3月19日に発売した東プレ初のPC用マウス「REALFORCE MOUSE」の実売価格は税込18,000円~20,000円前後(店舗により異なります)。高いことは間違いないのですが、東プレ製キーボードでおなじみの静電容量無接点スイッチが採用された左右ボタンをクリックした瞬間、もう五体投地で降参。いままでのマウスで経験したことのない、極上のタッチに惚れました。というわけでこのテンションからレビューを始めますが、先に結論を書いておくと本製品は「買い!」。お借りした試用機、返却したくないレベルです。

  • 東プレ「REALFORCE MOUSE」。価格は販売店により異なりますが、おおむね税込20,000円です(写真:マイナビニュース)

    東プレ「REALFORCE MOUSE」。価格は販売店により異なりますが、おおむね20,000円前後(税込)です

スイッチを新開発、しなやかな押し心地と静音性

REALFORCE MOUSEは有線タイプのPC用マウスです。本製品最大の特徴は、静電容量の変化によって入力を検知する「静電容量無接点スイッチ」が採用されていること。このスイッチがマウスに使われるのは今回が初めてで、二重入力(チャタリング)を起こさない、5000万回以上の高耐久性、そしてしなやかな押し心地と静音性を実現しています。

底面のセンサーには、プロゲーマーからも高い評価を得ている「PixArt PMW3360センサー」を採用。1秒間に操作情報を何回PCに送信するかを決める「レポートレート」は125Hz/500Hz/1000Hzの3段階、マウスの移動距離を設定する「DPI」は100~12000DPIの範囲でカスタマイズ可能です。

本体サイズは67×122×42mm、重量は約83g(ケーブル除く)。ホイールボタンを含めて、全部で6つのボタンを装備しています。接続方式はUSB2.0で、ケーブル長は約1.8mです。

REALFORCE MOUSEはWindows、Mac、LinuxなどOSを問わず、接続すれば通常のマウスとして利用できますが、カスタマイズに利用する「REALFORCEソフトウェア Ver.2.0.0」は記事執筆時点ではWindows用しか用意されていません。

  • 本体サイズは67×122×42mm、重量は約83g(ケーブル除く)。ケーブルは約1.8mと長めです

  • 表面中央には「DPI切り替えボタン」、裏面センサー右下には「レポートレート切り替えスイッチ」が配置されています

  • 左クリックがやや高いオーソドックスな形状です。詳しくは後述しますが「REALFORCE」のロゴは点灯し、色、輝度をカスタマイズ可能です

  • 左側面の進む/戻るボタンは比較的大きめで、親指で自然に操作できる位置に配置されています

  • パッケージにはREALFORCE MOUSE本体と説明書のみが入っています。設定ユーティリティー「REALFORCEソフトウェア」は、東プレのサポートサイトから最新版をダウンロードすることになります

一般的なマウスとはまったくの別物

さてREALFORCE MOUSEを実際に使ってみた感想ですが、カチカチと音が鳴る一般的なマウスとはまったくの別物です。通常のマウスのクリックボタンは押し切ったあとに指全体に反発力が強く伝わりますが、REALFORCE MOUSEは力を入れると自然に沈み込みそのまま優しく指を受け止めてくれる……というイメージです。柔らかなフェザータッチで、そして驚くほど静か。ほぼ無音のクリックです。

一方、ホイールボタンは構造上、静電容量無接点スイッチは採用されていませんが、少し重めの抵抗が与えられており、左右クリックボタンに似た柔らかさが演出されています。回転させるときのクリック感は抑えめで、高級オーディオのダイヤルに近い感触です。

個人的にちょっと不満なのが、左右クリックボタンとそれ以外のボタン(親指近くに配置された進む/戻るボタン)の感触の違い。左右クリックボタンが極上のフェザータッチだけに、一般的なカチカチ感のある進む/戻るボタンが正直安っぽく感じられます。ホイールボタンは難しいでしょうが、せめて、進む、戻るボタンだけでも静電容量無接点スイッチを採用してほしかったところです。

まあ、ワタシは進む/戻るボタンは使わない文化圏に属しているので、実はそれほど気にならないのですが、多用する方々のために注意喚起させていただきます。

  • 左右クリックボタンのストロークは0.9mm。キーボードのキーより広い面積で押しているからか、静電容量無接点方式キーボード「REALFORCE」より、感触がより柔らかく感じます。クリックはほぼ無音でとにかく静か

  • 筆者は手の長さが20cmと大きめなのですが、本製品のサイズはちょうどよく感じられました。ただし、エルゴノミクス形状なので、私より手の小さな方でも大きくて使いづらいということはないと思います

  • ケーブルの太さは直径2.8mm。ケーブルの付け根を上向かせることで、ケーブルが接地することによる抵抗を減らしています。マウス本体の軽さと相まって、たしかに軽快にカーソル操作が可能です

ユーティリティでLEDやDPI、各種機能を割り当て

設定ユーティリティー「REALFORCEソフトウェア Ver.2.0.0」では、各ボタンへの機能の割り当て、インジケーターとロゴLEDの色と明るさ、DPIと底面センサーの反応距離を設定できます。

ボタンによって割り当てられる機能は異なりますが、「機能切替」、「マルチメディア」、「マクロ」と分類されて多くの設定が用意されています。任意のショートカットを登録する機能は残念ながら実装されていませんが(今後検討とのこと)、ゲームで使うときにはゲーム側の設定機能で各ボタンにコマンドを割り当てればよいでしょう。

  • 「機能切替」には左クリック・右クリック・ホイールクリック・進む・戻る・DPIサイクル・DPIアップ・DPIダウン・LED色変更・LED輝度変更、「マルチメディア」には再生/一時停止・停止・次のトラック・前のトラック・音量を上げる・音量を下げる・ミュート、「マクロ」にはコピー・切り取り・貼り付け・元に戻す・やり直し・ウィンドウを閉じる・次のタブ・前のタブ・デフォルトのズームに戻す・デスクトップを表示する・半角/全角を割り当て可能です

  • インジケーターとロゴのLEDは消灯を含めて8色から選択可能。輝度は3段階で調節できます

  • 「DPI」は100~12000DPIの範囲でカスタマイズ可能で、デフォルトでは400DPI/800DPI/1600DPI/3200DPIが割り当てられています

  • 設定はプロファイルとして保存可能。アプリケーションやゲームごとに異なるプロファイルをすぐ呼び出せるわけです

  • DPI切り替えボタンには、設定値に色が割り当てられており、ボタンを押したときだけ、どれに設定したか色で知らせてくれます。数秒で本来の設定色に戻ります

機能はやや絞られるが操作性はピカイチ

これまで一般的なマウスの小気味いいクリック感を好ましく感じていましたが、REALFORCE MOUSEの極上の押し心地を体験してしまうと、家にあるほかのマウスのクリック感が安っぽく思えてきました。マイナビ編集部にこの責任を取ってほしい気持ちでいっぱいです。

それはさておき、機能性という点では、圧倒的に優れた他社製マウスが存在するでしょう。しかし、あくまでもマウス本来の操作性が優れている製品を求めるのなら、精度が高く、その構造から長く使えそうなREALFORCE MOUSEは最右翼の存在と言えます。

  • キーボードの「REALFORCE」を編集部から借りて今回初めて使ったのですが、重量感があってこちらもよいですね。同じく静電容量無接点方式の定番キーボード「Happy Hacking Keyboard」を愛用していますが、浮気してしまいそうです