東京大学(東大)は5月14日、新型コロナウイルスがネコの呼吸器で増殖しやすいこと、ならびに接触感染によってネコの間で容易に感染伝搬することを確認したと発表した。

同成果は同大医科学研究所の河岡義裕 教授、同 今井正樹 准教授、同 岩附(堀本)研子 助教、同 坂井(田川)優子 助手、国立国際医療研究センターの服部真一朗 特任研究員、同 木下典子 医師、国立感染症研究所 ウイルス第三部 部長の竹田誠氏、米ウィスコンシン大学のShufang Fan研究員(Assistant Scientist)、Tadashi Maemura博士研究員(Post Doctoral Researcher)、Shiho Chiba研究員(Assistant Scientist)、Masato Hatta准研究員(Associate Scientist)、Peter J. Halfmann准研究員(Associate Scientist)らによるもの。詳細は5月13日付の米国科学雑誌「New England Journal of Medicine (NEJM)」のオンライン速報版で公開された

実験では、新型コロナウイルスをネコの鼻腔内より接種。その後、感染ネコとの接触によって同ウイルスが同居ネコに伝播しているのかどうかを調査した。その結果、3ペア中3ペアにおいて同ウイルスが伝播していることが確認されたほか、ネコの呼吸器で同ウイルスがよく増えることも分かったという。また、同ウイルスに感染してもネコは明らかな症状を示さないことも判明したという。

  • 新型コロナウイルス

    ネコを用いた新型コロナウイルス感染伝播実験の概要 (出所:東大Webサイト)

なお、研究グループでは今回の成果について、新型コロナウイルスがネコの間でも広がる可能性があることが示唆されたと説明しており、行政機関が今後の新型コロナウイルス感染症対策計画を策定、実施する上で、重要な情報となるとしている。また、研究グループでは、厚生労働省日本獣医師会より、それぞれ愛玩動物の新型コロナウイルス感染症に関する見解が出ているため、そちらも参照してもらいたいとしている。