日立製作所と羽後交通は1月22日、スマートフォン向けWebアプリとQRコードを使用する路線バス運賃のキャッシュレス決済システムの実証実験を秋田県内の同社バス路線で1月24日から3月31日までの予定で実施すると発表した。両社によると、同県での同様の取り組みは初めてとのこと。

  • バス内でのキャッシュレス決済とWebアプリ画面のイメージ

今回の実証実験では、羽後交通のイオン・イーストモール線及び横手・大曲線を運行するバスの車内にQRコードを設置する。

乗客はスマートフォンでアプリを起動し、QRコードを読み取ることで乗車中に運賃の決済準備を行えるほか、複数人の運賃を一括して支払うことも可能という。

また、決済時に運転手は乗客のスマートフォン画面に表示した運賃額を確認するのみで、乗客自身がアプリ上で支払い操作を行う。

これにより、乗降車場所に応じて運賃が細かく変動する路線バスにおいて、スムーズかつ必要な設備の少ない低コストなキャッシュレス決済を実現するとしている。

交通系ICカードはワンタッチでの決済が可能な一方、高度な専用設備の導入・運用が必要であり、QRコードを用いた決済では、必要な設備は少ないものの乗降車場所によって細かく変動する運賃の確認・入力に時間がかかり運行遅延を招く可能性があることが課題だった。このような状況を受け、日立は地方の公共交通機関の利便性向上と活性化に向けて、WebアプリとQRコードを組み合わせたキャッシュレス決済システムを開発したという。

同システムでは、QRコードを決済自体には使用せず乗客による事前の運賃確認の支援に使用することで、乗客の利便性向上と決済時における運転手の負担軽減の両立を図る。

今回の実証実験において両社は、同システムを用いた2パターンの決済手順を試行することで、システムの利便性とキャッシュレス決済の導入による運賃授受に要する時間の短縮効果の検証を行うとしている。

乗客は、まず事前にWebアプリ上でクレジットカード情報などのユーザー登録を行う。

乗車時には整理券を受け取り、車内の窓や手すりに設置したQRコードを読み取る。

運賃の確認・選択は2パターン。

まず1つめは、画面に表示する現在乗車中の路線の停留所一覧から乗車場所・降車場所を選択する方式。 2つめは、画面に表示する現在乗車中の路線の運賃一覧から金額を選択する方式。 いずれの場合も、利用人数・券種を選択することで、最終的な運賃を算出する。

運賃の支払は、運賃確認画面と整理券を運転手に掲示する。運転手が運賃を確認し乗客自身が「運賃確定」を選択することで、決済が完了する。

両社は今後、今回の実証実験の結果を踏まえてシステムの改善や他路線への展開を検討していくという。