Wii版に近いボタン割り当てにしたい場合、Switch側の設定で変更できる。コントローラーのスティック・ボタン割り当て変更はSwitchのシステムバージョン10.0.0以上(執筆時点の最新バージョンは10.0.4)で可能になった機能で、もちろんゼノブレイドでも有効だ。ただしゲーム内のボタン表記と実際の操作が一致しなくなるので、頭の中でどのキーをどれに割り当てたか覚えておきたい。

セーブに関しては、保存できる領域がWii版同様に3スロット用意されており、新たにオートセーブにも対応。これはプレイヤーがスキップトラベルなどで各フィールドのランドマークに到達したときに自動でゲームの状態を書き込むもので、3スロットとは別に用意された領域が用意されている。つまり、都合4つのセーブ領域があるわけだ。セーブデータをたくさん持っておきたいユーザーもいるだろうが、Switch本体には最大8アカウントを連携できるので、それを活用すればセーブデータの数を疑似的に増やせる(その分たくさんプレイしないといけなくなるが)。

以上、ざっくりとWii版から変わったところを中心にまとめてみたが、ゼノブレイドの“決定版”はさまざまな改良や機能強化が行われ、全体的にかなり遊びやすくなった印象だった。発売から10年経っても開発陣やスタッフにとって、ゼノブレイドが非常に大切なタイトルであったことがうかがえる。オリジナルとは別物とまではいわないが、新たなタイトルの開発なども並行している中で、ユーザーの声を拾いながらここまでクオリティアップを図ってもらえるのは、いちプレイヤーとして嬉しいものだ(こうしてほしい、ああしてほしいというわがままな願望は尽きないが……)。

まだまだ気兼ねなく外を出歩けるとは言い難いこのご時世。島を開拓したりインクをぶちまけあったりするのも楽しいが、自宅にいながらにして新しい旅がしたい、とにかく刺激がほしい、そんなSwitchユーザーには遊びやすく、分かりやすく、見栄えも良くなった『ゼノブレイド ディフィニティブ・エディション』をぜひオススメしたい。

追加エピソードは満足できた? 【ネタバレ注意】

最後に、Switch版の追加エピソード『つながる未来』についても触れないわけにはいけないので、ストーリーとフィールドに絞ってかいつまんで紹介しよう。

【以下、本編と追加エピソードのネタバレを多少含みます】

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    『ゼノブレイド ディフィニティブ・エディション』には、追加エピソードとして『つながる未来』を収録
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追加エピソードは本編終了から1年後の世界で、シュルクとメリアを載せた飛行艇ジャンクスがとある地に墜落するところから始まる。さらにキノ、ネネというノポン族の子どもが新たなプレイアブルキャラとして参入。このふたりは本編に登場したリキの子どもだ。

新たなフィールドは「巨神肩」と呼ばれており、空に浮かぶ島となっている。シュルクらがジャンクスでたどり着いたこの地は、起伏があって森林や湖もあるが、なんといっても空中回廊のような奇抜な地形が目を引き、関連作『ゼノブレイドクロス』(2015年発売)でも見たような風景で懐かしい。どことなく『天空の城ラピュタ』を思わせる神秘的な雰囲気もある。すぐ近くには、本編でもおなじみのハイエンター族の空中都市「皇都アカモート」や「ソルタナ封印島」があり、ストーリーを進めていくと中に入れるようになる。ちなみに、コアなゼノブレイドファンにとってはおなじみの話題だが、巨神肩は作りかけのままWii版では未収録になったという、通称“巨神肩(左)”と地形がよく似ている(右肩は雪が降りしきる銀世界、ヴァラク雪山にあたる)。

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    新たなフィールド「巨神肩」は、空に浮かぶ島になっている
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ひととおり導入のムービーが終わってキャラを動かせるようになるとメリアがデフォルトでリーダーに選ばれていることや、タイトルロゴに羽根のイメージが散らされていることからもわかるように、この追加エピソードの主役はメリア、そしてハイエンター族だ。この種族の皇家にまつわるさまざまなエピソードを本編で見てきて思い入れのある人間としては、中盤からラスト、エンディングにいたる怒濤の展開に終始興奮しっぱなしであった。生きているうちにメリアと○○○(伏せ字)のあのシーンが見られるとは思っていなかったので「ありがとう最高でした」以外の言葉が見つからない。

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    追加エピソードでは、メリアは「アネモネスタイル」という新たな衣装に身を包んで登場。本編よりも大人っぽく見える
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バトルシステムは本編と一部異なるが、メリアの操作に慣れていれば問題はないだろう。盾役として強力だったラインや、回復役にまわせば一流のカルナがいない代わりに、ノポン族の姉弟であるキノとネネがその役を担ってくれる。また、巨神肩の各地に散らばるノポン族の測量士チーム「ノポンジャー」を集めて仲間に組み入れるクエストをこなしておくと、メリアたちにとって強力な武器になる(わちゃわちゃとしたノポンチームの動きが戦況を把握しにくくするという問題はあるが)。

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    キノ(右)、ネネ(左)というノポン族の子どもが新たなプレイアブルキャラとして参入。本編に登場したリキの子どもだ
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    『つながる未来』に登場するシュルク
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追加エピソードのボリュームはさほど長くはなく、ノポンジャー以外のクエストはほとんど手を付けずに先に進んだところ、8時間ほどでクリアできてしまった。筆者はほぼすべての時限クエストとコロニー6完全復興を成し遂げたうえで本編をクリアするのに90時間強かかったが、その10分の1程度で終わってしまったことになる。これで十分と感じるか、もっと遊びたかったと感じるかは人によるだろう。妙に明るいノポンジャーの気ままさやキャッチーなバトル曲がいまひとつしっくりこない気もしたが、慣れの問題かもしれない。

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    皇都アカモートに潜入する4人
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    巨神肩の各地に散らばるノポン族の測量士チーム「ノポンジャー」を集めて仲間に組み入れるクエストをこなしておくと、バトル時に心強い味方として働いてくれる
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追加エピソード自体は本編をクリアしなくても遊べるが、Switch版を買っていながら「本編はWii版でやったから同じでしょ」と手を付けずにいるのはあまりにもったいない。それに、『つながる未来』に登場する一部のNPCの人となりを知っておく(思い出しておく)ためにも、まずは先に本編をクリアしておくことを強くオススメしたい。ぶっちゃけてしまうと、「本編のいくつかのクエストを改めてやっておかないと、追加エピソードの物語を真に楽しむことはできない」と思うのだ。

Collector's Setに含まれる冊子の巻頭言や、雑誌の取材などで高橋哲哉氏が自らふれているように、『つながる未来』はただの追加エピソードにとどまらず、モノリスソフトが手がける“ゼノブレイドの未来”を感じさせるものでありたい、というメッセージが込められている。そのメッセージが示すところについては想像の余地がいろいろとあるものの、旧世代機のWiiUに取り残された『ゼノブレイドクロス』の未来も含めて、筆者の『ゼノブレイド』シリーズの今後に期待する気持ちはこれまでも、これからもおそらく変わらない。

10周年を迎えた初代『ゼノブレイド』がオリジナルのWii版からNew3DS版、そしてWiiU向けダウンロード版を経て、Switch版でさらにとっつきやすいタイトルに生まれ変わったことを素直に喜びたい。私の引き継ぎ周回プレイはまだこれからだが、あれだけ広大なフィールドに膨大な情報量を詰め込んだタイトルなのだから、1周目だけでは気付けなかった新要素やアップグレードされたポイントを探す旅も存分に楽しめることだろう。そしてクリアする度にきっと、光田康典氏が作曲を手がけ、歌手のサラ・オレインが爽やかに歌い上げるエンディングテーマ「Beyond the Sky」に涙腺を弛められてしまうに違いない。