米Mozillaは、4月7日(現地時間)にFirefoxの新バージョンとなる「Firefox 75」をリリースした。Firefox 74から1か月でのバージョンアップである。前バージョンの74からは、74.0.1がリリースされている。74.0.1では、以下のセキュリティ修正が行われた。

  • nsDocShellデストラクタを実行する間の解放後メモリ使用(CVE-2020-6819)
  • ReadableStreamの処理の際の解放後メモリ使用(CVE-2020-6820)

いずれも深刻度は最高レベルの「Critical」である。

Firefox 75へは、74.0.1からのアップデートとなる。本稿では、バージョン75の新機能などを紹介する。

Firefox 75のインストール

すでに自動アップデートが可能な状況になっているが、ここでは手動でアップデートする方法を説明したい。Firefoxメニューの[ヘルプ]→[Firefoxについて]を開くと更新が自動的に開始される。[再起動してFirefoxを更新]をクリックする(図1)。

  • 「Firefox 75」を試す - 新しいアドレスバーでより使いやすく

    図1 Firefox 75へのアップデート

アップデート後のFirefox 75は、図2のようになる。

  • 図2 バージョン74にアップデート直後のFirefox

新規に、Firefox 75をインストールする場合、FirefoxのWebページからインストーラをダウンロードする(図3)。

  • 図3 Firefoxのダウンロードページ

[今すぐダウンロード]をクリックし、保存したファイルをダブルクリックして、インストールを開始する(図4)。

  • 図4 Firefox 75のインストール

画面の指示に従い、インストールを進めてほしい。以下では、新機能や変更点のいくつかを具体的に見ていこう。

Firefox 75の新機能

まず、新機能であるが、リリースノートには、以下のように説明されている。「本日のリリースでは、多くの改善が行われ、よりスマートで高速な検索が可能となった。Firefoxの新しいアドレスバーを使用すると、少ないタイピングで検索結果を得ることが可能となった」。具体的には、以下をあげている。

  • 小型のノートPC画面向けに最適化された、フォーカスを絞った快適な検索環境
  • アドレスバーを選択すると、トップサイトが表示されるように
  • 新しい検索語に重点を置いた検索候補の読みやすさの向上
  • Firefoxの一般的な問題の解決策もあわせて表示される
  • Linuxでは、アドレスバーと検索バーをクリックしたときの動作が他のデスクトッププラットフォームと一致するように

以上であるが、実際に見ていこう。まず、Firefoxのアドレスバーをクリックしアクティブにすると、図5のよう表示される。

  • 図5 新しいアドレスバーでのトップサイトの表示

トップサイトがいくつか表示される(表示のされ方は環境によって異なる)。この幅であるが、Firefox 74よりも狭くなっており。ノートPCでも視認性が向上している。また、2つめに「プライバシーを保護する」とあるように、Firefoxの動作を含めた問題解決の提案も行われる(ここではヘルプ)。URLには、「https://」や「www」は表示されなくなった(「http:」は従来通り表示される)。これは、他の一般的なWebブラウザの動作と歩調を合わせたものである。また、すでにタブで開いていると、「タブを表示」となって直接移動できる。

  • 図6 すでに開いているタブがある場合

さらに、この状態から検索語を入力していく。「ま」とだけ入力した状態が図7である。

  • 図7 「ま」だけ入力

ここでも履歴などをもとに、かなり正確な補完が行われる。図8では「マイナビ」と入力したものだ。

  • 図8 検索語の入力

補完された別のキーワードやこれまでの閲覧履歴などからヒットしたものが提示される。この機能が改良され、より少ないタイピングで的確な検索結果を得ることができるようになった。

他の新機能は、以下の通り。

  • Mozillaが認識しているすべての信頼できるWeb PKI認証局証明書をローカルにキャッシュする。これにより、誤って構成されたWebサーバーとのHTTPS互換性が向上し、セキュリティが向上
  • Linux版では、Flatpakの利用が可能となり、簡単にFirefoxをインストールすることができるように
  • Windows版ではDirect Compositionが統合され、パフォーマンスの向上、Intelグラフィックスカードを搭載したWindows 10ノートPCでWebRenderを有効にすることが可能となった

開発者向けでは、要素のloading属性において、lazy値を使うことで画像の遅延読み込みが行われる(ビューポートの範囲内になるまでロードを遅らせる。デフォルトのeager値は画像をすぐにロードする)。結果、帯域幅を節約し、Webブラウザのメモリ使用を節約する。

セキュリティアップデートは、CVE番号ベースで6件が行われた。深刻度は、2番目の「High」が3件、3番目の「Moderate」が3件となっている。

また、同日、Firefoxチームの発表によると、Mozillaは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の大流行にもかかわらず、2020年のリリーススケジュールは予定通りとするとのことだ。