2020年春夏モデルのG-SHOCKにあって、見る者にもっとも衝撃を与えたのは「MTG-B1000VL-4AJR」かもしれない。ここ数年のカシオに見るウオッチデザインの域を超えたぶっ飛びっぷりは、まさに噴火的衝撃だ。

  • 「火山雷」をイメージしたMTG-B1000VL-4AJR

そこで今回は、このハイ・インパクトなMTG-B1000VL-4AJRの外観とディテールを写真でじっくりとお届けする。機能や仕様など詳細な情報については別記事『G-SHOCK「MT-G」、火山雷をイメージした鮮烈のスペシャルモデル』をご覧いただきたい。本モデルの日本国内での発売は、価格発売日ともに未定。続報を待ちたい。

「MTG-B1000」はカシオCMFデザインの可能性を牽引する

MTG-B1000VL-4AJRのイメージソースは「火山雷」。火山の噴火時に吹き上げられた噴煙に発生する雷だ。マグマの爆発による赤い光。火口から流れ出すオレンジ色の溶岩。黒雲の中を縦横無尽に駆ける青い稲妻。そのビジュアルは、まさにMTG-B1000VL-4AJRの配色イメージそのものだ(「火山雷」で画像検索してみてほしい)。

  • まるでカシオ時計技術の見本市のよう。いつまでも見ていられる

カラーリングを色濃く反映しているのが、ケースとベゼルに使用されている「レインボーIP」。そう、BASELWORLD 2019のバーゼルスペシャルとして発表された「MTG-B1000RB-2AJR」において、「ルナレインボー」を表現していた着色被膜技術だ。

金属パーツの表現力の幅と耐久力を高める、カシオのCMF(Color、Material、Finish)デザインの切り札のひとつである。その性質上、各色の濃度や切り替え位置に微妙に個性が生じるため、「完全に同じものは世界に二つとない」という魅力にもつながっている。

  • 光の反射角度によって実に複雑な色のコンビネーションが生まれる

ただし、レインボーIPは高度な技術ゆえに難度も高い。まずIP(Ion Plating)という技術そのものが発色面で不利なうえ、赤系の発色は特に難しいという。……のだが、MTG-B1000VL-4AJRのベゼルに使われているレインボーIPは、そんな予備知識をひっくり返すほど美しい。

輝度や彩度が、前作のルナレインボーから明らかに一歩進んでいるように感じられる。光の反射角度による色の変化も、青と赤の境目のグラデーションも、諧調が豊かで滑らかに見えるのだ。これは何らかのブレイクスルーがあったのでは? と思ってカシオ広報に確認したところ「前回とはIP処理の手法を変えている」とのこと。

  • ボタンシリンダーに使用された赤いIP(!)

  • インダイヤルリングの着色には蒸着が使われている

  • グラデーションの諧調がぐっと豊かに

  • グラデーションは「上から下へ」だけでなく「手前から奥へ」も

  • ボタン類はブラックIP

クリア成型のソフトウレタンバンドは、MT-Gシリーズでは初の採用。より正確に言えば半透明成型といった雰囲気で、染料の透明感に加え、顔料による発色のよさと適度なコシ(粘り)のバランスがよい。

  • ヘアライン処理されたSS製のラグからクリア成形バンドへの質感の変化がユニーク

  • ラグとバンドの接続基部が透けて見える!

  • ソフトウレタンバンドは適度なしなやかさ

  • 遊環と尾錠もゴールドIPを使った特別仕様

最大の見どころであるレインボーIPを中心に、蒸着による複雑な色使いのダイヤルパーツ、質感の変化で印象を大きく変えたソフトウレタンバンドなど個性の強いパーツを実に上手くまとめているのは、さすが豊富なG-SHOCKデザインを生み出してきたカシオといったところ。

ベゼルと裏ぶたをSSケースで連結する新コアガード構造を持ち、金属と樹脂それぞれの表現を追求できる「MTG-B1000」は、今後もCMFデザインの可能性を牽引するモデルとなっていくだろう。

  • 裏ぶたのデザイン(※最終版の製品と一部異なります)

  • 光源や見る角度を変えるたびに印象が変わる

  • 複雑な構成色を見事にまとめている

  • レーザー彫刻された都市コード

  • LEDを点灯した状態