タイトルの「ヴィニジャン」とはヴィニール・ジャンキーズの略。合成皮革の革ジャン=ビニジャンではない。レコード(vinyl)を愛するマニアやクレイジーたちを意味している。ちょっとイッちゃった方々が登場し、カートリッジ地獄やら往年のレコードを濃厚に紹介している。
田中伊佐資自体が元々イッちゃった嗜好をお持ちで、巨大特注スピーカー自宅に導入するなど家庭をも省みない人なのだが、「自分の家のレコードを少しでもいい音で鳴らしたい」というモチベーションから、オーディオ製品の聴き比べはもちろん、レコード制作現場、針の工場やレコードの溝を撮影する写真家、稀少盤コレクターたちに突撃取材を試み、レコードの奥義を知ろうと体験を積み重ねていく。登場人物は約50人。
また「レコードショップ巡り」としてニューヨーク、ボストン、台北、ハワイ、東京編を収録している。
レコード再生の入門書・実用書ではないが、400点以上のカラー写真と平易な文章で「なぜそれほどまでに人はレコードを愛するのか」の答えが見えてくる。